機械システム工学とは何を学べる?機械工学との違いや就職先などを徹底解説

機械・ロボット

機械システム工学に対してどんなイメージを持っているでしょうか。機械工学との違いがわからないという人も多いでしょう。

しかし、機械工学と機械システム工学は内容が異なるため、動く機械を作るには機械工学と機械システム工学の両方の知識や技術が必要となります。この記事では、機械システム工学で学べる内容や就職先、将来の展望などについて解説します。

機械システム工学とはどんな学問?

まずは機械システム工学がどのような学問なのか、その概要について具体例を挙げつつ解説します。

機械システム工学と機械工学の違い

機械システム工学は、機械工学と似ているようで異なる学問です。

機械工学は機械を「作ること」を学びます。例えば、自動車のエンジンやトランスミッションを実際にどうやって作るのか、どうすれば性能を上げられるのかは、機械工学を学ぶことで理解できるでしょう。

一方で、機械システム工学は機械を「動かすこと」を学びます。先の自動車の例で言えば、自動車のエンジンやトランスミッションを「自動車」というシステムの一つとして捉え、顧客が求める自動車を動かすにはどんなエンジンが必要なのか、どんなトランスミッションを組み込むべきかなどを考えます。

このように、機械工学と機械システム工学はどちらも「動く機械装置」を作る上では無くてはならない学問です。

なお、機械工学についての詳細は、以下の記事にまとめていますので参照してください。

「4力」を始めとする機械工学の基礎

現代において、様々な産業に機械が使用されています。重工業や軽工業、農業、化学工業、サービス業に至るまで、あらゆる産業を支えているのが機械技術です。

この機械技術を支える屋台骨が材料力学、流体力学、熱力学、機械力学の4つの力学であり、これらを総称して「4力」と呼びます。4力の全てが機械を作り、動かす上では無くてはならない存在です。

機械システム工学では、機械技術の基盤となる4力について基礎からじっくりと学ぶため、将来的に機械技術に携わる職業に就く際に役立つでしょう。

新しい機械システムの創造・開発に必要となる学問

自動車や家電、コンピューター、ロボットなどといった世の中にある様々な機械装置は複数の機械要素を組み合わせて、相互に連動させることで成立しています。こうした「機械によって動く仕組み」が機械システムです。

これまで様々な機械システムが生まれ、人類の発展に寄与してきました。現在はIoTやAI、機械学習などの発展で、さらに複雑かつ高度な機械システムの実現が可能となっています。これらの最先端技術も取り込みながら、新たな機械システムを生み出し、活用方法を追究する学問が機械システム工学です。

機械システム工学が取り扱う分野の例

機械システム工学は、機械の力を様々な分野で利活用する学問です。ロボットはその最たるものと言えるでしょう。

産業用ロボットも家庭用ロボットも、どちらも複数の機械装置を連携させることで複雑な動作を行わせることを可能にしています。

単純なアームだけのロボットでも、

  • 動作命令の認識
  • 各部のモーターを駆動
  • センサーで動作の対象となる物体を認識して対象を掴む

というように、多くの機械装置を連動して一連の動きを実現しています。

他に、医療福祉機器も機械システム工学が活かされています。

  • 患者の状態をセンサーで読み取ってモニターに表示
  • 寝たきりの患者を起こすために、モーターを駆動させて寝台の角度を調整

など、こちらもロボット同様に様々な機械装置の連携によって、医療福祉に関する様々な業務のサポートを行っています。

機械システム工学は、人間だけでは解決が難しいことをサポートするために、生み出された技術とも言えるでしょう。

大学の機械システム工学科で学ぶ内容

ここでは、大学の機械システム工学科ではどのようなことを学ぶのか、カリキュラムや取得可能な資格などの切り口から解説します。

カリキュラムの例

学年ごとにどのようなカリキュラムで学習するか、一例を次にまとめました。なお、英語や保健体育などの教養科目は省略しています。

  • 1年:材料力学、流体力学、熱力学、機械力学、基礎数学、工学リテラシー、機械工作概論、機械製図法
  • 2年:材料力学、流体力学、熱力学、機械力学、システム工学、工業数学、化学、プログラミング
  • 3年:メカトロニクス、ロボット学、制御工学、デザイン工学、生産管理、統計学、応用プログラミング
  • 4年:卒業論文

前述した4力および数学に関しては、1年から2年にかけてじっくりと学んでいきます。また、製図やプログラミングなどの実践的な科目も1年生の段階からカリキュラムに盛り込まれているため、座学と実践の両面から機械システムに必要な知識を蓄えることが可能です。

3年生になると、分野ごとに専門性の高い科目が用意されており、自分が志す分野に応じて科目を選択していくことになります。

機械システム工学科で取得できる資格や免許

機械システム工学科では、卒業後に機械工業の第一線で活躍するための様々な資格を取得することができます。

その中でもまず挙げられるのが機械設計技術者資格です。これは機械設計の業務において、必要な知識が備わっていることを示す資格です。

さらに、機械設計の場においてよく用いられるCADシステムの扱いに長けていることを示すCAD利用技術者資格も取得できます。

また、機械設計の場においては2つの金属を接着させるために、溶接という工程を行わなければなりませんが、その溶接作業にはガス溶接技能者の免許が必要です。機械システム工学科では、ガス溶接技能者の免許に必要となるガス溶接技能講習を受けることができます。

参考:久留米工業大学「目標とする資格」一覧

機械システム工学科卒業後の進路と就職先

機械システム工学科を卒業した後に活躍できる職種には、代表的なものとして機械製造業者が多いです。

機械製造の現場では、機械システムに関する知識を持つ人材は引く手あまたで、業務用、家庭用問わず機械システム工学科出身者が数多く活躍しています。

また、建設業や運輸業などは業務の根幹に機械が関わるため、こちらでも機械システム工学の知識を活かして働く人が少なくありません。電気・ガスなどのライフラインや食品メーカーなどでも、機械システム工学科出身者が活躍しています。

機械システム工学科出身者が各企業に就職した場合、主に機械設計技術者や新商品の研究開発といった業務に携わることが多いです。また、プログラミングの知識を有していることから、システムエンジニアとして社内システムの開発に携わるケースもあります。

故障などのトラブルが発生した際に連絡を受けて現場に赴き、修理対応を行うフィールドサービス業務に携わる場合もあり、総じて企業における機械やシステムに関わる仕事を任されることが多いと言えるでしょう。

機械システム工学の将来性

少子高齢化の影響を受けて労働人口が減少傾向にある日本ですが、その中で人手不足が叫ばれているのが機械設計などのエンジニア職です。

機械システムに関する技術や知識を持つ人材は希少性が高くなり、様々な企業が技術を持った人材の確保に力を入れています。そのため機械システム工学に関する知識を持っている人材は、多くの企業に需要があるので就職に有利と言えます。

一方で、IoTやAIなど情報技術の新たな可能性が見いだされてきています。機械システムにおいても情報技術は決して無関係なものではなく、自立稼働するロボットや自動操縦を実現した車などといった、それまで空想上の産物だった機械の実用化も不可能ではなくなりました。

既存の技術のみならず、生まれたばかりの最先端の技術についても貪欲に取り込んでいくことで、機械システム工学はさらに発展していくことでしょう。

久留米工業大学の機械システム工学科の特徴・内容

久留米工業大学の機械システム工学科では、機械工学に関する基本的な知識を身に着けつつ、設備の整った環境で実験や実習を繰り返しながらCAD/CAMなどの使い方やIT技術と環境技術を活かしたシステム設計、ロボティクス、メカトロニクスなどの生きた知識を学ぶことが可能です。また、次のような研究が進められています。

  • ロボメカデザインコンペ作品の実用化研究
  • 半導体デバイス材料の超精密鏡面研削加工技術の開発
  • メカトロニクスを応用した医療福祉機器開発

機械システムデザインの最先端で活躍するための様々な知識や技術を、実践の中で楽しく学ぶことが可能です。

コースは次の2つが用意されています。

  • ものづくりや工学の基本を学びながら機械工学の広範な知識を学ぶ「機械デザインコース」
  • 機械工学における最先端の知識を身につける「ロボティクスコース」

機械システム工学科で基礎から応用までじっくり学ぶことで、将来ものづくりに関わる最前線で活躍することもできるでしょう。

参考:久留米工業大学 機械システム工学科
https://www.kurume-it.ac.jp/gakubu/kikai_shokai.html
https://www.kurume-it.ac.jp/gakubu/student_kikai_shokai.html

おわりに

機械システム工学は、人間の生活を支える機械装置の仕組みについて学ぶ学問です。ものづくりにおいて機械システムは欠かせないものであり、情報技術も取り込んでさらに発展を遂げることが予想されます。

企業も機械システム工学を学んだ人材を欲しており、第一線で活躍することも夢ではありません。ものづくりの分野で活躍したい人にとってぴったりの学問と言えるでしょう。

機械システム工学を学べる学科

 

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