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【特集】コマ大戦って何?|久留米工業大学『ものづくりセンター』で活動するたくさんの学生たちの姿

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2025.07.26

【特集】コマ大戦って何?|久留米工業大学『ものづくりセンター』で活動するたくさんの学生たちの姿

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ものづくりセンターを拠点に活動する学生の課外活動「3大ものづくりプロジェクト」特集の第3弾。
ロボコン編マイコンカーラリー編に続き、今回はコマ大戦編をお届けします!


-コマ大戦編-


●活動人数:10~15人
●主な所属学科:機械システム工学科、教育創造工学科、交通機械工学科
●主な目標:毎年各地で開催されるコマ大戦の大会と、年1回久留米工業大学の学園祭で開催される特別場所

コマ大戦とは?

コマ大戦(正式名称:全日本製造業コマ大戦)は、全国の中小製造業が自社の誇りを賭けて作成したコマを持ち寄り、土俵の上で一対一で戦うイベントです。トーナメントを勝ち上がり、見事優勝したチームは、その大会の出場コマを「総取り」できるというルールがあります。コマ大戦公式戦にて使用されるケンカゴマは直径20.0mm以下、全長60.0mm以内。この小さなコマを、製造業に携わるプロが本気で設計し、プロの機械を使用して自社の持てる技術をすべて注ぎ込んで製作します。

引用元:全日本製造業コマ大戦ウェブサイト



目次


『コマ大戦プロジェクト』の活動場所となっている工場を訪れ、そのメンバーにお話を伺いました。

▶機械システム工学科4年生 野嵜海斗さん
▶新入生メンバー
▶教育創造工学科3年生 中村関羽さん
▶あなたもきっと驚く イメージを覆すコマの面白さ
▶久工大のコマ大戦
▶着実に力をつけて国家資格にも挑戦


メンバー紹介① 機械システム工学科4年生・野嵜海斗さん


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Q. コマ大戦を始めたきっかけは?

(野嵜さん)
「工業高校で『ものづくり専門部』に所属していました。先生から、久工大でコマ大戦というものが開催されていると聞いて、高3の時に練習に来ました。

初めて出場した佐賀大会で、強そうなコマが負けたり、弱そうなコマが勝ったり、精度を追い求めたからと言って勝てるわけじゃないところや、個性の見せ方がおもしろい!と思いました。

印象的だったのは、パティシエの方が飴細工で作ったコマで出場していたことです。対戦中に相手とぶつかって、弾けるように割れたのがとてもきれいでした。

それから一気にコマ大戦にのめり込んで、4年間続けてきました。今は2位が自己ベストなので、優勝できるように頑張っています。」



↓ 野嵜さんが作ったコマの数々
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メンバー紹介② 入学したばかりの1年生(今年は7名加入!)

(教育創造工学科・佐々木さん)
「普通科出身ですが、元々ものづくりに興味があって、サークル紹介でこのプロジェクトの説明を聞いて面白そうだなと思いました。今、上級生に教えてもらいながらやっています。

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(機械システム工学科・塩川さん)
「楽しいです!!」

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デジタル機器が主流の時代になっても、現場では今なお、コンマ数ミリを調整できる技術が必要とされているそう。卒業生たちはこうしたアナログ機器を扱える貴重な人材として社会で活躍しています。



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メンバー紹介③ 教育創造工学科3年生・中村関羽さん


Q. 2024年の全日本製造業コマ大戦大阪場所で優勝されたそうですね!

(中村さん)
「普段は週1回活動していますが、大会の1ヶ月前からコマを作り始めて、直前の1週間は毎日やっていました。コマを作る手順は、

1.コンセプトを考える(僕は、重くてゴツゴツしたコマで相手を弾き飛ばすコマを作ろうと思いました)
2.素材を選ぶ(銅を選びましたが、粘り気があって加工がちょっと難しいです)
3.実際に投げてみたりして調整する(投げ方も大事)


一度作り直したので2個目で出場して、4試合を勝ち抜いて優勝することができました。勝因は、失投率を低く抑えて盤上にコマを乗せられたことだと思います。コマは重すぎても軽すぎてもダメで、自分に合った重さや投げ方にする必要があるんです。


↓ 今は突起をつけた2代目を制作中
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↓ 大会で優勝すると総取りできる他のコマは大事な研究材料。重たいものは、回すことすら難しい!
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1つのコンセプトを貫く人もいれば、試合で他の人のコマを見て何個も作る人もいるそう。
久工大には、2gのコマにこだわっているメンバーがいるらしいので(相手を避けて勝ち逃げするが、飛んでいくとどこに行ったか見失う)、ぜひ大学で開催する大会を観戦する際はご注目ください!




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あなたもきっと驚く イメージを覆すコマの面白さ


久工大での勤務歴17年目になる技術職員の野口さんに、お話を伺いました。


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(野口さん)
「コマは様々な材料で作ることができますが、金属の場合は、このような棒状の素材を加工します。このコマは過去に大会に出場した企業が作ったものですが、材料費が高いので、学生が作るのは難しいですね。」




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↓ 旋盤(せんばん)と呼ばれる金属を加工する機械を使って削ります

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(野口さん)
コマ大戦は、毎年各地で大会が開かれていて、小さい子どもから大人まで、年齢も職業も様々な人が参加しています。主に金属製のコマを戦わせる「コマ大戦」は、シンプルながら旋盤(金属加工)の腕前が試される競技で、最先端技術や斬新なアイデアが観客を楽しませてくれます。

トヨタ自動車のお膝元にある精密機器メーカー『カジミツ』さんが特に有名で、世界大会にも出場しています。試合には色々とルールがあるんですが、カジミツさんは毎年あの手この手でその隙をついてきて、すごく面白いんですよ。それを目当てに観客が集まるくらい、注目の的です。


▶気になる方はウェブサイトをのぞいてみてください→カジミツのコマ~ぶっ飛ばし君~





↓ 一見強そうなコマも、ルールに沿っていないと負けてしまうところがミソ。
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久工大のコマ大戦

Q. 久工大でもコマ大戦の大会が開かれているんですよね?

(野口さん)
久工大は日本で唯一、公認をもらって大会(特別場所)を開催している大学で、企業と学生が共に技術を磨き合っています。お互いに名前を覚えてもらういい機会にもなっていますね。学園祭での観戦をきっかけにコマ大戦の魅力を知ってものづくりプロジェクトに参加する学生も増えています。」



↓ 過去の大会の様子f00634a0-3bd3-4a46-9031-dfb0ac6cfab7.jpg

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(野口さん)
「プロジェクトの活動については、私が1年生に教えたことはなくて、基本的には上級生が下級生にイチから教えています。今の1年生たちには、4年生の野嵜くんが旋盤でコマの土台を作るところまで教えて、その後は、各自で好きな加工を加えていきます。旋盤の使い方に慣れたら、国家資格(機械加工技能士検定3級~2級)にチャレンジしてみたり、学んだことのアウトプットとしてコマ大会に参加します。





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(野口さん)
「上級生と下級生の違いは、加工のアプローチの仕方がまとまっているかどうかです。例えば、コマの元になる金属の棒を、どっちから削る?どのタイミングで加工を入れていく?といったことは、どれだけものづくりをしてきたかによるので、下級生が3~4時間かかる作業を上級生は1時間でできます。




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着実に力をつけて国家資格にも挑戦


目次

1.資格の概要

2.取得のきっかけ、メリット

3.メンバーの雰囲気




▽資格の概要

Q. 野口さんは「一級機械加工技能士」という教育関係では非常に珍しい難関資格をお持ちとのことですが、どのような資格でしょうか?

(野口さん)
機械加工技能士検定は、金属を旋盤やフライス盤などで切削・研削して、所定の形状に加工する技能を証明する国家資格です。試験は学科と実技があり、3級、2級、1級、特級の4段階に分かれています。

3級は工業高校なら高校生で取得済みの学生もいて、うちでは(受験申込が4月なので)2年生で受けています。大学卒業時点で2級を持っていれば、企業は高く評価してくれます。

試験には学科と実技があり、私は実技メインで指導しています。材料と図面を渡されて2時間~2時間半で作るといった内容ですが、速い人(高校で少し経験があって大学で練習するタイプ)で80時間=約3~4か月、普通の人だと120時間くらい練習が必要です。交通機械工学科や機械システム工学科の学生たちは、授業で図面に慣れているから速いですね。」



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▽取得のきっかけ、メリット

Q.学生たちは、資格取得が第一目標というわけではないのですね?

(野口さん)
「基本的に、プロジェクトで機械を使っているうちに資格にも挑戦してみようという感じです。ロボコンの学生は結構旋盤が使えるのに、就活が始まってからそのスキルを証明するものが無いと気づいて受験するんです。3級レベルだとしても、企業は、受験をしたことや費やした時間を評価してくれます。

印象に残っている女子学生が二人いて、一人は、一流の職人が落ちるような金属加工の資格試験に合格して、もう一人は、都内の会社で建物金具の設計をする仕事に就きました。彼女が一度近況報告をしてくれた時は、『図面を見る人が作業しやすいように、掴む部分を残しながら図面を描いている』と話してくれて、学んだことが役に立っているようでした。」



↓ 空き缶で作ったオイルランプとペン立て
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▽メンバーの雰囲気

Q.野口さんから見たものづくりプロジェクトの雰囲気はどうですか?


(野口さん)
学生達は『意欲の塊』ですね。今の1年生7名のうち工業高校出身者は2名だけですが、上級生がちゃんと教えてくれています。あとは、『とにかく楽しく!』という方針です。出入りは自由なので、やる気が出た時に頑張ればいいと思っています。

私個人としては、楽しく企業を倒す、企業をうならせる、企業をビビらせる!をやりたいですね(笑)学生達が大会に出るときは、まず大きな声で挨拶しようと言っています。すると、企業が驚いて名刺を持ってきてくれるんです。学生達には20枚くらいの名刺を全部配って自分のアピールをしてこいと伝えています。

ものセンに来れば、思いついたものを作れる技術が身につけられます。『こういうのを作ってみたい』というのがある人は、ぜひ相談しに来てください。」


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- みなさん、ありがとうございました!


歴史を感じる工場で、真剣な目つきと明るい笑顔が印象的だったコマ大戦プロジェクトのメンバーたち。
10月の学園祭では大学主催の特別場所が行われる予定ですので、ぜひ彼らの雄姿を見に来てください!



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▼参考サイト

久留米工業大学 ものづくりセンター

ものづくり実践プロジェクト 2023年度テーマ一覧

昨年度のレポート「全日本製造業コマ大戦久留米工業大学特別場所」を開催いたしました!

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