工学部でものづくりを学ぼう!製造業の重要性や将来性、学科ごとに学べる内容を解説

工学教育

世界に誇れる技術力や競争力があると言われてきた日本の「ものづくり」。今後の日本の国力を支えるもののひとつともなる、ものづくりの技術や知識を学べるのが「工学部」です。

将来ものづくりに携わる仕事をしたい人は工学部が進路となりますが、工学部と一口に言ってもさまざまな学科があります。この記事では、日本のものづくりや製造業の重要性や将来性を踏まえて、大学の工学部で学べる内容を解説します。将来の日本を支える技術者を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

日本のものづくりとは

工学部と大きなかかわりを持つ、日本のものづくりの特徴や重要性、将来性について解説します。

ものづくりとは

ものづくりの「もの」とは生産・製造される「物」を指します。つまり「ものづくり」とは物をつくる=生産者や製造業を指す言葉です。なお、カタカナで「モノづくり」と表記される場合は、製品そのものの製造のほか、サービスを付帯するなど製品に付加価値を与える活動まで含むことが多くなっています。

日本のものづくりの特徴

島国である日本は国土が小さく、資源が乏しいという特徴があります。そのため閉鎖的な環境下で熟練された技能と技術を基に、海外の先端技術を柔軟に取り入れて今日までものづくりの技術を発展させてきました。たとえば1543年に種子島に鉄砲が伝来してから、わずか1年未満で火縄銃の国産化を実現し、大量生産体制も整備しています。

日本のものづくりには、コツコツ真面目に取り組む「温故知新」という考えの元技術を伝統として継承する、という側面に加えて、柔軟性や応用力があります。その結果、日本のものづくりは世界でも群を抜く競争力を持ち「ものづくり大国」とも呼ばれるようになりました。

日本のものづくりの重要性

日本のものづくりを支える製造業は、日本の業種別GDP構成比(2019年度)にて、第1位のサービス業(32.1%)に次いで第2位(20.5%)です。日本の製造業の歴史は米国と欧州に次いで長く、日本経済を支えるうえでも、製造業は重要な役割を担っていると言えます。

日本のものづくりの将来性

2002年まで、日本の製造業の国際競争力は北米に次いで第2位の地位にありました。ところが2007年は欧州に抜かされ第3位、2008年にはアジアに抜かされ第4位まで転落します。2022年現在でも日本の製造業の国際競争力は第4位のままです。

日本の製造業の国際競争力が急激に低下した背景には、以下の要因があります。

  • 低コストでものづくりができる新興国の台頭
  • デジタル化により複雑な工程不要でものづくりの実現が可能になった
  • 少子高齢化による人手不足
  • 災害やコロナ禍などの社会情勢の影響

近年ものづくりは「コストを抑えて大量生産できるスタイル」へ切り替わりつつあります。そのため家電などの消費者分野の製造業は、特に大きな打撃を受けています。

リーマンショックや東日本大震災によって打撃を受けた製造業も、2013年以降から回復の兆しを見せてきました。ところが2020年以降のコロナウイルスショックやウクライナ危機の影響を受け、2023年1月現在も製造業の見通しは立てにくくなっています。

一方で、自動車、工作機械、事務機械など複雑な工程が必要となる分野では、日本の製造業の国際競争力はまだ衰えていません。現場で複雑なものを作り上げられる日本のものづくりの強みを活かすこと、労働力不足を解消するために製造業のDXを推進することが、日本のものづくりの国際競争力を上げるうえで重要と言えるでしょう。

日本のものづくりを支える「工学部」

日本のものづくりの国際競争力を強化するためには、将来のものづくりを担う技術者を育成、輩出することも重要となります。ものづくりに関する知識の学習や研究ができるのが、大学の工学に関する学部・学科です。日本のものづくりと工学部(工学科)の関係について解説します。

工学とは

工学とは、すでにある科学技術を今後の生活や社会にどのように役立てるかを追求する学問です。たとえば、すでにある家庭用ゲーム機を「据え置きだけでなく携帯できるようにする」「インターネットに接続してオンラインで遊べるようにする」「データをクラウドでバックアップできるようにする」などのように改良するのは、工学の領域に入ります。

新潟大学では、工学の特徴はすべての教育・研究が「ものづくり」に向かうとし、ものづくりに向かう総合的な力を「工学力」と定義しています。

工学部と理工学部の違い

工学部と似ている学部に理工学部があります。理工学部とは工学部で学ぶ「工学」に加えて、数学や物理などの自然科学分野を追求する「理学」分野の学習や研究ができる学部です。

工学部がものづくりや開発に特化しているのに対して、理工学部は理学によって仮説を立てて、工学で立てた仮説を立証するためのものを開発するのが特徴となっています。

工学部と理工学部の違いについては、こちらで詳しく解説しています。

工学部と理工学部の違いや共通点を知って自分に合った学部選択をしよう!

工学部の将来性

工学部は日本の国力のひとつである、ものづくりの技術や知識を学べる学部です。製造業において今後さらにデジタル化が進んでも、人だけが持っているものづくりの技術は高い需要を得続けることが期待されています。また、日本の製造業の国際競争力を回復させるためにも、ものづくりの力を持つ多くの技術者の存在が必須です。

大学で学んだ高い技術力や工学の知識を活かし、工学部卒業後は製造業や技術職へ進む学生が多くなっています。

工学部の卒業後の進路については、こちらで詳しく解説しています。

工学部と理工学部の違いや共通点を知って自分に合った学部選択をしよう!

工学部へ進学するメリット

工学部へ進学することで得られる、具体的なメリットを以下にまとめました。

  • 実践で使える技術が身に付く
  • 実用性と実益性が高いため就職に強い
  • 自分で設計、開発とものづくりに特化している
  • 学習目的や目標がはっきりしているためやりがいがある
  • 大学院に進学して専門技術職を目指せる

工学のメリットややりがいについては、こちらで詳しく解説しています。

工学ならではの「やりがい」とは?工学部に進んだ先にあるもの

工学部で学べる工学分野

工学部と一口に言っても、多くの分野があります。工学部で学べる代表的な工学分野の内容と、久留米工業大学で該当する学科・コースを紹介します。

各工学分野についてはこちらで詳しく解説しています。

工学ならではの「やりがい」とは?工学部に進んだ先にあるもの

機械工学

人の生活や社会をより豊かにするための機械を研究、開発する学問が機械工学です。自動車、ロボット、工業用機械などを対象に工学の知識を学びます。

久留米工業大学で機械工学が学べるコースは以下の通りです。

  • 機械システム工学科
  • 交通機械工学科

機械システム工学科は、ものづくりに関する技術者の育成に特化した学科です。力と機構、電気と電子、プログラミングと制御の3分野の知識を基にしたロボットなどの製作を通して、ものづくり教育が充実した環境で学べます。

ロボティクス演習室とロボット工房の各施設に、卓上旋盤と卓上フライス盤、マニシングセンターと溶接機など各種機械装置の製作に必要な加工ができる機器も設置されています。さらにものづくりセンターと連携することで、より実践的なものづくりに堪能な技術者を育成できる環境を整えました。

交通機械工学科では、航空機や自動車などのモビリティの開発・製造・整備に関する技術を実践的に学びます。交通機械のエンジンや中身の仕組みなどの理論の学習と実現や、次世代のモビリティの仕組みやデザインの研究を行います。

機械システム工学科の特色

交通機械工学科の特色

建築工学

安全で快適で文化的な建物をつくることを目的とした学問が、建築工学です。橋や商業施設全体、都市全体を対象とした工学の知識を学びます。

久留米工業大学の「建築・設備工学科」にて、建築工学が学べます。以下のように、いろいろな面から建築工学の学習を行います。

  • 建築物の機能性、安全性、住みやすさ
  • 建築物の美しさやデザイン
  • 建築物の伝統と習慣
  • エネルギー効率
  • 環境問題
  • 高齢化問題
  • 都市計画
  • 建築関連法規
  • 色彩や照明、騒音、インテリアなど

建築・設備工学科では在学中に各種資格が取得でき、大学での学びと合わせて将来の職業に直結した専門性の高い知識と技術を習得できるのが特徴です。空調設備や給排水衛生設備、電気設備、省エネルギーや自然エネルギーの利用、環境対策など、建築物に不可欠な設備関連の教育研究が充実しています。

久留米工業大学 建築・設備工学科の特色

情報工学

コンピューターによるシステムネットワークによって制御された、あらゆるものが研究の対象となるのが情報工学です。学問の進化スピードが速く、世の中のあらゆるサービスを支える職種を目指せます。プログラマーやシステムエンジニアとしてフリーの道に進むのも、将来の選択肢のひとつです。

久留米工業大学では、「情報ネットワーク工学科」で情報工学を学べます。先端的でプロフェッショナルと同等の環境が整っている演習室で情報工学を学べるのが特徴です。Adobe社とWacom社の導入事例としても紹介されました。

ソフトウェアコースでは、ネットワーク演習、Webアプリケーション開発、ハードウェアコースでは組み込みシステム開発の演習等、ビジュアルコンテンツコースでは、CG制作、ゲームプログラミング、Webデザイン等を行います。

久留米工業大学 情報ネットワーク工学科の特色

ものづくりに強い教員を育てる学科も

工学部の中に教職課程を併設し、卒業と同時に教員免許取得が目指せる学科もあります。久留米工業大学では「教育創造工学科」が該当します。ほかの大学の教員養成課程とは異なり、工学部だからこそ教材を自前で作れる「ものづくりに強い教員」を育てるのが特徴です。また、野外活動を授業に取り入れることで生物に触れ、観察し、自然相手の授業が展開できる教員を目指します。

久留米工業大学 教育創造工学科の特色

まとめ 工学部でものづくりのエキスパートを目指そう

日本のものづくりを支える技術力や知識が学べる、工学について解説しました。工学を学ぶ選択肢として、対象物や目的によってさまざまな学部・学科・コースがあります。デジタルやIT技術が発達しても、人の手や技術でしか生み出せない「ものづくり」を支える工学は、将来性も高い学問です。今後技術者やものづくりに関する仕事を目指すなら、ぜひ工学を学べる道に進みましょう。

久留米工業大学の学科

学科一覧

機械システム工学科

交通機械工学科

建築・設備工学科

情報ネットワーク工学科

教育創造工学科

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