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巨大な構造転移を伴ったモット絶縁体の金属化に乾電池1個に満たない電圧で成功!

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2013.11.13

巨大な構造転移を伴ったモット絶縁体の金属化に乾電池1個に満たない電圧で成功!

 久留米工業大学教育創造工学科の中村文彦教授、広島大学先端物質科学研究科鈴木孝至教授、京都大学理学研究科の前野悦輝教授の研究グループは、電子の集団運動によって絶縁体化した(いわゆる、モット絶縁体状態にある)ルテニウム酸化物に、室温で乾電池1個に満たないわずかな電圧を加えるだけで、巨大な構造転移が引き起こされて、顕微鏡で確認できるほど大きく結晶が縮み、金属化することを発見しました。さらに、わずかな電流を流し続けることによって、電場で金属化した状態(スイッチオンの状態)を低温まで維持することにも成功しました。

 これまでに報告されているスイッチ現象の多くは、高電場の印加や、さらに液体ヘリウムなどの寒剤での冷却を必要としました。今回発見された現象は、電子の集団運動がより強い系で、これまでにない大きな体積変化を伴い、2,000~20分の1程度の低電場かつ室温で起こります。

 また、このスイッチ現象に必要な電場は低温に向かって急激に増加するため、スイッチオンの状態を低温で実現することは困難でしたが、室温でスイッチ後わずかな電流を流し続けることで低温までオン状態を持続させることにも成功しました。川の水が氷点下でも凍りにくいのと同様、電子の流れがある金属状態(非平衡定常状態)では電子が凍った絶縁体状態に戻りにくいという新しい現象の発見いえます。

 これらの発見は、低電力で動作するトランジスタなどのスイッチング素子(抵抗変化型メモリー)、音波発信器や 温度、歪み・圧力センサーへの応用につながることが期待されます。

 

英国Nature Publishing Groupの科学雑誌『Scientific Reports』電子版3巻(DOI:10.1038/srep02536(2013), http://www.nature.com/scientificreports.)に掲載された本研究成果が、11月30日(土)久留米工業大学で開催される日本物理学会九州支部会で発表されます。

 

動画説明

 ある種のルテニウム金属酸化物(=瀬戸物のような焼き物の一種)は、わずかな電圧・電流を加えると体積の変化を伴って絶縁体から金属へ変化することを発見しました。動画は、電圧パルス下でこの酸化物が大きく収縮・膨張を繰り返す様子です。この様な大きな変化を示す物質は極めて希で、今後、低電力動作の電子デバイスや各種センサーに応用されることが期待されます。

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