久留米工業大学
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2026.07.07【連載第2回】久留米工業大学の10人が挑む『スケスケ展2』出展プロジェクト|設計の壁と試行錯誤から得る学び

久留米工業大学では、2026年7月18日(土)からFUJIなごや科学館(愛知県名古屋市)で開催される展示イベント「スケスケ展2~スケると見える仕組みの世界~」に向け、学科の枠を越えた10名の学生チーム「ひまわり」が展示物の制作を進めています。
久留米工業大学では、展示に至るまでの学生たちの様子等を数回にわたりレポートしていく予定です。
第1回の振り返りはこちら▽
【連載開始】工学系学生の『スケスケ展2』出展プロジェクト|久留米工業大学・学科横断の挑戦ストーリー
連載第2回となる今回は、制作の根幹をなす「設計」の現場に焦点を当てます。
不慣れな専門ソフトの操作や、子どもたちのための安全設計といった課題に対し、学生たちが試行錯誤を繰り返しながら一歩ずつ前進する様子をレポートします。
指導にあたる工学部交通機械工学科の梶山助教は、このプロジェクトを通じて「学科を越えた協働」や、納期・品質・安全性に責任を持つ「プロの仕事の厳しさ」を学生に体験させることをねらいとしています。
課題提出で終わらない――プロの責任感を体感する設計の「実践」の壁(交通機械工学科3年 村田さん)
プロジェクトの中核となるのは、展示物の主役である「ギア(歯車)」や「*クランク機構」の設計です。
交通機械工学科や機械システム工学科の学生たちは、3D CADソフト「ソリッドワークス」を駆使して設計に挑みましたが、授業で触れるのとは違う「実戦」の壁に直面しました。
*クランク機構:モーターなどの「ぐるぐる回る動き」を、車のワイパーのような「行ったり来たりする動き」に変える仕組みのこと。
今回のプロジェクトでは、この複雑な動きを再現する設計に挑戦しています。
というのも、今回学生たちが描くのは、単なる練習用のモデルではなく、プロの精密加工業者が実際に製作を行うための「製品の図面」だからです。
授業の課題のように「ソフトの使いかたを覚えて提出すれば終わり」ではなく、プロの目から見て「製作可能で、長期間の使用に耐える安全性があるか」という厳しい基準をクリアしなければなりません。
この「仕事」としての責任感が、不慣れな操作に苦戦しながらも、学生たちが粘り強く設計を見直す大きな原動力となりました。
実際に、交通機械工学科3年の村田さんは、同じ学科の東島さんと共にクランク機構の設計を担当しました。
村田さんは、
「ソリッドワークスは2年生の時に授業で使用したことがありましたが、不慣れだったため、設計段階では分からないことが多く非常に苦労しました。
一時は作業が滞る場面もありましたが、大学院生の藤本さんや橋本さんからのサポートを受け、また自分たちでも熱心に調べることで、一つひとつの課題を解決していきました。
その結果、先生方との話し合いによる数値や形状の変更にも柔軟に対応できました。」
と、これまでの苦戦とそれを乗り越えたプロセスを振り返りました。

【参考】村田さんや東島さんが学ぶ交通機械工学科のページはこちら▽
世界の未来を変える、モビリティの創造
「デザイン性」と「子どもたちの安全性」を両立させる葛藤(機械システム工学科3年 塚本さん)
子どもたちがたくさん見て、触れるという、このプロジェクトならではの難しさが「デザイン性」と「安全性」の両立です。
機械システム工学科3年の塚本さんは、ギア(歯車)とフランジ(軸の固定パーツ)の間に挟むアクリル板のデザインを担当しました。
当初、チーム名にちなんだ「ひまわり」の形を考案しましたが、実際に形にしてみると花びらの先端が鋭く、子どもたちが触れた際に怪我をさせてしまう恐れがあるという重大な課題に直面しました。
塚本さんは安全を最優先し、すぐにデザインの修正に着手。
先端を丸く加工することで安全性を確保しつつも、親しみやすい「花」の形へとデザインを磨き上げました。
最終的にこのアクリル板の採用は一旦保留となりましたが、
「花の形というデザイン性と、子どもたちが怪我をしない安全性。この二つをいかに両立させるか」
という実戦的な課題に悩み抜いた経験は、塚本さんにとって大きな学びとなりました。
改良前(左側)と改良後(右側)
【参考】塚本さんが学ぶ機械システム工学科のページはこちら▽
最先端のものづくりを学び、夢をカタチに
何度も再設計を繰り返して辿り着いた「プロの視点」(交通機械工学科3年 東島さん)
今回の設計プロセスを通じて、学生たちはこれまでの授業では得られなかった「プロの視点」を肌で感じています。
「今までの自分なら、一度設計図が完成したら満足して終わっていました。
しかし、このプロジェクトでは完成後に安全性や耐久面での不安に気づき、何度も再設計を繰り返しました。
子ども向けの展覧会を意識し、シンプルな中にも「角を丸める」「手を挟まない」といった安全への工夫を詰め込んでいます。」
と、交通機械工学科3年の東島さんは、自身の内面的な変化を語ってくれました。
安全と「見せたい仕組み」を両立させるための葛藤(教育創造工学科2年 古川さん)
子どもたちの目線に立つ難しさと向き合っているのが教育創造工学科2年の古川さんです。
「安全を優先すると、一番見てほしい仕組みが隠れてしまうという壁にぶつかりました。
ハンドルには触れるけれど歯車には触れない構造を検討するなど、安全と展示の魅力を両立させる難しさと日々向き合っています。
たくさんのアイデアがある一方で、それをこどもたちに伝えるための取捨選択にも悩み、女の子が興味を持つような飾りをつけてみました」
と、教育と工学の接点での葛藤がありました。
【参考】古川さんや田中さんが学ぶ教育創造工学科のページはこちら▽
工学の力でワクワクする学びを伝えたい
自分が理解することから始めた、低学年向けパネルへの挑戦(教育創造工学科2年の田中さん)
解説パネルを担当する教育創造工学科2年の田中さんは、
「解説パネルを作る上で大変だったことは、小学校低学年でも分かるように説明することです。
ギアやリンク機構のことはよく分からなかったので、まずは自分が理解するところから始まりました。
クイズを作成する際は、イラストや図を多く入れたり、メンバーに『小学生には難しそう』と指摘された部分を、色をつけたり擬音語を取り入れたりして改善を繰り返しています」
と、自身の学びのプロセスを振り返ります。
さらに、複雑な仕組みを子どもたちに直感的に理解してもらうため、教育創造工学科の学生を中心に、擬音語やイラストを用いた解説パネルの制作も同時進行で進められています。
難しいからこそ面白い、他学科と一つの作品を創る「協働の楽しさ」(建築・設備工学科2年 白石さん)
さらに、建築・設備工学科2年の白石さんは、このプロジェクトならではの魅力をこう語ります。
「右も左もわからず参加した講義で、正直話の内容も自分には難しいことばかりですが、他学科の方々と一つの作品を制作する機会はとても楽しいです。何かしらもう少しチームの力となれるように頑張りたいと思っています」
専門分野の異なるメンバーがそれぞれの「分からない」を共有し、補い合いながら進む姿は、まさにこの「ひまわり」チームの原動力となっています。
【参考】白石さんは学ぶ建築・設備工学科はこちら▽
ここちよい暮らし方、安全・安心なまちづくりをデザインする
10名で形にするプロジェクト
学科の枠を越えた10名の学生が、それぞれの専門知識を持ち寄り、一つの展示物を作り上げるプロセスは、まさに久留米工業大学が推進する『実社会とつながるものづくり教育』を体現するものです。
設計の段階で徹底的に悩み、自らの理解を深めながら修正を繰り返した経験は、彼らが将来エンジニアや教育者として社会に出た際の大きな糧となります。
2026年7月18日(土)開幕の「スケスケ展2」に向けて、学生たちの挑戦は続きます。
今回ご紹介した「ひまわり」チームをはじめ、学生たちが熱意を持ってものづくりに挑む久留米工業大学のリアルな雰囲気を、ぜひオープンキャンパスで体感してみませんか?▽
第1回の記事はこちらから読み返すことができます▽
【連載開始】工学系学生の『スケスケ展2』出展プロジェクト|久留米工業大学・学科横断の挑戦ストーリー
(発信元:事業戦略課)


