久留米工業大学
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2026.03.18久留米絣の伝統技術を守る!地域課題を解決する卒業研究で見えた高いニーズと新たな挑戦への意欲|工学部機械システム工学科
2026年3月14日(土)・15日(日)の2日間、久留米地域地場産業振興センター(地場産くるめ)で「藍・愛・出逢いフェスティバル」が開催され、工学部機械システム工学科の渋谷研究室に所属する学生たちが卒業研究で試作した機械などの展示を行いました。
「藍・愛・出逢いフェスティバル」について
このフェスティバルは、久留米が誇る伝統工芸「久留米絣」の魅力を体感できる、年に一度の産地最大級イベントです。
絣の風合いや着心地、使い心地など、さまざまな魅力を紹介し、多くの方に「かすりファン」になっていただくことを目的としています。
会場には久留米絣の織元や商店が集まり、展示販売を実施。来場者が楽しめる新作発表会やファッションショーなどもあり、多くの方で賑わいました。
\藍・愛・出逢いフェスティバルで卒業研究内容を発表/
このイベントでは、
・卓上括り機(実機)
・半自動緯糸巻取機(実機)
・江紙罫線消去システム(実機)
・AIを用いた動力織機の稼働状態判定(パネル)
を展示し、学生たちがブースを訪れた方々に説明を行いました。

▽来場者や絣業界の方々を前に、「久留米工業大学では、卓上括り機や半自動緯糸巻取機など、久留米絣の製造装置に関する研究開発を行っています。実機を展示し、デモも行っているので、是非ともブースにお立ち寄りください」などと、学生たちが卒業研究内容を一生懸命アピールし、来場者からはたくさんの関心が寄せられました。

▽来場者からは、具体的に次のようなお声をいただきました。
・絣ってこのような装置で製造しているんだ!
・大学でこのような取り組みをしているんだ!
・
・この装置はこのように改良した方が良い、こういう用途にも使えるのでは?
・実用化したら是非とも使ってみたい!
・ベンチャー企業を立ち上げては?
・(他の絣産地の職人さんから)長年、こういう機械があればなぁと思っていた機械に巡り会えた。今後も定期的に開発状況を教えて欲しい。

澁谷教授より
-学生が頑張ったこと、学科での学びを活かせた点など
久留米絣の製造では容易に伸び縮みする綿糸の張り具合(張力)
装置の試作には、コンピュータ上で設計して、それをコンピュータシミュレーションで動作解析し、問題なく動作するようであればコンピュータ制御の工作機械や3D
研究開発している技術の完成度は年々増していますが、実用にはまだ手が届いていません。実用化に向けて、繊細で取扱いの難しい天然素材を安定して再現性良く取り扱える機械にするために今後も技術開発を継続していきます。
ブースには多くの方に訪問いただき、ご助言から叱咤激励まで様々な生のコメントを頂きました。中には自分が開発した機械のニーズが思っていた以上に高くて、卒業後も久留米絣に関わっていずれはベンチャー企業を立ち上げたいと考える学生も出てくるなど、今後に向けてのモチベーションになりました。
(発信元:工学部機械システム工学科)
▽参考
\久留米工業大学は、地域連携の一環として伝統文化「久留米絣」を支援/
久留米絣の生産現場では現在も100年ものの動力織機が現役で稼働していて、ここまで歴史の長い機械を使っているのは久留米だけのようです。
しかしながら、業界では高齢化や後継者不足により技術継承に危機感を感じており、さらに、機械の老朽化に伴う維持・保守の難しさから、「生産性の向上」と「作業の効率化」が課題とされてきました。
そんな中、久留米工業大学は2016年に久留米市広川町と包括連携協定を締結し、澁谷教授が2022年から町の補助金を受けて、100年以上前から使われている絣織機(豊田式鉄製小型動力織機-通称:Y式織機)の修繕プロジェクトに取り組み始めました。
5年ほど前からは、織元からの要望に応え、学生と共に「(絣糸の)括り機」の開発にも携わっています。この卓上括り機は、アパレル業界が求める「短期間で極少量のサンプルを作る」ことを可能にし、ビジネスチャンスの獲得、ひいては伝統文化の存続に繋がりました。また、若手デザイナーにとっても試作がしやすくなり、後継者育成に貢献しています。
▽2025年の大阪万博で展示された卓上括り機。PC画面上に表示した江紙の画像上をマークが移動してその時点の括り位置を示すシステムを開発しました。
▽多くの外国人や子供たちが興味津々で織り機を体験しました。
(澁谷教授)
「絣織機は図面が残っていないので、学生に織機を分解して図面化させたこともありました。図面さえあれば3Dプリンターで部品の型が作れますし、それでメンテナンスも可能になります。造り自体はシンプルですが、組み立てる時のねじの締め加減を誤ると動かないので、組み立てる時には職人さんにコツを教えてもらいました。
人間が勘や経験で聞き分けている音の違いをAIに学習させて機械の調子を判断するという研究を、本学のAI応用研究所と一緒に行っていまして、今、教え子の一人が大学院に進んで取り組んでいます。調子の悪いところと音の周波数に相関を見つけることができたら、絣職人の後継者育成ができるのではと考えています。」
詳しくは、澁谷教授先生のインタビュー記事をご覧ください▽
【伝統技術を万博に出展】久留米工業大学の澁谷教授と学生が携わった久留米絣の括り機が大阪・関西万博で展示・体験されました!
\全国的に高い評価を獲得している久留米工業大学のAI教育/
久留米工業大学のAI教育は文部科学省や日本工学教育協会などから高い評価を獲得しています。
▷久留米工業大学『地域課題解決型AI教育プログラム』が日本工学教育協会賞の工学教育賞に輝く|九州工学教育協会賞とのダブル受賞
このプログラムの核となる「AIを活用したPBL(地域課題解決型学習)」では、学生たちが企業や自治体と連携し、AIを活用して、伝統産業、農業、医療、教育、行政など様々な分野の課題解決に取り組んでいます。
令和7年度は、機械システム工学科の学生たちがチームDENを結成し、「音や振動から織機の調子を推定・故障予知をするAI技術の確立」というテーマに挑戦しました。
『誰でもできる織機の異常を検知し、後継者への技術継承の補助をする』という目標に向けて、実際に現場に足を運んで職人の方にお話を伺ったり、織機の動きや音を確認。解析データから、各織機や時間帯(日々の調整)などによって調子が異なることが分かりました。
(サポートしてくださった福岡県工業技術センター職員の方のコメント)
「学生が実際に現場で測定を行うなどしながら社会課題に積極的に取り組むPBLは、とてもよいと感じました。織機の信号異常検知はこれまで誰も試みていなかった分野で、データを測定し可視化できただけでも大きな成果だと思います。今後、AI活用とデータ収集の継続に期待しています。」
AI-PBLのテーマ数は年々増えており、令和7年度は16テーマに到達。
成果発表会は、オンライン参加も含めて170名の方にご視聴いただきました。

詳細はこちらの記事をご覧ください▽
令和7年度「地域課題解決型AI教育プログラム(PBL)」の成果発表会を開催しました


