久留米工業大学
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2024.07.18【学生インタビュー】地域に新たな風を呼び込む!ASURAの挑戦
ASURA(アシュラ)は、学生たちが主体となり、地方公共団体や民間企業と連携して実践的な共同プロジェクトに取り組む本学の建築サークルです。
2024年4月には、1013法人、1115プログラムが応募した「学生が選ぶキャリアデザインプログラムアワード」(後援:文部科学省・厚生労働省・経済産業省ほか)にて「地方創生賞」を受賞する快挙を達成するなど、その活動は全国から高い評価を得ています。
今号では、ASURAのプロジェクトメンバー4名に活動のやりがいや地域課題にかける想いを伺います。
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<TOPIC>
・ASURAの活動を通して、社会人になるためのステップを学ぶ
・「やるしかない」という緊張感の中で、物怖じしない精神が身に付く
・仲間や大人との関わりを通じて経験を深めていく
・地域の文化や歴史と調和したまちづくりを目指して
・STUDENT VOICE
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社会人になるためのステップを学ぶ
────今年受賞された「地方創生賞」とは、どのような賞ですか?
藤本:
「地方創生賞」は、地域活性化に貢献したプロジェクトや、その成果を形にした実績を表彰するものです。
現在、ASURAでは多くのプロジェクトを展開していて、とくに福岡県南部、久留米市やうきは市などと連携して活動しています。
たとえば、川の駅などの多面的な施設改修プロジェクトや、公共施設の新たな利活用を目指した「夜あそび大作戦」、グリーンピア八女でのナイトプールなどの事業があります。これらのプロジェクトで学生が主体的に活動した点がキャリアデザインプログラムとして高く評価され、今回の受賞につながったと考えています。
物怖じしない精神が身に付く
▲2023年度代表 藤本 陸斗
────プロジェクトを進める上で、どのような壁がありましたか?
藤本:
学生がよく直面する壁の一つに、コストの課題があります。現実的なコストを考えなければ、プロジェクトの実現性にはつながりません。
実現したいアイデアがたくさんあっても、周囲の大人たちから「コストがかかりすぎて無理ではないか」と指摘されることもありました。それでも、自分たちの取り組みが地域活性化につながると信じて、何度も話し合いながら黒字化に努めました。どれくらいのコストが必要か、どこを削減できるかをチームで徹底的に話し合い、実現に必要な許可申請もすべて学生たちで調べて手配します。
もちろん、学生の知識や経験だけで解決できない部分は大人や教職員の方々の力を借りることもありますが、基本的には学生たち自身で乗り越えます。
────学生主体でプロジェクトを進めているんですね。
藤本:
そうですね。
基本的に何事も学生たち自身で解決するので、経験を重ねるうちに無理難題や未知の課題に対しても、物怖じすることが少なくなってくるんです。
その過程で、実行力が身に付くと感じます。
経験を深めていく
▲副代表/UKIHA PROJECT プロジェクトリーダー 中渡瀬 志穂
────学生だけで、地域との関係をどのように築いていくのでしょうか。
中渡瀬 :
地域で活動を始めるには、まず私たちの存在を知ってもらうことから始めます。
現在、私はうきは市の地域活性化を目指すプロジェクトを進めていますが、その最初のステップとして、うきは市長に私たちの取り組みを提案する機会をいただきました。その際、市長から「地域のイベントに出てみたらどうか」という提案を受け、イベントでスペースを作ることになったんです。
こういったやりとりも基本的に学生主体で行うので、大人との関わり方を学ぶ良い機会になっています。「学生だから」ではなく、一つの事業として実現するために、社会人としての言葉遣いや企画書の作成をしっかり学びます。
────ASURAはおそらく日本最大規模の学生建築プロジェクト集団ではないでしょうか。チームでプロジェクトを進めることの楽しさや難しさはありますか?
渋谷:
僕は1年生までは自分のプロジェクトに集中していましたが、2年生からは運営メンバーとしてASURA全体のプロジェクトを把握し、進行を管理するようになりました。
チームのさまざまな状況や意見を考慮して、一つの方向を示すことは大変です。判断が正しいかどうかは進めてみないとわからない部分も大きいですが、こういった経験を通して社会人になるステップを一歩ずつ歩んでいると感じます。
青野:
ASURAはメンバーが多く発想も多様で、多角的な視点でアドバイスをもらえたり、意見交換できることが楽しいですね。
たとえば、上級生はこれまで培った知識や経験に基づいた建設的なアドバイスをくれますし、下級生は経験が浅いからこそ、型にとらわれない自由でおもしろい発想が飛び出してきます。双方の意見を取り入れることで、より良い方向を模索できていると思います。
学びを重ねると、これまでの経験から「こんなことはできないだろう」と考えてしまって、発想が凝り固まってしまうことがあります。だからこそ、1年生の自由な発想から学ぶことも多いです。
まちづくりを目指して
▲副代表/DIY 久留米リノベプロジェクトリーダー 渋谷 将志
────今後ASURAで、どのような地域課題の解決に取り組みたいですか?
渋谷:
僕は空き家問題の解決に取り組みたいです。
最近は、空き家を喫茶店や民泊にリノベーションする流れがありますが、ASURAでは新たなアプローチで「ASHURAで空き家を再生したら、人がいっぱい集まるようになった」という実績を作りたいです。実行には何百万円もの費用がかかるので、人が集まる仕組みや収益化までしっかり見据えた地域活性化の仕組みを構築していきます。
中渡瀬 :
私はASURAの強みである空間デザインを活かして、うきは市で地元の人が快適に暮らせる空間づくりに取り組みたいです。
うきは市は観光地として注目されてきている一方で、地域住民のための施設は足りないと思っています。とくに高齢者が多い地域でもあるので、皆さんが心地よく交流できるようなコミュニティ施設の整備を考えています。
▲代表/阿修羅喫茶共同プロジェクトリーダー 青野 香菜
青野:
私はその土地で暮らす人たちとの対話を通じて、地域のニーズを研究し、それを活かした地域づくりに取り組みたいと考えています。
単に新しく綺麗な建物を作るだけではなくて、その土地で育まれてきた伝統や文化を尊重し、地域の人々にとっての新しい価値を生み出す空間づくりに挑戦したいです。
藤本:
僕たちはデザイン集団ですから、もちろんデザインや発想のスキルを磨いていかなければなりません。そこで、自分たちのアイデアの裾野を広げるためにも、子どもからお年寄りまでさまざまな世代の方々が持つ意見や考え方を取り入れられる「地域コミュニティ」を築くことも大事だと考えています。
こうした交流の場があることで、地域の人たちと一緒に過ごす中で私たちも新たなインスピレーションを得ることができますし、地域や空間デザインに興味を持っている中高生にとっては、実際のプロジェクトに触れる良い機会となり、将来のキャリア選択の参考にもなるかと思います。
地域の魅力を引き出し、地域貢献につながるアイデアを生み出し、ASURAと地域住民の間に良い循環が生まれることを願っています。
ASURAでは、グラフィックデザインや空間デザインを学びながら、実践を通して企画書の魅せ方やお金のマネジメント、自治体や企業との接し方など、社会で活躍するために必要な知識や経験を学生のうちから吸収することができます。他の大学では得られない、実践的な学びがASURAには詰まっています!
【副代表/UKIHA PROJECT プロジェクトリーダー(2年生)】中渡瀬 志穂
1)原口新五久留米市長を表敬訪問
2)新代表(中央)と両脇で支える副代表の二人
3)緊張が解けてホッと一息の学生たち
4)改装を手がけた筑後川の駅「しばかり」
5)「鹿鳴之宴」筑紫の誉酒造様(久留米市城島町)で空間設営
6)「阿修羅喫茶」での集合写真
▼ASURA 公式Instagram
https://www.instagram.com/asura_design_official/
▼キャリアデザインプログラムアワード 公式サイト
https://internship-award.jp/
取材・撮影/株式会社サンカクキカク