工学部を卒業した先輩達は、どんな業界・どんな職業に就いているのでしょうか?
工学部で学ぶ内容は、大学や学科によって大きく違うため、先輩たちの就職先については一口には語れません。
今回は、多くの先輩が選んだ業界や人気の職業をお伝えすることで、工学部の卒業後をイメージするのにお役に立てれば幸いです。
工学部の主な就職先(業界・業種)
まずは、多くの工学部の学生が卒業後に進む業界や業種をご紹介します。
自動車・輸送機器
自動車・バイク・飛行機・船・電車・列車といった「乗り物」をつくる業界です。
トヨタ、ホンダ、日産、Suzuki、YAMAHA、三菱重工、川崎重工といった企業が有名です。
電機・機械
電気機器、機械をつくる業界です。
身の回りにある電子機器だけではなく、工場の機械なども対象に入ります。もちろん、いつもあなたのそばにあるスマホもそれに含まれます。
パナソニック、ソニー、NEC、東芝、日立製作所、キヤノン、富士通、東京エレクトロン、日本電産などが有名です。
鉄鋼
鉄鋼を加工・製造する業界です。
鉄を利用したモノは、全てこの企業から提供されています。
新日鐵住金、KFEHD、神戸製鉄所、日立金属などが有名です。
エネルギー
電気・ガス・石油といったエネルギーに関することを取り扱う業界です。
開発を主に行う企業もあれば、精製・加工、流通・販売を行う企業もあります。
東京電力、大阪ガス、JXホールディングス、出光興産、コスモ石油などが有名です
医薬・食品
薬品や医療用品、食品を製造する企業です。
ドラッグストアやスーパーに置いてある医薬・食品のメーカーをイメージするとわかりやすいと思います。
大塚製薬、第一三共薬品、小林製薬、ハウス、グリコ、森永、KIRIN、SUNTORYなどが有名です。
化学
様々な原材料を組み合わせて、いろんな素材を作成する業界です。
例えば、サランラップやペットボトル、体操服に使われている科学素材等がそれに該当します。
東レ、富士フィルム、旭化成、帝人などが有名です。
建築
家やビル、学校といった建物から、道路、競技場、電波塔といった大きな建物まで、いろんな建造物を建てる業界です。
積水ハウス、鹿島建設、住友林業、清水建設、三井不動産、三菱地所といった企業が有名です。
※道路や橋、トンネル等は土木設計技術者の担当で、建築士とは少し違うので注意してください。上記はあくまで建築業界の説明です。
通信・IT
電話やインターネットといった通信を提供している業界、インフォメーションテクノロジーを利用してサービスや製品を提供している業界です。
あなたのスマホにはこの業界のサービスと商品がぎっしり詰まっています。
NTT、KDDI、ソフトバンク、楽天、マイクロソフト、アップルコンピューター、LINEといった企業が有名です。
官公庁・公務員
国や地方公共団体の運営する機関です。
皆さんの身近な学校、市役所や県庁、警察署、消防署、公共交通機関等がそれに該当します。
各公共団体には、研究機関やメンテナンス部署、事故や災害に備えるたり分析したりする部署等、工学部で学んだ技術を活かせるところがたくさんあります。
工学部に人気の職業は?
先程は業界を紹介しましたが、次は人気の職業をご紹介したいと思います。
研究
その名の通り、研究をする職業です。研究開発という職業も含まれる場合があります。
直接新たなモノを生み出すために研究するのではなく、どちらかというと基礎的なことを研究する場合を研究職と言います。
企業で研究を行う人もいれば、大学や国の研究所で働く人もいます。将来ノーベル賞ものの大発見をできるかもしれません!
設計、開発、機械系エンジニア
自動車や船といった輸送機器から、工場のロボット、身近にある電子機器まで、ありとあらゆる機械系に携わる職業です。
より良い製品を目指して、設計したり、開発したりする職業です。また、そのメンテナンスを行う職業もあります。
自分が考案したモノが世の中に出回った場合は、とても感動すること間違い無しです。
品質管理、生産管理
よく、工場で製造作業をしている人を想像する場合がありますが、実は違います。その製造作業をする人やその環境を管理したり、計画したりする職業のことを指します。
製品をつくる工程で、より効率的に、より高品質で均一化された製品に仕上がるよう調査・指導・管理をします。また、日々の生産量を短期的もしくは長期的に計画したり、製品が法律的に問題ないか等を監修したりします。
一見地味な職業に思えますが、とても重要でプレッシャーも大きい仕事といえるのではないでしょうか。
自動車、航空整備士
乗車している電車やバスや飛行機などは、車両の故障などで事故があっては大変です。自動車整備士・航空整備士は毎日、それらの輸送機器を整備してくれていいます。
もちろん、家にある自動車などもその対象に入ります。
自動車メーカーや航空会社に就職する整備士もいれば、整備工場などで働く人います。まさに「ザ・エンジニア」!カッコイイですね。
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建築士
建造物を設計したり、その建物が法律に違反していないか確認したり、工事監理を行ったりもします。
建築士というとカッコイイ建物をデザインしているイメージが頭に浮かぶと思います。しかし、建物を設計する際は、耐震性、防火性等の安全面を第一に考える必要があります。
そのため、この職業につくには建築士の国家資格が必要です。自分が設計したビルで人々が快適に過ごしているのを見れるなんて、素敵ですね。
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プログラマ、システムエンジニア
ソフトウェアを作成する仕事です。
具体的には機械のシステムであったり、銀行や保険会社のシステムであったり、ゲームのシステムであったりと様々です。
プログラマとシステムエンジニアを区別するのは日本特有と言えるかもしれません。
システムエンジニアはシステムの大枠を設計する職業を指します。プログラマはシステムエンジニアが設計した内容を元にプログラムを作成していく職業を指します。職場によっては両方をする場合もあります。
近年人気の花形職業で、2017年は中高生男子のなりたい職業ランキングで第一位になりました。
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教員
いわゆる学校の先生です。
国公立の学校の先生になるためには、原則として教員免許が必要です。教員免許は大学で教育課程をさらに受けることで取得することが可能です。
国公立の学校の教員になった場合は公務員扱いになります。私立学校の場合は、教育職員という扱いになります。
身近に先生がいるので、みなさんが一番想像しやすい職業ではないでしょうか?
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工学部の就職事情
卒業後、きちんと就職できるのか?とても不安になりますよね。工学部は就職しやすい学部の1つとして有名です。
就職率
工学部は進学率(大学院に進むこと)が高いので、他学部よりも就職率は低く表示されます。しかし、就職を希望する人の就職率はとても高いようです。
工学部は就職に強い?(有利?)
工学部はモノづくりに関わる学問を学ぶ学部ですので、専門的な知識・技術を修得することになります。
それらを活かして就職することが多いので、他学部の人が選択できないようなポジションを狙うことができます。
また、営業や総合職といったいわゆる文系職も狙える上に、教授からの推薦なども受けることができるので、就職に強いといえます。
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工学部は転職にも強い?(有利?)
全体的に工学部出身の人は特殊技術や特殊知識を活かした仕事に就くことが多いため、転職の際もそれを武器に使うことができます。また、独立して会社をつくったり、フリーランスで働くといった選択肢にも強いといえます。
まとめ:これから工学部への進学を考えている方へ
今回は、就職しやすい業界や人気の職業をご紹介しましたが、あくまで就職先の一部にすぎません。
大事なことは、業界にこだわらず、自分の学んだこと・好きなこと・興味のあること等を活かせるところを探すことです。そして、企業名にこだわらず、自分の性格や特性に合った企業を見つけることです。
例えば、あなたが大学に入って、構造力学(構造物が力をうけたときに、どんな力を受けて、どんな変形をするか解析する学問)を学んで好きになったとします。
あなたはこれを活かして住宅メーカーに就職して住宅の構造について研究することもできますし、自動車メーカーに就職して衝撃に強い車両の開発をすることもできます。また、土木系の公務員になって地震対策の仕事を担当したり、エネルギー業界の海底油田を掘削する機械のエンジニアになるという選択肢もあります。
もちろん、具体的にやりたいことが決まっている人は、迷わずその夢を目指して突き進んで下さい。
なんとなく工学部を考えている人は、なるべく自分が合ってそうな大学や学科を選び、そこで自分の適性を活かせそうなこと、興味をもてるものを是非見つけて下さい。