自動車や飛行機、工業用機器やロボットなど機械を動かす仕組みを学ぶ「機械システム工学科」。IoTやAI、機械学習の発展に伴い、今後の社会で活躍できる知識やスキルを学べる学科として、受験を検討している方も多いでしょう。
機械システム工学科の受験を目指すためには、機械システム工学科で学ぶ内容を理解したうえでの志望校選びと、志望校への受験対策が必要です。
この記事では、機械システム工学科で学ぶ内容や就職先に加えて、受験対策に役立つ情報を解説します。
機械システム工学科に関する基礎知識
機械システム工学科に関する基礎的な知識を解説します。なお機械システム工学については以下のページで詳しく解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
機械システム工学科で学ぶ内容やカリキュラム
機械システム工学とは、機械の「システム」、つまり機械が動く仕組みを学ぶ学問です。現在あらゆる産業で取り入れられている機械は、経済活動には不可欠なものとなっています。
機械を作り、正常に動かすために必須となるのが「機械技術」です。機械システム工学科では「材料力学、流体力学、熱力学、機械力学の4つの力学」から機械技術の基礎をしっかり学びます。
久留米工業大学 機械システム工学科についてはこちらを参考にしてください。
機械システム工学科と機械工学科の違い
機械システム工学科が機械の「システム=動く仕組み」を学ぶのに対して、機械工学科は「機械を作る」ことを学びます。いずれの学科も機械を正常に動かすうえでは欠かせない学問です。
機械システム工学科の将来性
近年少子高齢化による労働力不足により、lotやAIなどのデジタル技術を搭載した機械が産業へ多く活用されるようになりました。今後も労働人口が減少するなかで、機械はあらゆる産業でより多くの役割を果たすことになるでしょう。
機械を適切に取り扱うためには、機械システムの知識やスキルを持つ人材が必須となります。機械の仕組みそのものを学ぶ機械システム工学科では、今後の社会でも大きく活躍できる知識やスキルが得られます。機械システム工学科で学ぶことは将来性も高く、就職にも有利と言えるでしょう。
機械システム工学科卒業後の進路や就職先
機械システム工学科を卒業後は、機械を効率よく動かすための知識を活かして以下のような幅広い業種で活躍できます。
- 機械製造業(家庭用・業務用ともに)
- 建設業
- 運輸業
- 電気・ガスなどのインフラ業
- メーカー
機械システム工学科を併設している学校の種類
機械システム工学を学ぶには、大学をはじめさまざまな進路があります。機械システム工学科を併設している学校の種類と特徴を解説します。
大学
高校卒業後に機械システム工学科を目指す一般的なルートが、4年制大学で学ぶことです。文部科学省では、大学とは4年間で学業を中心に広い知識を身に付け、専門的な学芸に対しての研究を行う教育機関と定義しています。卒業すると大学卒業学歴に該当する「学士」の学位を得られます。
機械システム工学科を設けている大学は、国立、公立、私立ともにあります。志望校によって受験方式や受験科目などが異なるため、まず志望校を決めて受験対策を行うのが重要です。大学は学費が高くなる傾向にありますが、4年間機械システム工学に関する知識をしっかりと学べます。より高度で専門的な研究を行うために、卒業後大学院へ進学する選択肢も選べるのも特徴です。
短期大学(短大)
短期大学とは、専門的な学芸において、職業や生活に必要な教養や知識を学ぶ学校です。2年または3年間で卒業します。卒業すると「短期大学士」の学位を取得可能です。
短期大学の機械システム工学科を進路に選ぶと、大学より在学期間が短いため早く社会に出られる、学費が安く済むなどのメリットがあります。一方で、大学よりも在学年数が少ない分学びの深さや範囲は狭くなります。機械システム工学科を併設している短大は大学よりも少ないので、志望校が狭まってしまうことにも気を付けましょう。
専修学校専門課程(専門学校)
専門課程を併設している学校が専門学校です。在学期間は1年以上で、専門学校によって異なります。修業年限2年以上、授業時数1,700時間以上などの所定の要件を満たして専門学校を卒業すると「専門士」の学位が得られます。
専門学校は実習が多く、卒業後の進路に合わせた専門的な知識やスキルを学んだり、在学中に資格取得を目指したりするため、就職に強いのが特徴です。その分入学後の進路変更が難しく、やや柔軟性に欠けます。
専門学校には都道府県知事の許可を受けた認可校と無認可校があります。無認可校は専門学校として認められていません。学割や奨学金が使えない、学歴が認められない(高校卒業後に無認可校へ入学、卒業した場合は高卒になる、卒業後大学などへの編入ができない)などのデメリットがあるので、専門学校を進路として選ぶ際には注意しましょう。
高等専門学校(高専)
機械システム工学科を学べる学校のひとつとして、高等専門学校についても解説しておきます。高等専門学校とは中学卒業後に、5年間(商船に関する学科は5年6ヶ月)で職業に必要な専門的な技術を身に付けるための学校です。
機械システム工学科を含め、ものづくりの技術に関する学科を併設している学校が多くなっています。なお高等専門学校のほとんどが国立や公立です。
大学の機械システム工学科の受験方法やスケジュール
一般的なルートである大学の機械システム工学科の受験方法を、各受験方式に沿って解説します。なお、採用している受験方式や要項は各大学によって異なるので、受験予定の大学の要項をしっかりと確認し、受験対策を行いましょう。
ここでは久留米工業大学の機械システム工学科の受験方式や要項を例に解説します。
総合型選抜
総合型選抜とは、志願者の目標や将来像、将来の目標を実現するための計画、今までの経験や意見を重視して選考する試験です。
・試験方法
以下の要素から多面的・総合的に評価する。
- プレゼンテーションや面接
- 調査書
- 表彰状や大会成績など志願者本人の記載する資料(ポートフォリオ)
- 基礎学力テスト(久留米工業大学では数学Ⅰ)
・スケジュール
試験区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表日 |
---|---|---|---|
前期 | 10月上旬~中旬 | 10月中旬 | 11月上旬 |
中期 | 11月下旬~12月上旬 | 12月中旬 | 12月下旬 |
後期 | 2月上旬~2月中旬 | 2月下旬 | 3月上旬 |
学校推薦型選抜
学校推薦型選抜では、志望者が在学する学校長の推薦に基づき、主として高等学校における学習成果を重視して選考されます。
・試験方法
以下の要素から多面的・総合的に評価する。
- プレゼンテーションや面接
- 調査書
- 推薦書
- 表彰状や大会成績など志願者本人の記載する資料(ポートフォリオ)
- 基礎学力テスト(久留米工業大学では数学Ⅰ)
・スケジュール
試験区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表日 |
---|---|---|---|
前期 | 11月上旬~中旬 | 11月中旬 | 12月上旬 |
後期 | 11月下旬~12月上旬 | 12月中旬 | 12月下旬 |
一般選抜
一般選抜とは高等学校で学習する知識・技能を測る学科試験を重視した選抜方法です。多くの大学で導入されています。
・試験方法
以下の要素から多面的・総合的に評価する。
- 学力試験(受験する学校によって教科が異なる。久留米工業大学は数学が必須、国語、英語、物理、化学、生物から1教科選択の2教科)
- 調査書
- 表彰状や大会成績など志願者本人の記載する資料(ポートフォリオ)
・スケジュール
試験区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表日 |
---|---|---|---|
前期 | 1月上旬~下旬 | 2月上旬 | 2月下旬 |
中期 | 2月中旬~下旬 | 3月上旬 | 3月中旬 |
後期 | 2月下旬~3月上旬 | 3月中旬 | 3月下旬 |
大学入学共通テスト利用選抜
高等学校で学習する知識・技能を測る学科試験を重視した選抜方法です。
・試験方法
以下の要素から多面的・総合的に評価する。
- 大学入学共通テスト(受験する学校によって教科が異なる。久留米工業大学は数学1科目とその他の3教科のうち1教科の2教科)
- 調査書
- 表彰状や大会成績など志願者本人の記載する資料(ポートフォリオ)
・スケジュール
試験区分 | 出願期間 | 試験日 | 合格発表日 |
---|---|---|---|
前期 | 1月上旬~下旬 | 1月中旬(大学入試共通テストの結果が採用される) | 2月下旬 |
中期 | 2月中旬~下旬 | 3月中旬 | |
後期 | 2月下旬~3月上旬 | 3月下旬 |
●入試概要やスケジュールについて詳しくはこちらをご覧ください
https://www.kurume-it.ac.jp/nyushi/gaiyo.html
機械システム工学科受験対策や方法
機械システム工学科に合格するために覚えておきたい、受験対策や方法を解説します。
志望校の候補を絞り込む
大学によって受験方法や試験の内容が異なります。まず受験を希望する大学を決めましょう。機械システム工学科のある大学をリサーチし、偏差値、受験科目、将来の目標や学びたいことなどをふまえて、志望校の候補を絞り込むのがおすすめです。
大学の情報をリサーチする
志望校を絞り込めたら、志望校の情報を集めましょう。あらかじめ大学の情報を集めておくことで、受験対策に役立つだけでなく入学後の具体的な大学生活もイメージでき、受験へのモチベーションにもつながります。
リサーチには以下の方法があります。
- 大学の公式サイトを見る
- 学校説明会やオープンキャンパスに参加する
- 在籍している先輩から話を聞く
- パンフレットなどの資料を入手するなど
実際に大学まで足を運んで、自宅や下宿予定先からの距離や大学周辺の雰囲気などを見ておくのも良いでしょう。
久留米工業大学でもオープンキャンパスやミニオープンキャンパスを随時実施しています。
https://www.kurume-it.ac.jp/oc_lp/
https://www.kurume-it.ac.jp/jukensei/campus_tour/
受験方式を決める
受験方式によって受験日や対策方法が異なります。総合型選抜と一般選抜を併用できる大学もあるため、要項を確認し受験方式を決めましょう。
受験に向けての対策を行う
一般選抜や大学入試共通テスト利用の場合は、志望校で設定されている教科の受験勉強をしっかり行います。総合型選抜や学校推薦型の場合は、学校での成績や活動内容のほか、人柄も重視されます。調査書の志望理由や面接対策もしておきましょう。
まとめ
機械システム工学科の基礎知識と、機械システム工学科を目指せる学校、受験方式、対策方法を解説しました。機械システム工学科は将来性が高く、今後も大きな進歩が望める分野の勉強や研究ができます。志望校を決めたら受験対策をしっかり行い、機械システム工学を学ぶ一歩を踏み出しましょう。