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東大 Yanekara × 久留米工大 ×地場企業で、2050年の理想の暮らしを議論

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2021.11.11

東大 Yanekara × 久留米工大 ×地場企業で、2050年の理想の暮らしを議論

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2021年9月末、久留米工業大学にて2050年に未来の中核を担う若者が、理想の地方の町・暮らしの姿を話し合うイベントが開催されました。

東大学部生・大学院生が中心となり活動している東大発ベンチャー企業「Yanekara」のみなさんと、福岡県八女市を中心に活動する やめチーム(やめエネルギー株式会社、株式会社アズマ)、今回のイベントをコーディネーターした株式会社サンカクキカク、そして久留米工業大学の教員・学生などが参加しました。

お互いに今取り組んでいる活動をプレゼンし、2050年の未来の暮らしについて議論しました。その時の内容と様子をご紹介します。



東大発ベンチャー企業「Yanekara」とは

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(株式会社Yanekara 代表取締役 松藤氏)

Yanekaraは、電動車両の充放電システムを開発している会社です。今後は、地域のエネルギーマネジメントや通信・モビリティなどのネットワークにも活動を拡大していく予定だそうです。



創業メンバーが若い

代表取締役CEOの松藤氏は、現役東大院生で、電動車両による送配電網の安定化を研究されています。代表取締役COOの吉岡氏は、日本の高校を卒業後、ドイツのフライブルク大学にて再エネ先進地域・欧州のエネルギー政策・ビジネスを研究した後、帰国し松藤氏と共にYanekaraを創業しました。



Yanekaraが実現したいこと

Yanekaraは、「地球に住み続ける」ための仕組みづくりを、若い世代の力と自然エネルギー、技術を組み合わせて実現させようとしています。松藤氏と吉岡氏は自然エネルギーの可能性を原体験として体感しており、スピード感を持って事業開発に取り組んでいます。



電動車両を蓄電池として着眼

EV車両を複数台繋げて、1つの電池のように使えるようにハード・ソフトの両方を開発。2020年9月〜12月まで八女にある株式会社アズマにて実証実験をし、成功と失敗を経験されました。いくつか課題が判明し、引き続き改良を重ねながら、八女から全国に展開していく予定だそうです。

2021年からは助成金に応募をしたり、東大内でメンバーを募ったりしながら、少しずつ規模を「拡張」しています。




持続可能な強い田舎をつくる「チームやめ」

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(やめエネルギー株式会社 代表取締役 本村氏)

衰退していく地元八女をどうにかしたい。

福岡県八女市の人口は約6万人(令和2年調査)。八女市民の年間払っている電気料金は約53億円。これが地域外に流出しています。この問題に取り組んでいるチームが「チームやめ」です。



地域に電力会社を作り、地元資金を地域に留める

地域外に流出している地元資金を地域に留め、地域に還元していくため、2017年に やめエネルギー株式会社を設立。「地域と共に、未来を拓く」を企業理念に「やめのでんき」を販売し、そこで得た利益で地域の課題解決をするサービスを立ち上げていく構想で動いています。




DSC_2836.jpg(株式会社アズマ 代表取締役 中島氏)

ドイツの先進的な地域の取り組みに衝撃を受けた

ドイツに3年間で3回訪問し、20数カ所を視察。その中でも2回訪問したビルトポーツリート村は、2016年訪問時のエネルギー自給率は500%、2018年訪問時のエネルギー自給率は700%。これは八女でやるしかないと決意。



太陽光発電システム導入コスト0円

2020年6月より、太陽光発電システム導入コスト0円で、さらには導入したシステムがいずれ自分の所有物になるサービスを開始。導入しやすい仕組みをつくり、地域でエネルギーをつくり、やめエネルギーを介して地域にエネルギーを循環させていく。これが強い田舎に繋がっていくと中島氏は強く信じています。

ちなみに、八女で消費されている電力総数は、八女にあるすべての屋根の上に太陽光パネルを設置することができれば全て賄えるだけでなく、余るほど電力を生み出せるそうです。

また、再生可能エネルギーは価格が高い印象を持たれている方が多いと思いますが、原子力・火力発電の電気料金が上がり、再生可能エネルギーの電気料金が下がりましたので、既に再生可能エネルギーは高くないエネルギーという常識に変わり始めています。電気の選び方が変わりそうです。




八女市の空き家活用に関する研究発表

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半田建設株式会社 半田氏)

2021年3月に久留米工業大学での学び直しを終えた半田氏は、在学時代に研究した八女福島における空き家活用が成功している要因を発表しました。



成功の要因

複数のNPO法人、空き家所有者、行政などさまざまな登場人物を巻き込み、良好な官民連携のシステムを作り上げていることが成功の要因と結論づけられました。

長期計画で動き、まち全体で仕組みを作り、資金調達先を分散し、負担を分散させながら取り組みの輪を広げている実態をさまざまなインタビューなどを通し発見。

空き家活用の成功には、一部の人だけで動くのではなく、必要な登場人物を加えた事業スキームを確立することがとても重要な要素と力強く発表されました。




2050年のエネルギー活用について

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(久留米工業大学 AI応用研究所 呉 特任助教)

呉特任助教は、2050年に省エネルギー生活を実現するために、どのようなエネルギーの使い方をすれば良いか発表しました。



帯水層蓄熱システムの効率的な運用方法

帯水層とは、いわゆる地下水層のことです。帯水層蓄熱システムとは、夏には冷たい水を吸い上げて熱を持った水を地下に戻し、冬にはその逆をし、自然の力を活用し快適な生活空間を省エネルギーで実現するシステムです。

電力の利用には1日また1年で波があり、自然エネルギーを活用して作り出した余剰エネルギーを帯水層に蓄熱し、必要に応じて分散利用することでより効率的にエネルギーを使っていこうという研究を進めています。



行動変容を組み合わせる

どれだけ効率的なエネルギー運用システムを開発しても、使う側が湯水のように大量に使ってしまえば、元も子もありません。システム開発と同時に、行動を変容させていく取り組みも進めています。



省エネ教材作り

行動変容を促進するため、省エネのやり方や考え方を伝える教材作りを進めています。大人が学ぶことも大事ですが、大人になってから行動を変えることはとても大変です。子どもの時に考え方を教育し、行動を習慣化させていくため、省エネ教材作りにも力を入れています。




ごちゃ混ぜでグループワーク

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東大生と久留米工大生、社会人をごちゃ混ぜでチーム分けし、グループワークをしました。テーマは「2050年の理想の暮らしと課題」です。


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ホワイトボードを使いながら、熱い議論が繰り広げられました。みなさん楽しそうです。


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ベーシックインカムや自動運転による無人タクシー、交通の動きの最適化、地域との関わり方、都会と地方の賃金格差がない働き方、無駄になっているモノの情報共有網、心身の健康寿命などの意見が出ました。

また、地方の理想の暮らしから「地方の」が取れることが理想という意見も。地域格差が小さくなり、無駄が減り、やりたいことができ。より自由になる人が増えることが、理想の暮らしなのかもしれません。



おわりに

日本人は「自己決定」に幸せを感じるそうです。自己決定をどれだけできる環境で生きられているかが、幸福度を左右するとも言えます。地方は自己決定のチャンスに溢れています。久留米工業大学は自己決定できる場に学生を送り出していく、もしくは自己決定できる場を作る、そんな取り組みを増やしていきます。




取材者:高田樹彦

久留米工業大学 広報コーディネーター

株式会社サンカクキカク 企画営業部 / 新規事業開発部 / 広報PR部 マネージャー




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