デザイン工学ってどのような学問?大学で学べる内容や将来性とは

工学教育

工学、美術と2つの分野の視点からデザインを行う「デザイン工学」。日用品から電化製品、建築物など私たちの生活の身近にあるものの多くが、デザイン工学によって生まれています。

とはいえ「デザイン工学とはどのようなもの?」「興味があるけれども、どのような進路に進めばいい?」「デザイン工学を学ぶメリットはある?将来どのような職業に就ける?」など疑問に思う人も多いですよね。

この記事では、デザイン工学とはどのような学問か、大学で学べる内容とともにデザイン工学を学ぶメリットや将来性などを解説します。

理系の観点からのものづくりを目指したい人や、デザイン工学を学んでみたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

工学とデザイン 知っておきたい基礎知識

「デザイン工学」は聞き慣れない言葉のため、興味があるもののなんとなくイメージができない、という人もいるでしょう。

まず工学にデザインが必要な理由や、デザイン工学とは何かについて解説します。

工学にデザインが必要である理由

デザイン工学とは、工学と美術分野両方の観点からデザインを行う学問を指します。工学にデザインが必要であるのは、使う人の目線に立ったより良い製品を生み出すためです。

デザイン工学は多様化するニーズへの対応や、社会的な課題解決のために活用されています。

従来はおもに工業製品や建築物がデザイン工学の対象でしたが、近年では都市や生活環境、情報までデザイン工学の範囲が広がりました。

また、デザイン工学によって生まれたデザインは、エンジニアリングデザインとよばれる場合もあります。

機能性とデザインの両立を考える「デザイン工学」

デザイン工学は、多様化するニーズに対応するために製品の機能性とデザインを追求する学問です。そのため、工学的、美術的な視点だけでなく、経済的・社会的な視点から、人と製品との関わりについても学んでいきます。

デザイン技術の進歩によって、より自由な発想を取り入れたデザインが可能となりました。デザイン工学によって、ユニバーサルデザインや環境に配慮したデザインなども誕生しています。

デザイン工学は楽しい?

デザイン工学を学ぶには、おもに大学のデザイン工学関連の学部や学科を選ぶことになります。

実際にデザイン工学を学んでいる人からは、「演習中心でやりがいがある」「ものづくりの分野に触れられて楽しい」などの意見が多く出ています。

他のデザイン工学についての意見をまとめると、

  • 絵を描くことが苦手でも学べるが、数学が必要となる
  • 演習が多く課題が大変だが、バイトやサークル活動の時間も確保できる
  • 有名な自動車やゲーム、おもちゃ、家電メーカーへ就職しデザインを手掛けている先輩も多い

などと感じる人が多いようです。

文系でもデザイン工学は理解できる?

結論から言えば、文系からデザイン工学系学部へ進むことは大学によっては可能です。大学が設置しているデザイン工学系学部には、理系分野(工学)を重視しているものと、美術や芸術(デザイン)を重視しているものがあるためです。

理系大学のデザイン工学系学部は理系分野を重視している傾向が高く、ロボット工学やプログラミングなどの科目を履修していきます。

同学部を受験する場合、数学や物理学などの理系の基礎的な知識が必須となり、理系の科目が受験必須科目となることが多いです。デザインはCADなどを使って行うため、絵を描くことについて美大レベルの実力はなくても問題ありません。

一方、美術や芸術系大学が設置しているデザイン工学系学部は、プロダクトデザインを中心に学ぶ傾向が高いです。ただし、比較的新しい学部のため設置している大学も限られています。受験する場合は、文系科目のみで受験できる場合もあります。

自分がどのようなデザイン工学を学びたいかによって、大学を選びましょう。

大学のデザイン工学部で学ぶ内容

デザイン工学は、工学分野の専門知識とデザインについて同時に学んでいきます。おもにデザイン工学部で学ぶ内容を以下にまとめました。

  • 数学的な基礎知識(数学や物理学など)
  • 工業デザイン(工業デザイン、ビジュアルデザイン、空間デザイン、サイン計画など)
  • デザイン工学の基礎知識(人間工学、材料計画、製品開発計画、デザイン解析、造形論など)
  • 専門科目(視覚・環境計画、環境生理学、造園学、建築設計や法規など)

実際に学ぶ内容は、大学や専攻した学科、コースによって異なります。

理系としてのデザイン工学を学ぶ場合は、数学的な基礎知識を学んでからデザイン教育の基礎を学び、次に将来の職業や進路に合わせた専門的な科目や知識の学び・研究に進むことが多くなっています。

久留米工業大学で学べるデザイン工学

久留米工業大学では、学びたいデザイン工学の内容や将来の進路に合わせて選べる複数のコースを設置しています。久留米工業大学のデザイン系コースについて紹介します。

デザイン工学に関連するコースの特徴と将来の進路

久留米工業大学でデザイン工学を学べるコースを紹介します。

機械システム工学科機械デザインコース

機械デザインコースはものづくりや工学の基礎科目を通じて、幅広く機械工学を学ぶコースです。

機械設計の基礎である4つの力学や、機械加工演習による設計製図や機械設計に関する基礎、外部の力、衝撃および振動に耐える設計をするためのデザインの基礎を学んでいきます。

機械設計技術者やCAD利用技術者、ボイラー技士、危険物取扱者の資格取得も目指せます。

将来は幅広い分野の機械・機器関連メーカーやプラントエンジニアリング関連企業、教員や公務員などが選択肢となります。

交通機械工学科モビリティデザイン工学コース

モビリティデザイン工学コースでは、自動車を中心にモビリティ全般の性能や構造、デザインに関わる科目から学ぶ自動車の設計開発や生産技術、保守管理技術の実習科目を通じた最先端の自動車の機能、構造、制御システムや保守管理技術を学びます。

4年制大学では実施実績の少ない、2級自動車整備士の教育が受けられるのも魅力です。2級ガソリン、2級ジーゼル自動車整備士の資格取得も目指せます。

将来は自動車メーカーや販売店のサービスエンジニア、自動車保険関連企業のアジャスター、自動車検査員、教員、公務員として活躍できます。

建築・設備工学科建築デザインコース

建築デザインコースは、計画・設計・環境・構造・材料・関係法規建築と、建築とインテリアデザインに関してトータルに学べるコースです。

建築デザイン・インテリアデザインの演習を通じ、建築士やインテリアデザイナーとしての知識やスキルに加えて、建築設備についての知識も身に付けられます。

建築士や建築施工管理技士、管工事施工管理技士、CAD利用技術者、インテリアプランナー、インテリアコーディネーター、インテリア設計士などと建築・インテリアに関する幅広い資格取得を目指せます。

将来は建築、住宅、リフォーム、インテリアの設計施工に関わる企業や事務所への就職が進路として選べます。

建築・設備工学科設備デザインコース

設備デザインコースは、空調、給排水衛生、電気、防災などに関する科目や演習を通じて、建築設備の設計や施工管理に必要な知識を学ぶのが特徴です。

空調設備や給排水設備、電気設備についての科目数を多く設置している、日本の大学では珍しいコースとなっています。

将来は建築設備、設計企業や事務所、総合建設業といった建設関連業企業への就職の道が開けます。

目指せる資格は、建築・設備工学科建築デザインコースと同様です。

なお、上記4つのコースすべてで高等学校教諭一種免許状(工業)の取得が可能です。

デザイン工学を学べるおすすめの本

これからデザイン工学を学びたい人におすすめの本を3冊紹介します。

・実用メカニズム事典:機械設計の発想力を鍛える機構101選

機械設計のメカニズムを実用機構から学べる一冊です。最初から通しで読むのはもちろん、将来機械設計を手掛けるときのアイディアや発想探しにも活用できます。

https://www.amazon.co.jp/dp/4627614713

・プロダクトデザインの基礎

日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)による、プロダクトデザインの基礎知識がコンパクトにまとめられた一冊です。

https://www.amazon.co.jp/dp/486267173X/

・誰のためのデザイン?認知科学者のデザイン原論

人の行動原理や思考、認知の観点からのデザイン論が学べる一冊です。

https://www.amazon.co.jp/dp/4788514346/

デザイン工学を学んだら将来何になれる?

デザイン工学は工学とデザイン両方の知識を得られる学問です。

デザイナーとしてはもちろん、エンジニアや建築家、整備士など大学で選んだ学科やコースによって幅広い職種が目指せます。

  • デザイナー(建築、機械、車、設備、インテリアなど)
  • エンジニア(機械設計、機械実験、実証、開発、企画など)
  • 整備士(自動車メーカー、販売店、自動車保険会社など)
  • 建築関係(設計士、建築士、建設会社、住宅販売会社など)

デザイン工学のこれから

デザイン工学を用いる目的には、多様化するニーズへの対応やイノベーションの創出などがあります。デザイン工学を用いて以下のような技術やデバイスが生まれています。

  • VR、ARデバイスや広告
  • 3Dプリンタなどに活用できるラピッドプロトタイピング
  • センシングやIoTを取り入れたサービスロボット

デザイン工学には、今後も画期的な商品開発や事業の誕生などにつながる将来性や可能性もあると言えるでしょう。

デザイン工学は人間の生活をより良くする学問

デザイン工学の概要や学ぶ内容、将来性について解説しました。

デザイン工学はただ製品や機器、建築のデザインをするだけでなく、利便性や課題解決などをふまえたデザインを行います。

デザイン工学を学ぶことで、人間の生活をより豊かにできる社会貢献性の高い仕事や、幅広い職種への就職が実現できるでしょう。

 

久留米工業大学でデザイン工学の視点を学べる学科コース

 

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