「機械設計」ってどのような職業?仕事内容からやりがいまで基本情報をご紹介

この記事では、機械設計者がどんな仕事でどういった能力が必要なのかをおおまかにご紹介したいと思います。機械設計者の仕事のイメージをつかんだり、興味をもつきっかけになれば幸いです。

機械設計とは何か

文字通り、機械を設計する仕事です。特に、機械の動くメカニズム(しくみ)を設計する仕事のことを指して言います。

思い描いた機械(アイデア)を具体的に形にしていく、その重要な工程を担うのが機械設計者です。

さて、機械と聞いて、みなさんはどんなものを想像しますか?

例えば、毎日手にするスマホも機械の一つです。自動車やバスや電車も機械の一つです。学校の社会の授業で習った石油コンビナートも、実はプラントという大きな機械の一つです。

このように、精密機械から巨大な重工業系の機械まで、機械設計者はいろんなものを設計します。

機械設計の仕事内容

機械設計は大きく分けて概念設計>基本設計>詳細設計>生産設計4ステップで行います。

しかし、一つ一つ説明しても、なかなかイメージがわきにくいと思いますので大まかに仕事内容を説明したいと思います。

まずは、「どんな機械にしようかな?」コンセプトをよく考えることから始まります。そして、それに従って大体の形や使う部品・技術・素材などを組み合わせて大まかな概要を考えていきます。

ある程度詳細が決まったら、CADというソフト等を使って設計と製図を行い、CAEという解析ツールを利用してシミュレーションを行い、強度などに問題がないか確認をします。

具体的に設計していくと、「やっぱり、こう設計するとこんな問題が起きるからこっちを変えるか」「これだと強度が足りないから素材を変えるか」「この形状だとコンセプトに合わないなぁ。構造を変えるか…」等といろいろと試行錯誤が必要になってきます。強度や安全性、環境に及ぼす影響、コスト、製作期間なども考え、詳細をつめていく必要もあるので、とても根気が必要です。

場合によっては試作品も実際に作成して確認し、問題があれば都度設計し直しをします。

最終的には、工場などで生産ができるように、具体的な寸法・材質・部品・加工や組立の方法等を細かく記載した設計図(図面)に仕上げていきます。

機械設計のやりがい

自分が設計したものが世の中に出た時の感動は何とも言えないと思います。また、1つの製品を完成さえるために、チームで試行錯誤して創作することもあるので、とても達成感があります。

常に市場や世の中のニーズを追いかけ、新素材や新技術を学び、それらを活かしてより良いものを設計していきます。

環境が変化していく中で、広い視野で最善のものを常に考ていくということが好きな人にはとてもオススメです。

機械設計として活躍できる場所(就職先・業界)

いわゆる「機械」を製造する企業、設計する企業に広く必要とされています。具体的には下記のような就職先があります。

大手ゼネコン・重工業・電機メーカー・製作所・機械設計事務所・公務員

機械設計の平均的な年収・給料

平均の年収は478万円というデータがありますが、平均年収440万に比べるとやや高めと言えます。

一人前の機械設計士になるためには経験が必要なので、ベテランになればなるほど給料が上がる傾向にあるようです。

また、企業で働くことが多いので、福利厚生などの待遇のよい企業で安定して働くことができるといえます。

機械設計をするのに必要なスキル・能力

機械設計をするためには、あらゆる知識が必要です。構造力学、材料力学、熱力学、流体力学といった4大力学は必須です。

さらに、標準的な規格や法律、製図の方法、組立や生産方法などの知識も必要になってきます。

そしてそれらの知識を総合してひとつの形にする論理的思考能力も必要になります。

常に新しい情報を吸収しつづける

技術の進歩は非常に速く、ほんの数年で時代遅れになることも多々あります。

常に新しい技術に目を光らせ、その技術を自分の設計に活かせるかどうか考える必要があります。また、自分の専門分野だけでなく、より幅広い分野の技術もアンテナを高くして拾っていくことが大切です。

また、それらの情報を踏まえた上で、社会のニーズを把握し、時代を先読みすることで新たな製品を生み出すような先進性も問われることがあります。

コミュニケーション能力

設計者にとって、コミュニケーション能力はとても重要な能力です。

設計者はただ、オフィスにこもって設計をするだけが仕事ではありません。時には営業マンと一緒に出かけ、お客様と打ち合わせをしたり、技術説明をする必要があります。

また、一つのモノを設計する場合、大抵チームで設計します。設計チームだけではなく、他部門の人たちとも一緒に一つの製品をつくりあげていきます。情報の行き違いがないようにするためにも、コミュニケーション能力は重要です。

根気よく、積み続けることが必要

機械設計は、トライアンドエラーを繰り返すことがほとんどです。

設計上は問題なさそうに見えても、実際にテスト稼働すると問題が出てくることが多々あります。せっかく考え抜いて作った設計がボツになった時も、すぐに原因を究明して作り直し、またテストをしてみて・・・。このように試行錯誤の連続に耐えるバイタリティが必要です。

また、設計技術はすぐに身につくものではありません。長い期間下積みをして沢山の経験を経ることで一人前になることができます。

別部門の同級生が、華々しく仕事をしている中、まだ自分は下積み…そんな思いをすることがあるかもしれません。

しかし、キャリアアップ後は大きな仕事を任されます。そういう意味では、大器晩成型と言えるかもしれません。

PCでの操作に抵抗がない人

最近では、手書きで設計することはほとんどないといっても過言ではありません。CADソフトを使って設計をし、CAEというツールソフトで解析シミュレーションを行います。

また、CADにもCAEにも様々な種類があり、職場によっては様々なソフトを使いこなす必要がありますので、PC操作に慣れる必要があります。

機械設計の仕事につくのにおすすめの資格

この資格がないと機械設計ができない!というわけではありません。むしろ資格はもっていなくとも第一線でバリバリに働いている人が多くいます。

しかし、資格をもっているということは、自分は知識と最低限の能力は持っているという証明にもなりますし、機械設計者になりたいという意欲の表れにもなります。

機械設計技術者試験

民間の認定資格です。大規模なプラントから日常の家庭用製品に至るまで、広い範囲の機械設計の知識を問われます。

3級~1級までがあり、受験資格は下記の通りです。

  • 3級:受験資格はありません。学生でも勉強をすれば取ることができます。
  • 2級:工業系の大学を卒業すれば、実務経験3年以上で受験が可能です。通常は6~7年の実務経験がないと受験できません。
  • 1級:2級取得後、実務経験が4年以上必要です。

大学生であれば就職活動前に、是非3級は取っておきたいところです。

CAD利用技術者試験

民間の認定資格です。CADとは、設計を支援してくれるソフトの総称のことです。設計を行う上で、CADは必須です。「CADを利用することができますよ」という証明になりますので、取っておいて損はありません。

大きく分けて2次元と3次元にわかれており

  • 2次元:「基礎」「2級」「1級」(1級は分野別に「機械」「建築」「トレース」に分けられています。)
  • 3次元:「2級」「準1級」「1級」

と難易度が分かれています。

機械設計の仕事がしたい学生におすすめの本

基礎から学ぶ機械設計

挿絵が多く、分かりやすい日本語で書いてあるので読みやすいと思います。

その割に、重要な機械設計の基礎をおおまかに学ぶことができるので、機械設計を学ぶ一冊目としてとても良いと思います。

トコトンやさしい機械設計の本

少し文字数が多いですが、挿絵もありイメージが付きやすい本です。

機械設計者の心得なども書いてあるので、機械設計の世界をのぞいてみるという点でも良い一冊ではないでしょうか。

機械設計(月刊誌)

本を読むのは苦手!!という人は、機械設計をする人向けの実務雑誌を読んでみるのも良いかもしれません。

最前線で活躍する設計者のインタビューや、最新の機械なども載っています。

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機械システム工学科