ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識を有していることを証明できる国家資格です。ITは社会のあらゆる分野に浸透しているため、ITを活用する社会人や学生はこの資格を取得しておいて損はありません。そのため、試験を受けるまでにどれくらい勉強が必要なのか、どのような勉強をすればよいのかなど具体的に知りたいこともあるでしょう。この記事では、合格までに必要な勉強時間の目安や効率的な勉強方法を紹介します。
目次
1.ITパスポートに合格するメリット
IT系の企業の中には、新卒の採用基準としてITパスポートを取得していることとしている場合があります。また、高校生のうちに合格しておけば大学入試の優遇制度が受けられる場合もあり、合格しておくメリットは多大です。さらに、さまざまな業種の企業で社員教育や社内研修の一環として活用されています。ITパスポートを習得することで情報処理の基礎知識も身に付くため、業務を円滑に行うことが可能です。
今やITは生活基盤やビジネスにおいても広く波及しており、技術者のみならず事務職や営業職の人も情報処理に関する基礎的な知識を身に付けておくことが不可欠になっています。企業活動においては、情報処理についての基礎知識がないがために機密情報を漏洩させてしまうなど、企業活動に多大な損害を与えてしまうリスクを避けなければなりません。情報処理に関する基礎知識や活用法を身に付けておくことで、仕事やプライベートのさまざまな場面に役立てることができるでしょう。
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2.ITパスポート合格に必要な勉強時間
ITパスポートに合格するまでに必要な勉強時間は、ITに関する知識をどれくらい有しているかによって異なるため、一律ではありません。そのため、必要な勉強時間を場合別に紹介します。
2-1.情報系の学校出身者などあらかじめIT知識がある場合
情報系の学校出身の人やIT系の仕事に就いている人など、情報処理 に関する基礎的な知識をある程度有している場合、知識がまったくない場合と比べて必要な勉強時間は短くなるでしょう。ITパスポートに合格するまでの標準的な勉強時間は100時間といわれています。基礎的な知識がある程度ある人なら標準的な100時間程度、少し余裕を持たせて130時間ほどの時間を割けばよいでしょう。これは、1日1.5時間の勉強を3カ月間(90日)したときの時間に相当します。ただし、ITパスポートの試験はITの基礎知識だけでなく経営や会計の知識も問われるため、この分野になじみが薄い場合は、情報処理に関する勉強よりもこの分野に比重を置いて勉強を進めていくことが必要です。
2-2.IT知識がほとんどない場合
文系の学校出身の人やITとは関係のない仕事に従事している人など、情報処理の知識があまりない場合は勉強に時間がかかります。180~200時間程度はかかると考えておいたほうがよいでしょう。180時間というと、1日2時間勉強したとして3カ月ほどかかる計算になります。勉強を進めるにあたって、ITの知識があまりない人は最初に用語の意味を調べましょう。用語が分からないままテキストを読み進んだり過去問に取り組んだりしてもなかなか理解できず、かえって回り道になってしまうためです。焦らずじっくり用語の意味を理解することがその後の勉強につながってきます。
3.ITパスポートの試験内容とは?どれくらい難しいのか
ここからは、ITパスポートの試験内容や難易度はどの程度なのかについて解説します。
3-1.試験概要と難易度
ITパスポートは、ITを活用する社会人や学生は取得しておくことが推奨される国家試験で、ITに関する基礎知識を問われるものです。受験者の構成比は社会人が62.8%、学生が37.2%となっており、合格率は社会人が63.7%、学生が45.2%で両者の合計は56.5%となっています(いずれも令和2年4月度の結果より)。情報処理系の試験の中では、難易度がそれほど高いものではありません。全国47都道府県で受験することができ、試験日はひと月に複数回、試験時間も1日のうちに複数回設けられているため、受験のチャンスは数多くあります。試験時間は休憩なしで120分です。試験形式は四肢択一で100問となっており、記述式の問題はありません。試験は紙と鉛筆を用いて回答するのではなく、コンピュータを使うCBT方式で行われます。なお、ITパスポートはCBT方式が初めて取り入れられた国家試験です。
3-2.問題の構成は?何点くらいとればいい?
ITパスポートに出題される問題は、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系の3つの分野です。35問程度出題されるストラテジ系には企業活動と法務、経営戦略、システム戦略などの領域が含まれます。20問程度出題されるマネジメント系に含まれるのは、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントです。45問程度出題されるテクノロジ系には基礎理論、コンピュータシステム、技術要素の領域が含まれます。合格基準は総合評価点が600点以上であり、なおかつストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系のいずれの分野別評価点も300点以上でなければなりません。なお、総合評価点および分野別評価点はいずれも1000点満点です。
4.ITパスポートの勉強手段には何がある?
ITパスポートの勉強方法として一般的なのは、テキストや問題集を用いる方法です。テキストを用いて基礎知識をインプットし、問題集を使ってアウトプットを繰り返していきます。この他に、ITパスポートの受験向けの講義を動画で見る方法や過去問が勉強できるサイト、アプリなどもあるため、自分が勉強しやすい方法を見つけていくとよいでしょう。さらに、通信教育講座も開設されています。ITに関する知識がほとんどなく、何から勉強を始めたらよいのか分からない人は、通信教育を利用することで体系的に学習を進めることが可能です。
5.効率的な勉強方法
ここからは、効率良く勉強を進めて短期間でITパスポートの合格をめざす方法を紹介します。
5-1.テキストを何度も通しで読む
まずは、テキストに書いてある基礎知識を頭にインプットするところから始めます。テキストは何度か繰り返して読み込んでいきましょう。知識をしっかりと身に付けるためには、ある程度の時間が必要だからです。そのため、1周目からすべての内容を頭に叩き込もうとせず、全体の大まかな流れやどのような問題が出題されているのかという傾向をつかむことを目的として、一通り最後まで読みます。テキストについている演習問題は、2周目以降に解いていきましょう。テキストを何度も繰り返して読んでいくと、十分に理解できている箇所とそうでない箇所が出てきます。試験に合格するためには、苦手箇所をいかにつぶしていくかが大切です。明らかに苦手な箇所があるとその部分が命取りになる可能性があり、合格を手にできなくなる可能性があります。そのため、苦手な箇所は時間をかけて一つずつ確実に克服していきましょう。
5-2.問題集を解いて問題慣れする
テキストで勉強してある程度の知識が頭にインプットできたと感じたら、過去問演習を行います。過去問では、実際にどのような問われ方をするのかを体感することが可能です。過去問を解いていくうちに、何度も出題されている同じ問題に出くわすことがあるでしょう。こうした頻出問題は確実に得点できるようにしっかりと押さえておくことが必要です。本番では、過去問では見なかったような問題が出題されることがあります。その場合に、表面的な知識しか持ち合わせていなかったら思いの外点数が取れないということにもなりかねません。そのため、間違えた問題は必ず見直して、なぜ間違えたのかを理解できるまで勉強しましょう。試験前は予想問題に取り組んだり、これまで学習してきた中で間違えた問題に再度取り組んだりしていきます。
●効率良く勉強して短期間でITパスポートに合格しよう
ITパスポートの試験は用語など暗記しなければならないことも多いため、文系出身の人やITとは縁遠い仕事をしている人には勉強が難しく感じられるかもしれません。しかし、複数の勉強方法があるため、自分に合った方法を選んでインプットとアウトプットをバランスよく繰り返していけば、合格を手にすることは夢ではありません。
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