理系女子“リケジョ”の転職事情!理系に進学すると選択肢を広げられる?!

一昔前は、終身雇用と年功序列が前提で、転職はあまり一般的ではありませんでした。しかし、現在は転職が特別なものではなくなってきています。転職のCMなどが目に付くようになってきていますので、学生であっても、転職が身近な存在になってきているのを肌で感じている方も少なくないかもしれませんね。

今回は、理系女子“リケジョ”の転職事情を紹介します。今後の働き方の参考にしていただけると幸いです。

理系女子“リケジョ”の転職事情

厚生労働省が発表している「平成29年雇用動向調査結果の概要 」によると、平成29年1年間の女性の転職入職率(※)は60歳以上を除いた各年齢階級で男性よりも高くなっています。ただし、パートタイム労働者を含まない一般労働者に限ってみれば、男性とおおむね同じ水準です。

理系女子“リケジョ”に限ったデータは見つかりませんでしたが、転職市場においてリケジョだから特別、転職に有利、不利といったものはないと考えていいでしょう。

理系か文系かというよりも、転職市場では社会人としての経験が問われます。3年以内に退職・もしくは転職活動を行う第二新卒(25歳頃まで)の場合は、社会人として基本的な能力が身に付いているのが理想です。そして25歳以降になると、専門性をはじめとしたより奥行きのある経験が求められます。

これはリケジョも同じです。ただし、女性の場合はどうしても結婚、妊娠、出産というライフイベントが影響します。転職する場合は、ライフイベントを考慮してタイミングを決めたり、産休・育休の取得のしやすさ、時短勤務の取りやすさなど働き続けやすい環境の有無で職場を選んだりする傾向があります。

※転職入職率とは、常用労働者数に対する、転職入職者数(入職者のうち、入職前1年間に就業経験のあるもの)の割合を示します。

リケジョの転職事例~文系も狙い目、キャリアアップも柔軟に

リケジョの転職事例を2例ご紹介しましょう。

工学系の大学を出て研究職に就いたAさん。実は就職先は文系学部の講師でした。文系、理系という見方を捨て、自分が行っていた研究ができる場を探したら、たまたま文系だったとのこと。その後、別の大学の理系学部の准教授に転職されています。文系学部にいたときは、プログラミングの知識が武器になったとか。

学生のうちは、文系や理系といった考え方、出身学部が気になるかもしれませんが、社会に出ると意外とこうしたくくりが気にならなくなり、自分の持つスキルを武器に柔軟に業界や職種を変える人も少なくありません。Aさんのように、専門スキルに加えて、プログラミングなど、プラスαの知識が役に立つことも多いでしょう。工学部に行って良かったとAさんが言うのもうなずけます。

工学部出身のBさんは、年齢的には若かったものの家族の介護があり、非正規雇用で仕事を長く続けていました。責任感が強く、任された仕事にコツコツと取り組んでいたようです。でも、その会社は非正規雇用が多数を占め、正規雇用になれる見込みはゼロ。そこで、正社員として働ける環境が整った時点で、転職活動を始め、大学時代の恩師の紹介で、業界大手の正社員の職を得ました。同じ業界ですが、経験のない職種。年齢的にも専門性が転職のカギを握る頃でしたが、真面目に取り組む姿勢が何より評価されたとのことです。Bさんは、新卒のときなら絶対に手が届かなかった企業だと言っていました。

リケジョが働き続けるために、行っておきたいこと3選

リケジョが働き続けるために、大学時代、就職後に行っておきたいことが3つあります。転職をする、しないに限らず、働き続けたいなら意識しておくのがおすすめです。

ヒューマンスキルとテクニカルスキルの習得

大学時代、もしくは就職後5年以内に意識して身に付けておきたいのが、ヒューマンスキルとテクニカルスキルの2つ。ヒューマンスキルとは、人間関係を良好に保つためのスキルで、「報告」「連絡」「相談」をするスキルや、チームで協力して業務を進める力、顧客とのコミュニケーションをとる力などです。業界や業種が変わっても、変わらないスキルであり、仕事を行う上で基礎になります。もう一つのテクニカルスキルとは、求められる業務を遂行するために必要な専門的な技能のことです。

筆者は、理系出身ですが、大学を卒業した当時は、理系女子の就職は大変厳しいものでした。女性というだけで、成績が多少良くても、有名大学を出ていようとも、男性との差は歴然。でも転職市場の情勢は少し違ったようで、女性の先輩からは「新卒よりも転職の方が受け入れてもらいやすいから、就職した企業で数年頑張って、転職するのも一つだよ」というアドバイスをもらいました。4月入社という横並びの新卒採用とは違うのが転職。社会人としてどんなスキルを身に付けたか、何をしてきたのかが大事になってきます。その点を意識して過ごすとともに、自分のしてきたことを面接などで相手に伝えられるようにしておくことが大切でしょう。

ライフイベントとの両立方法を考えておく

今は、女性も働き続ける人が増えました。でも、結婚や妊娠、出産というライフイベントが、働き続けることへの壁になるケースは残っています。産休や育休は法律で定められた制度です。でも、取りやすさは会社により違います。そして、復帰後の働きやすさも大きく違うでしょう。リケジョの場合は、もしかすると、自分が技術職では第一号の取得者になることもあるかもしれません。

パートナーの転勤で、今の会社に通勤が難しくなる可能性もあり得ます。そうしたときに別居をして働き続けるのか、テレワークで継続して働き続けられるのか、転職したほうがいいのかなども考えておくと、準備ができますね。

経験してみないと分からないこともありますが、先輩の話なども聞きながら、働き続けるイメージを作っておくのは役立ちます。

大学時代に作ったネットワークは大切に!

転職を考える際は、転職エージェントに登録する方が多いですが、大学時代の出会いも大いに力となります。大学の友人は、同じ業界で働いていることも多く、転職を考えている旨を話しておくと、声をかけてもらえることも。友人はもちろんのこと、先生との付き合いも大事にしたいですね。

直接、転職先の紹介は受けられなくても、同じ業界で働く人の転職の経験談なども参考になるでしょう。

転職を視野に就職先を選ぶなら

将来の転職を視野に就職先を選ぶなら、多くの経験ができる職場を選択するのもひとつです。例えば、建設関連の企業であれば、建築設計が主な会社、土木から建築設計、施工、設備全般まで行っている会社もあります。ピンポイントでやりたいことが決まっていないのであれば、多くの分野を知り経験をして、そこから好きなこと極めていくのもいいですね。

例えば、今は何でもシステムで動く時代ですから、IT企業で働くシステムエンジニアが他業種のエンジニアに転職するケースも珍しくありません。理系の専門職種は意外と、こうした業種を変えた転職も行われています。また技術力を生かしてフリーランスとして活躍する道もありますね。

専門性が高かったり、取得している資格の希少価値が高かったりすると、単価が高く、短時間勤務で働けるなど、プライベートに合わせて働きやすくなります。

この記事をご覧になっている方には、転職はまだ少し先の話だと思いますが、プログラミングの知識やリサーチ力、論理的な思考といった理系学部で身に付けられるスキルは、専門性を生かした転職であっても、なくても役立ちます。ぜひ学生時代にも多くのことを勉強し、今後に活かしてください。