久留米工業大学
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2025.09.08【建築・設備工学科の構造実験レポート】九州でトップレベルの装備を持つ構造実験室で、大地震時の損傷状態を再現する実験実習を行う学生たち!
去る2025年7月12日、建築・設備工学科の松本豊教授の研究室にて、建物の「袖壁(そでかべ)」の強さを測る構造実験が行われました。この実験は科学研究費助成事業の「若手研究」にて採択された研究「袖壁(そでかべ)付きRC柱の袖壁変形評価システムの構築」の一環として行われているそうです。
袖壁(そでかべ)と言われても、一般の人には聞きなれない言葉だと思います。取材をしている私(久留米工業大学の職員)にも、最初は何のことか分かりませんでした。袖壁(そでかべ)とは、マンションや住宅などではよく見られる、目隠しや防火のために建物の柱や壁から張り出した壁のことを指すそうです。
それがどんなものか、写真でお見せしたいと思ったので、大学内に袖壁がないかどうか探してみました。大学構内の3号館にありました。確かに、柱の横に飛び出ているこの「袖壁(そでかべ)」は、いったい何の役に立っているのだろうかと思います。今回の松本研究室での実験は、この袖壁がどんな形をしていて、どのように柱や壁と結合されていれば、大地震などが起こったときに強いのかといったことを明らかにするものです。
↑ 実験風景
久留米工業大学の構造実験室の中には「加力フレーム、加力ジャッキ(オックスジャッキ)平行維持装置」という、大きな機械があります。この機械を用いて、大地震時の損傷状態が再現可能となります。
この機械の特徴として、高軸力が作用する鉄筋コンクリート柱、耐震壁などにも対応可能なように、「鉛直1500kNジャッキ」や「水平1000kNジャッキ」というものが取り付けられているのです。
例えば地震の時の力に相当する水平力を、「水平1000kNジャッキ」によって漸進繰返し加力を加えることができるのです。
↑ 久留米工業大学の構造実験室にある加力フレーム、加力ジャッキ(オックスジャッキ)平行維持装置
久留米工業大学の構造実験室は、上記のような「加力フレーム、加力ジャッキ(オックスジャッキ)平行維持装置」を備えていることから、九州内の大学の中でもトップレベルの装置を備えた実験室と言っても過言ではないのです。
詳しくはこちらもご参照ください。
「大地震時の損傷状態を再現できる建築構造実験システム(建研式加力)を導入しました」(久留米工業大学/教育・研究)
https://www.kurume-it.ac.jp/news/post_20200309.html
さて、今回の実験では、加力フレームや加力ジャッキを使っておよそ20トンにも上るほどの力を、上からや横からかけていきます。そうすることによって、地震時のマンションと同じようなひび割れが、実際の袖壁を模した模型[試験体(しけんたい)]に入っていきます。
↑ 実際の袖壁の模型(試験体)
松本研究室の4年生が、そのひびを、計測して記録していきます。
研究室の皆さんはとてもチームワークが良く、男女ともに和気あいあいと、楽しみながらも集中して実験を行っていました。
7月の日中30度を超える中、実験なので構造実験室内でエアコンをかけることはできません。そのような暑い室内の中、データ計測に少し失敗がありました。しかし「ドンマイ、ドンマイ」と声を掛け合いながら実験に取り組んでいきます。日ごろから松本研ではコミュニケーションを重視している証拠なのでしょうか、チームとしての雰囲気の良さを感じました。
この研究室の面白いところは、学生たちが自分の好きな色の作業着を選んできているところです。特に女性陣は、ピンクやブルー、ブラウンなどそれぞれが自分に合った作業着を着こなしていて、とてもおしゃれにきまっていました。
そういった研究室の雰囲気も素晴らしかったのですが、松本豊教授の実験助手をされている野口聡仁技術専門職員が、今回の試験体を作ったり、運んだり、加力フレームといった機械の操作を全て担当しています。
野口職員は大学の技術職員としては非常に珍しい「一級機械加工技術士」という難関資格の保有者でもあります。本学での勤務も17年におよび、そのベテランの技術で各種の機械系、交通系の教員の実験を支えています。
工学研究者と、機械の技術に長けた技術職員がタッグを組むことで、久留米工業大学では、松本研究室のみならず他の研究室でも様々な実験や研究がなされているようです。
過去にも、福岡市にある第一復建株式会社という企業と連携した大型構造の公開実験が行われています。その時の様子は下記のリンク先もご参照ください。
https://www.kurume-it.ac.jp/news/post_20200335.html
また、野口技術専門職員に関しては、本学の「ものづくりセンター」の管理運営も行われており、毎年行われる「コマ大戦」という競技での学生指導もされています。下記の記事もご参照ください。
https://www.kurume-it.ac.jp/news/post_20200400.html
↑ 建築・設備工学科松本豊教授(手前)と、ものづくりセンター野口技術職員(奥)
今回の実験に参加した松本研究室の4年生の皆さんは、建築会社やゼネコンに就職が決まっているとのこと。中には「設備系の会社のインターンで学んで、就職しても実験をしたりすることがあるので、大学でのこうした実験はとても良い経験となる」と回答してくれた学生もいました。
また、なぜ構造系の松本研究室に入ったか、学生に尋ねてみましたが、皆さん、研究室に入る前には、構造系に必要となる物理系や力学系の科目が、同じ学年でも目立ってできるほどの自信はなかったそうです。しかし、ゼネコンや建築会社に入ってから、構造系の学びが役に立つことだと早い時期から感じて、松本先生の研究室の門をたたいたそうです。
皆さん謙遜されていましたが、立派に就職も決定され、熱心に研究室の実験に取り組む姿は、とてもかっこよかったです。
このように、久留米工業大学の構造実験室では、高いレベルの設備で、高いレベルの実験が行われており、そこで学ぶ学生たちも、ゼネコンなどをはじめとした、希望する就職先を見つけることができている様子です。
建築について勉強を深めたい高校生の皆さん、特に地震に強い建物や建物の構造について学びを深めたいと思っている皆さん、是非とも久留米工業大学の建築・設備工学科の門を叩いてみてください。質の高い教育や研究ができる施設や教育スタッフが待っています。
建築・設備工学科はこうした建築構造もしっかり学べることに加え、建築やインテリアのデザイン、設備に関して多様な学びができるコース設計になっています。
詳しくは学科の紹介をご覧ください。
https://www.kurume-it.ac.jp/gakubu/kenchiku_shokai.html
(参考)
▶久留米工業大学 各学科の就職実績
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(発信元:事業戦略課)