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【連載開始】工学系学生の『スケスケ展2』出展プロジェクト|久留米工業大学・学科横断の挑戦ストーリー

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2026.06.10

【連載開始】工学系学生の『スケスケ展2』出展プロジェクト|久留米工業大学・学科横断の挑戦ストーリー

久留米工業大学では、2018~2023年度まで実施された「スケスケ展」に引き続き、この度FUJIなごや科学館にて2026年7月から9月にかけて開催される「スケスケ展2」の制作・出展に携わることになりました!

学生たちの出展に向けた準備の様子や、苦悩し乗り越えていく様子などを数回に分けてレポートしていきます。

「スケスケ展」とは、モノの中身を"透かして見る"体験を通じて、子どもたちの知的好奇心を刺激する企画展です。
デジタルアナログを組み合わせ、普段見えない構造や仕組みを分かりやすく紹介しています。
2019~2023年度には全国12会場で開催され、総来場者は約40万人を超える人気イベントです。


詳しくはこちらのページもご覧ください。

https://koo-ki.co.jp/works/detail/sukesuke?utm_source=chatgpt.com

久留米工業大学の5学科が制作に参画する、2026年7月開催の「スケスケ展2」公式ポスター画像。脳や機械の中身が透けて見えるカラフルなイラストが描かれている

久留米工業大学がコンテンツ制作に協力している「スケスケ展2」の解説パネル。物事の内側を可視化し、知的好奇心を刺激する展覧会の目的が記されている

2026年7月からFUJIなごや科学館(愛知県名古屋市)において開催される「スケスケ展2」のホームページより抜粋しています。


久留米工業大学はこれまでも、機械系コンテンツ制作協力という形で同展に参画してきました。
そして、2019年に工学部交通機械工学科梶山助教が協力し、大盛況だったこの「スケスケ展(製作代表:KOO-KI)」が、文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選ばれました。

機械構造や動物の体内を可視化し、理工系への興味を促す企画性と教育効果が高く評価されたものです。

本学が協力したスケスケ展が文化庁メディア芸術祭で受賞しました!





久留米工業大学の梶山助教が制作協力した、機械構造を可視化して理工系への興味を促す展示物。2019年文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門での実績を示す画像



前回、梶山先生が製作したカットモデル。小中高生に大変な人気でした!


こうした第1回での成果が評価され、今回の第2回開催にあたってもお声がけをいただく運びとなりました。
今回は、その展示の至るまでの学生たちの取り組みを複数回にわたりリアルタイムでレポートします。


さて、今回始動した「スケスケ展2」では、久留米工業大学は子どもたちが直感的に触れて楽しめるギア機構」や「リンク機構」などを中心に、展示コンテンツの制作を進めています。

2026年5月11日、大学内の実験棟において、制作を監督する梶山先生と、制作に取り組む学生たちに取材を行いました。


プロと共に仕事を進めることでプロの厳しさを経験

梶山先生が今回の制作で特に大切にしているのは、単に展示物を完成させることではありません。
学生たちが、実際のものづくりの現場に近い環境の中で、専門分野を越えて協力し、プロとともに仕事を進める経験を得ることです。

梶山先生は、このプロジェクトに2つの大きなねらいを込めています。

1. 多学科参加による学科横断のコラボの実施

2. 学生が学外のプロフェッショナルとともに仕事をする経験

久留米工業大学の梶山助教が、パソコンモニターに映した設計図を指し示しながら、学生たちと展示物の構造について詳細な打ち合わせを行っている様子。

「スケスケ展2」の展示制作に向けて、学生たちと設計の打ち合わせを行う梶山先生



一つは、久留米工業大学の5学科の学生がなるべく多く集まり、学科を横断して協業することです。

もう一つは、プロフェッショナルと一緒に仕事をすることで、学生に実社会の仕事の進め方を学んでもらい、学生のうちに仕事の厳しさを体験してもらうことです。

学科を超えて一つの展示をつくる

今回のプロジェクトには、大学院工学研究科モビリティシステム工学専攻の2名、工学部の機械システム工学科の学生3名、交通機械工学科の学生2名、建築・設備工学科の学生1名、教育創造工学科の学生2名の合計10名の学生と2名の教員が参加しています。
機械システム工学科交通機械工学科の学生は、CADを用いたギアやリンク機構の設計を担当しています。
建築・設備工学科の学生は、木材加工や展示全体の組み立てなど、物理的な制作に関わる予定です。
教育創造工学科の学生は、子どもたちに仕組みが分かりやすく伝わるよう、解説パネルの文言や構成、見せ方の工夫などを担っています。

展示制作には、設計、加工、制御、構造、デザイン、説明の工夫、安全性の確認など、さまざまな視点が必要です。
一つの専門分野だけではなく、異なる学科の学生がそれぞれの学科で学んでいる専門性の強みを持ち寄ることで、より分かりやすく、より安全で、より魅力的な展示を目指しています。

久留米工業大学の異なる学科から集まった学生たちと梶山助教が、円になって活発に意見を交換し、学科横断のコラボレーションを進めている場面

学科を横断したチームが作られ、活発な議論が繰り広げられています。


展示の主役となる「ギア」は、力や速さ、回転の向きがどのように変わるのかを体験的に学べる機械要素です。
また、ワイパーなどに使われるリンク機構は、モーターの回転運動がどのように往復運動へ変わるのかを知ることができる仕組みです。
学生たちは、こうした機械の動きを、子どもたちにも直感的に理解してもらえるよう、形や大きさ、動き方、説明の仕方を検討しています。

久留米工業大学のスケスケ展2のプロジェクトのチーム名は「ひまわり


コンテンツ主役であるギアが、ひまわりの花のように見えることから名付けられました。
学生たちは、春休み中から定期的に集まり、部品の構造や回転軸の仕組みなどについて話し合いながら、制作を進めています。


ひまわりマーク.jpg

チームのロゴマークです。

プロと共に学ぶ、仕事の進め方:ミーティングには学生も参加

このプロジェクトでは、設計そのものは学生に任せられています。
一方で、展示物は多くの来場者、とりわけ子どもたちが実際に触れるものです。
そのため、安全性耐久性を考慮し、実装は精密加工業者に依頼することになっています。

ここにも、梶山先生の意図があります。

学生が考えた設計が、プロの精密加工業者の目から見て実際に製作可能なのか
長期間の使用に耐えられるのか。安全面に問題はないのか
学生たちは、専門業者からのフィードバックを受けながら、自分たちの設計を見直していきます。

また、主催企業である映像を軸に「オモシロイモノ」を生み出すクリエイティブ集団KOO-KIさん(空気株式会社)とのオンラインミーティングにも学生が参加しています。

空気株式会社(KOO-KI Co.,Ltd.)とは
福岡を拠点に、TVCM・WebCM・映画・アニメ・ゲーム・体験型コンテンツなどを手がける映像制作会社です。
映像を軸に「オモシロイモノ」を生み出すクリエイティブ集団として、企画・演出・制作まで幅広く展開しています。

https://koo-ki.co.jp/

今回の取材中、空気株式会社(KOO-KI)より提案された、展示コンテンツの構想ラフ画を拝見することができました。
そこには、プロのクリエイターならではの視点で、複雑な機構を子どもたちのワクワクに変える、驚くほど緻密で分かりやすいイラストが描かれていました。
久留米工業大学の学生たちが制作に参画する「スケスケ展2」において、映像制作会社・空気株式会社(KOO-KI)が作成したプロの構想イラスト。展示の仕組みを子供向けに視覚化した高品質なラフスケッチ。
本来は制作の裏側にある貴重な資料ですが、同社の快諾をいただき、その一部を特別に公開します。
学生たちは、こうしたプロの圧倒的な表現力や『伝える技術』に直接触れ、大きな刺激を受けながら自分たちの設計を磨き上げています。

プロの映像制作会社や外部企業の担当者と直接やり取りすることで、学生たちは、報告の仕方、相談の仕方、合意形成の進め方を実践的に学んでいます


答えがない課題を解決しイベントまでの限られた時間内でカタチに変えていきます

大学の授業や実習では、あらかじめ手順やゴールが決まっていることが多くあります。
しかし、このプロジェクトでは、最初からすべての答えが用意されているわけではありません。
学生たちは、限られた時間の中で、企業の要望に応えながら、自分たちで考え相談し、改善を重ねていきます。

梶山先生は、学生たちに「本当のものを作る時の緊張感」を味わってほしいと話します。
納期、品質、安全性、相手への説明責任。こうした実社会のものづくりに欠かせない感覚を、学生のうちから体験できることが、このプロジェクトの大きな特徴です。


子どもたちに伝わる展示を目指して

「スケスケ展2」は、子どもたちが実際に見て、触れて、楽しみながら学ぶ展示です。
そのため、学生たちは「自分たちが分かるもの」を作るだけではなく、「子どもたちに伝わるもの」を作る必要があります。

たとえば、ギアの仕組みを説明する際にも、専門用語をそのまま使うだけでは伝わりません。
歯車の大きさにあえて差をつける、動きの違いが感覚的に分かるようにする、説明パネルの言葉を工夫するなど、見る人の立場に立った設計が求められます。

さらに、子どもたちが触れる展示だからこそ、安全性の確認も重要です。
大人の視点では気づきにくい危険が、実際に子どもが触れることで見えてくることもあります。
今後は、地域の保育園や小学校などに協力を依頼し、試作品を実際に子どもたちに触ってもらいながら、危ない動きや使いにくい部分がないかを確認することも検討されています。

安全基準だけでは見落とされる可能性のある危険を、実際の利用者の視点から見つけ、改善していく。
この経験も、学生にとって貴重な学びとなります。


企業も高く評価する、学生にとっての実践的な学び

取材では、プロジェクトに参加する大学院生からも話を聞くことができました。

大学院修士2年の藤本さんは、学部入学は2021年のまさにコロナ禍の時でした。
学部1,2年生のころ、自宅でリモートワークが主体で、実習やグループワークの機会が限られていた世代です。
座学中心のリモート授業が続く中で、ものづくりに直接触れる機会が少なかったことへの思いがあり、この「ひまわり」の活動に参加していると話します。

久留米工業大学の実験棟において、梶山助教が大学院生の藤本さんに対し、プロの精密加工業者へ依頼するための設計上の注意点や安全性について直接指導を行っている様子

部品の加工について梶山先生と打ち合わせをするモビリティシステム工学専攻の大学院生 藤本さん

藤本さんにとって、このプロジェクトの魅力は、最初から決められた筋書きに沿って進める実習ではなく、何もないところから自分たちで考え、形にしていく点にあります。
さらに、完成したものを見てもらう相手が子どもたちであることも、大きなやりがいになっています。

自分たちが普段使っている言葉が、子どもたちには通じないこともあります。
だからこそ、言葉の選び方や、感覚的に理解できる見せ方を工夫する必要があります。
こうした経験を通して、学生たちは、技術を分かりやすく伝える力も身につけていきます。

また、認知度が高く、多くの来場者が訪れる企画展に参画し、企業の要望に応えながら制作を進める経験は、学生時代にはなかなか得られないものです。
実際に、企業の採用面接でも、この活動は「グループワークとしても、ものづくりとしても、企業で行うことに近い経験」として評価されたといいます。

社会とつながるものづくり教育へ

「スケスケ展2」の制作は、単なる展示物づくりではありません

学科を越えて協力すること、プロとともに仕事を進めること、子どもたちに分かりやすく伝えること。
そこには、社会で求められる技術者としての力を育む多くの学びがあります。
今後も、このプロジェクトの取材を続け、学生が挑戦する姿を報告をしていきます。

久留米工業大学では、実社会とつながるものづくりの機会を通して、専門教育に加え、協働力、コミュニケーション力、課題解決力を備えた人材の育成に多く取り組んでいます。

これからスケスケ展2に向けて協働し、成長する学生の姿を今後もレポートして参りますので、ご期待ください!

発信元:事業戦略課

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