工学部と理工学部の違いや共通点を知って自分に合った学部選択をしよう!

進学する学部や学科を選ぶときに、工学部と理工学部という二つの学部について、悩んだことがある人も多いのではないでしょうか。理系に進もうと考えている学生の多くは、将来のビジョンをある程度持っていると思いますが、その夢を叶えるためには工学部と理工学部のどちらがよいのでしょうか?

工学部と理工学部の違いや共通点を知った上で、どちらが自分に合った学部なのか、進路選択の参考にしていただければ幸いです。

工学部とは

工学部とは、すでにある科学技術をいかに私たちの生活に役立てていくかを追求する学問です。

例えば、私たちの生活で身近なアイテムとなっているスマートフォンを作ったり、改良したりするのは工学部の知識で行います。スマホを軽くするためにどういった材料を使うか、電子チップを小さくするためにどういった回路にすればよいか、不具合が出た時に正しく警告が出せるようなプログラミングなど、さまざまな工学の知識が詰まっています。

「何かを作りたい」「ものづくりをしたい」という気持ちがある人は、工学部がおすすめです。

理工学部とは

理工学部は、「理学」と「工学」の両方が勉強できる学部です。

  • 理学:数学や物理学の学問を追求する自然科学をさらに深める学問
  • 工学:すでにある科学技術を使って身近なものに役立てる学問

例えば、NASAでは宇宙空間がどうなっているのか、ブラックホールの解析など幅広く研究をしています。これは理学分野の内容です。理学で立てた仮説を証明するためにロケットを発射させる。このロケットを作る技術は工学の内容です。

「何かを作りたい」という工学の知識だけでなく、「もっとより深く研究したい」という人は理工学部に向いています。また、教育を目指す人も、より専門的な勉強ができる理工学部が向いているといわれています。

工学部と理工学部の違い

工学部と理工学部は、数学や物理など勉強する分野が重複していることも多いのですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

学科の違い

工学部と理工学部それぞれの学科には違いがあるのかと言えば、実はそれほど大きな違いはありません。例えばそれぞれの学部の代表的な学科名を挙げてみると、以下のようになります。

<工学部の学科>

  • 機械工学科
  • 電気電子工学科
  • 情報工学科
  • 土木工学科
  • 建築工学科 など

<理工学部の学科>

  • 数学科
  • 物理学科
  • 情報処理学科
  • 応用生物学科
  • 建築学科
  • 電気電子工学科
  • 機械工学科
  • 土木工学科 など

学科を見てみると、理工学部は数学科や物理学科といった学問の専門学科があります。しかし、機械、情報、電気、などどちらの学部にも存在する学科があります。勉強する内容が大きく変わるわけではないですが、工学部はより実践に近い企業で使われている最先端技術を、理工学部の方がより理論的な勉強をする傾向があります。

就職先の違い

工学部の就職先

工学部は実用的なものが多いため、機械メーカーの開発や設計などに就職することが多いです。土木工学や建築工学科は、住宅メーカーの設計や研究職に就職する人が多いようです。学校で習ったものを実際に使っている企業など人気が高くなっています。

例えば、自動車メーカーであればよりパワーのあるエンジンの開発や実験、車体をよりコンパクトにする電気配線、自動安全システムのプログラミングなどで活躍できます。

工学部卒業の3人に1人は製造業や技術職に就職していて、大学院卒業の生徒は9割が専門技術職に就職しているというデータもあります。

理工学部の就職先

理工学部も機械メーカーの開発や設計に就職することがありますが、新しい薬の研究など研究職に就くことが多いようです。理工学部は物理学や数学に対して専門的に勉強していくので、就職先も同じように研究するような場所を選ぶ傾向にあります。

大学院進学の違い

大学院への進学率は、工学部が60%、理工学部が50%と発表されているデータがあるように、一般的には、工学部の方が高くなっています。ここ最近は、大学院への進学率が高まっていると言われていますが、より深い知識をもった人材を社会(企業)が求めているからではないでしょうか。大学によって大学院への進学率は異なっていますので確認してみましょう。

工学部と理工学部の共通点

次に、工学部と理工学部の共通点についてご紹介します。

就職はどちらも強い

工学も理工学部も就職はどちらも強くなっています。女性が社会で活躍するために、男女共同参画法という法律ができ、管理職に女性を配置する法令などがあるため、機械メーカーや研究職では女子学生を欲しがっていることが多いです。文系学部では就職できない機械メーカーや、文系学部が就職しようとしている事務などでも重宝される学部なので、就職がしやすくなっています。

実際には違いはほとんどない?!

工学部に進学しようと思ったけれど、間違って理工学部に進んでしまったと後悔する学生は、実はとても少ないのです。学問の内容が重複しており共通点が多いこともあるため、理工学部に入ったからといって受けられない就職先などもありません。

理工学部・工学部どちらへ進学するべき?

実際は違いがほとんどないということをご紹介しましたが、それではどのように学部を決めればよいか迷ってしまいますよね。実際に工学部に向いている人、理工学部に向いている人の特徴をご紹介していきます。

工学部に向いている人

工学部は実践的な勉強が多いため、実験や実践的な内容が好きな人は工学部に向いています。

  • 実験が好き
  • 車のエンジンなどの仕組みを知ることが好き
  • パソコンやスマホなど機械が好き

こういった人は工学部に進学するのがおすすめです。

大学にもよってしまうのですが、理工学部の方が数学や物理が難しいことが多いので、数学や物理が苦手な人は工学部の方が合っていることもあります。

理工学部に向いている人

理工学部は実験もありますが、研究をする分野が多いので、物事に没頭して研究できる人は理工学部にとても向いています。

  • 化学が好き
  • 物事を証明するような考え方が好き
  • なぜそうなっているのかを調べる実験が好き
  • 物理が得意

数学や物理の分野をより詳しく勉強することが出来るので、数学や物理が好きな人はより楽しく知識を深めることが出来ると思います。

失敗しない学部の選び方

例えば機械工学科に進みたいと考えた時に、工学部にするか理工学部にするかは「研究室」で選ぶとよいでしょう。どちらの学部も基本的には、数学・物理・その他専門の内容を勉強します。専門の内容がどういうものなのかは、大学や学部によって変わっていきます。その違いを見るには研究室が一番なのです。特に、理系学生は、3年生から4年生のほとんどが研究になるので、自分が研究したい研究室はあるか、どういった研究室の傾向があるかまで調べると失敗しにくいでしょう。

ホームページで研究室を調べてから、オープンキャンパスで研究室の雰囲気や学食、学校の雰囲気を見るようにしましょう。また、オープンキャンパスで先輩学生と話が出来る機会がありますが、その時にどんな数学の勉強をしているのかなど具体的に質問するとより違いが見られるかもしれません。

理工学部に近い勉強をする工学部もある

理工学部か工学部か迷ったときは、理工学部と同じレベルまで勉強が出来る工学部を選ぶという手段があります。「久留米工業大学」では、工学部や理工学部の垣根を越えた、ハイソサエティな勉強が出来ます。

理論と実践を兼ね備えた説得力のある技術者に

工学部の実践に近いレベルの勉強に対し、理論的な勉強も行います。

自動車において、より空気抵抗を受けない車体のデザイン、より自然に速度を出すためのタイヤの研究、事故が起きた時にドライバーに負担がかからないような衝撃力の計算は理工学部の分野なのですが、久留米工業大学の交通機械工学科でも勉強が行えます。自動車メーカーへの就職を希望しているなら、「工学部か理工学部の機械工学科」と決めつけがちですが、交通機械工学科では、自動車などの「乗り物」についてより理論と実践を兼ね備えた勉強が出来ます。

技術だけでなくデザイン力のある技術者に

建築・設備工学科や情報ネットワーク工学科は、他の大学にも似たような学科がありますが、久留米工業大学ではデザイン力のあるエンジニアを作り出しています。建築の技術にデザイン力という付加価値を付けることで、社会から求められる人材づくりを行います。

情報ネットワーク工学科でも、ハードとソフト、システムについて学習した後、デザインを学ぶことが出来ます。ゲームCGや、スマホアプリのデザインなど、今後も需要が高まる分野で活躍するエンジニアが日々、久留米工業大学で生まれています。

教員を目指すなら教育学部ではない

教員を目指している学生の多くが教育学部への進学を目指しますが、より数学的・物理的な教育を行うには、一般的に理工学部や工学部で教員免許を取る方が良いと言われています。しかし、久留米工業大学には「教育創造工学科」があり、教員を育成する学科となっています。数学コース、理科コースがあり、教育学部では学べない、数学や化学・物理の専門的な勉強が行えます。

特に、数学や物理といった分野は、教育学部ではあまり深く勉強しきれないケースがあるので、久留米工業大学の教育創造工学科では、生徒の問いに具体的に答えられる教員を目指すことができます。

教育創造工学科の詳しい情報はこちら

工学部で学んだ理系女子の体験談

就職したら機械の開発をしたいと考えていたため、より実践的な工学部に進学しました。文系学部にはない実験が週に2回あり、報告書の作成が大変でしたがとても楽しい授業でした。機械のシステムを勉強したり、私たちの生活に欠かせないものを作っている理論などを勉強したり、就職した時にもとても役に立ちました。卒業研究の延長戦で就職が決まったため、工学部はこういった分野で強いなと感じました。大学で使用していた教科書類はそっくり会社に持ち込んで使用しているほど実用的なものが多かったです。

まとめ:工学部を目指す人へ

理系の学生が進む進路としては、医療系を除けば工学部か理工学部という選択肢が出てきます。どちらの分野に進むか迷っている人は、自分がどんな職業に就きたいか(研究職なのか、開発なのか)で選ぶと失敗しないかもしれません。

工学部に進むか理工学部に進むか決めている人は、迷わないように自分に言い聞かせることも大切です。どちらも行けるだろうと考えているよりも、ひとつのところを目指す方がよい結果を得られそうです。

未来のための大切な決断です。しっかりと調べて決めるようにしましょう。