久留米工業大学
新着情報
2021.10.01ついに、福岡県久留米に AI 応用研究所開所!久留米工業大学の挑戦
2021年9月14日、久留米工業大学100号館とオンラインにて、AI 応用研究所(久留米工業大学内)の開所式と記念シンポジウムが行われました。
ここ数年で、人工知能 ( AI ) 技術は非常に発達。AI 技術は、人々の生活に欠かせない存在となりました。
内閣府は、AI やデータサイエンス分野において将来深刻な人材不足になると予測しています。
AI 応用研究所は、地域産業の課題に対し AI 技術を応用して解決を行うこと、将来の AI 社会を担う AI 技術者を育成する教育を行うこと、の2つを柱に設立されました。
地域において AI 応用研究所の存在感は今後ますます増していくでしょう。
今回は、AI 応用研究所の役割や AI 教育の内容、記念シンポジウムでの学生による AI 教育成果発表の様子などをお伝えします。
AI 応用研究所を設立して約1年半が経過。研究所としては、コロナ禍の影響も受けましたが一定の成果が得られてきました。
また、教育の分野では2021年8月4日に文部科学省より AI 関連の体系的教育を行っている教育機関として「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム (リテラシーレベル) MDASH Literacy+」に認定されました。
筑波大学や九州大学などの国立大学と並んで久留米工業大学が選出され、本学は AI 教育で国内を先導する10の大学の1つになりました。
( 講演者: AI 応用研究所所長 千田 陽介 )
千田所長は、今後の AI 社会は、人工知能( AI )をパソコンのように当たり前に使えて一人前という時代に入ると考えています。
政府が出している AI 戦略2019では、今後、高等学校から AI リテラシー教育を実施すると記載されています。
これからの時代は、AI を作れる/活用できる人材のニーズが高まっていくことが予測できます。
AI 応用研究所は、学内のあらゆる組織活動の基盤になるような存在を目指しています。また、学内だけでなく、地域のあらゆる方に活用してもらえるように開かれた地域のための研究所にしたいと思います。
最新情報を追う「最新技術調査部門」、地域のニーズを調査し解決策を提示する「地域連携・応用部門」、AI の目耳となるセンサーを作ったり、データ収集管理方法を考えたりする「データ収集・Iot部門」、コストと性能のバランスを考える「 AI 実装・評価部門」など。
久留米工業大学は、「地域に貢献する」をテーマに掲げて変化を続けています。AIが当たり前の時代に、AIで地域に貢献していく体制を築いていきます。
( 講演者: AI 応用研究所 副所長 小田 まり子 )
本学の AI 教育は令和3年度の「数理・データサイエンス・ AI 教育プログラム」において、MDASHリテラシー+に認定されました。
本学 AI 教育が評価された理由には、独自の「地域課題解決型」の教育であることが挙げられます。
「実践力を磨く」をテーマに、AI・データサイエンスを机上で学ぶだけでなく、実際に地域課題に対して AI でアプローチする体験・経験を積むことに重点を置いています。
まず、大学生生活に慣れ始めた1年生後期には、全学必修科目として「 AI 概論」を受講します。AI 概論は、AI とは何か、AI の社会に与える影響などを座学で学ぶだけでなく、Python によるプログラミングにより、統計学の基礎、データ解析・可視化、機械学習の仕組みを学んでいきます。
基礎知識が身についた2年生前期には、応用基礎レベルとして、ディープラーニングのプログラムの実装までを体験します( AI 活用演習)。
本学 AI 教育の魅力は、地域と連携した学修・研究・開発にあります。
大学生の間から、実在する地域課題をテーマに、地域のさまざまな個人・法人と連携して、AIを活用した課題解決を進めていきます。
地域の社会人とクラスメイトになり課題解決を学ぶ「地域連携I」、長期プロジェクト形式で実際に地域課題解決に動く「地域連携II」など、学内だけでなく、学外も組み合わせて実践的に課題解決力を磨ける環境があります。
本日学生たちは、2021年前期の AI 活用演習「選抜クラス」での研究成果を発表してくれます。今年の AI 活用演習参加者は、2年生31名、教員7名、サポート学生6名、地域社会人数名でした。実在する地域課題6つをテーマに、課題解決方法を考えました。
また、セントラルワシントン大学と連携して実施しているバーチャル海外留学(Zoom)では、国際的視野を持つ AI エンジニアの育成を目的とし、課題解決PBLで取り組んだテーマについて、英語でディスカッションしたり、英語で成果報告したりしました。
バーチャル海外留学で英語のコミュニケーションスキルを向上させた学生たちは、まず最初に研究成果の概要を英語で発表した後、研究の詳細を日本語で発表しました。発表の様子と内容をご紹介します。
久留米工業大学は、久留米特別支援学校のICTによる学習を長年支援してきましたが、コロナウィルスの影響で対面での教育活動が制限されてしまいました。
チーム1は、より良い教育環境を提供するために、表情や骨格認識で学習者の理解度・集中度を認識し、学習者の学習を AI で支援する教育システムを開発中。
表情を71の特徴点で計測数値化し、その数値から、現在どのような感情でいるのかを AI が推定します。さらに、上半身の骨格を認識し、集中して学習しているのか、していないのかを骨格の動きから判断します。
受け取った表情認識や骨格認識の数値によって 3D キャラクターが応援の動作や声掛けなどをすることで学習サポートします。
今後は、AI による解析データと 3D キャラクターの動きの連動を進めていく予定だそうです。
久留米絣とは、筑後地域の伝統織物です。伝統産業ではよくある話だと思いますが、いわゆる「経験と勘」という世界なので、若手への技術継承が課題に挙がっています。
技術継承の中でも、久留米絣の柄ずれ(織っていくうちに柄がずれていく)の調整はとても重要だそうです。
チーム2は、柄ずれを減らすサポート AI を考えました。進行形で織られている久留米絣の模様を画像認識。ずれが生じ始めたタイミングで、調整できるようにアラートを出しサポートします。
判断基準は、織元35名に許容範囲と範囲外のアンケートをとり、柄ずれの基準を AI に学習させたとのこと。
日本の伝統産業を守るために AI を活用する時代ですね。
家庭菜園者や農業初心者にとって、農作物の病気の判断はとても難しいことです。チーム2は、このような方を助けたいと考え、きゅうりの葉で病気診断する AI アプリを開発中。
今回は、きゅうりの品種改良をしている地域企業などに協力してもらい、健康なきゅうりの葉と病気のきゅうりの画像をもとに AI に学習させ、病気の診断ができるようになりました。
スマホにアプリをインストールし、アプリから写真を撮影。AI が画像認識し、病気の種類を特定。さらに、今後は対処法を提示できるようにしていくそう。
アプリには SNS 機能も実装していき、農家同士の交流・アドバイスができる場の創出も検討しているとのこと。
新規就農者が、安心して新しい作物の生産をできるように支援できるプラットフォームの創出は興味深いです。
久留米工業大学は、地域に根ざした AI 研究を進めていきます。地域に実在する課題に対して、教員・学生・研究教育機関・地域企業・行政などが連携し、心理的にも距離感が近い、地域に根ざした大学だからこそできる貢献・教育を続けていきます。
▼共同研究に興味のある企業様は下記にご連絡ください▼
AI応用研究所全般
0942-22-2345(代表) FAX:0942-21-8770
E-mail:somukikaku@kurume-it.ac.jp
▼地域課題解決型AIプログラムの問い合わせはこちら▼
0942-22-2348(直通) FAX:0942-21-8770
E-mail:kyomu@kurume-it.ac.jp
▼AI応用研究所ページ▼
取材者:高田樹彦
久留米工業大学 広報コーディネーター
株式会社サンカクキカク 企画営業部 / 新規事業開発部 / 広報PR部 マネージャー