ほとんどの仕事が社会に貢献することで価値を認められ、対価として報酬(お金)が支払われています。しかし、職種によって社会貢献の形や現れ方は様々です。
工学の場合はどのような形で社会に貢献し、どう実感できるのでしょう?
工学が社会貢献できる分野
福祉と工学
福祉の分野は工学が貢献しやすい分野と言えます。工学の「より便利なものを作り出す」という特性が、身体の不自由な人や高齢者のサポートに繋がるからです。
例えば、久留米工業大学では音声命令に従って利用者を自動で目的地まで運んでくれる対話型自動運転車いすを開発しています。
※自動運転車いすについて詳しくはこちらの記事もご覧ください
対話型自動運転車いすが実用化すれば、重度の障害を持つ人や後期高齢者でも気軽に外に出かけられるようになり、さらにより多くの職種の仕事に従事することさえ可能になります。
障害を持つ人でも営業マンとしてオフィスの外で活躍したり、高齢者が家族に迷惑や心配をかけることなく自由に出かけられたりするとなれば、利用者本人だけでなく介護者や家族、社会全体もより明るく、活気に満ちたものになるでしょう。
ところで一言で自動運転と言っても、開発に必要な工学技術は多岐に渡ります。
AIが音声による命令を正しく認識し、GPS情報をもとに安全なルートを検索し、カメラによって障害物を自動で回避する。これだけの技術がそろって初めて実現できる機械なのです。
そのため、音声認識を研究する研究所や地図を作製する企業、電動車いすの開発ベンチャーなどとも協力し、多くの工学技術者が技術を持ち寄ることで開発に当たっています。多くの工学技術者が協力し合えばより大きな社会貢献につながる例でもあると言えます。
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機械工学と社会貢献
機械工学の分野を目指す人なら機械類やロボットの開発によって社会に大きく貢献することができます。
自動車を例にとってみましょう。運転サポートや電動化、燃費向上などの機械工学技術によって、より安全で環境にやさしい車を開発することに繋がります。産業用ロボットを進化させれば、生産性の高い工場をより低コストで作ることができ、自動車の価格を下げることもできます。
安全で環境にやさしい車は誰もが欲しがるでしょうし、それを低価格で販売できるとなれば自動車産業そのものが盛り上がることになります。 さらにロボットによる自動化が進めば、自動車工場で働く人間が危険な仕事をする必要が減り、より安全に生産に従事することができます。
機械工学はよりよい製品作りだけでなく、多くの産業の発展も担う重要な使命をもつ分野でもあります。
建築工学と社会貢献
建築工学ではデザイン、安全性、快適性、エネルギー効率、建築効率といった建物単体に関することから都市計画にいたるまで、建物にまつわる様々な要因をトータルで考えます。
建築といえば家やビル単体を思い浮かべる方が多いと思いますが、建築工学では都市そのもののデザインを考えることも含まれます。
多くの人が住みたいと思う街はどういったものを想像しますか?逆に、住みたくない街はどんな街ですか?
例えば、学校までの道路の幅がせまくて事故が起きやすかったり、すぐに渋滞が起きやすかったり、不便なところに電車やバスが通っていたり…。そんなところには住みたくないですよね?統一感のない雑居ビルばかりの汚い街並み、公園や植物が全くない無機質な街に住みたいと思う人もあまりいないですよね?
こういった街が生まれないように、都市全体からデザインして人が住みやすい街を作り上げるのも建築工学の大きな仕事の1つです。
人の生活を健康的で豊かなものにする縁の下の力持ち的な役割を担っています。
ITと社会貢献
まず「ITってよく聞くけど、何だろう?」と思いますよね。
ITはインフォメーションテクノロジーの略で、日本語では情報技術。ざっくりと言えばコンピュータを利用した情報処理技術のことです。
「プログラミング」や「システム」というと少し想像がつきやすいのではないでしょうか。「インターネット」や「スマホアプリの写真加工」に至るまで、コンピュータ(スマホもコンピュータの一種です)が関わるものがITです。
コンビニに行ったときを思い出してください。
アプリクーポンを使ったり、電子マネーで支払ったり、端末でチケットの購入をしたことがありませんか?これらは全て巨大なサーバーによって管理されているIT技術によって支えられています。
また、コンビニには常に人気の商品が並んでいますよね。実はこれは、「どの地域ではどういったものが売れているか?」というデータを本部のサーバーに報告して、それをコンピュータで分析した結果を元に、お店に置く商品を決定しているからです。
コンビニの例を挙げてもわかるように、もはやIT技術なしでは社会が成り立たないレベルでIT技術は社会に浸透しています。ITは世の中をどんどん便利にすることで社会貢献をしています。
社会全体への影響
工学にはいろいろな分野がありますが、共通しているのは「より便利で高性能なものを作る」ということです。
例えば、昭和初期のお母さんは、家事をするだけで1日が終わるのが当たり前でした。洗濯は手でゴシゴシ洗い、掃除はほうきで掃いたり雑巾で拭いたり。料理も薪をつかうこともあったので当然ですね。
今では、洗濯機、掃除機、炊飯器にIHクッキングヒーターやガスコンロがあるので、大幅に時間が短縮できるようになりました。それによって、お母さんも社会に進出して家事をしながら仕事をすることができるようになったのです。
工学によって「より便利で高性能なもの」が生み出されることで、ヒトの生き方まで変化していったのです。女性が社会進出することで、女性の人権意識や男女平等といった考えも盛り上がっていった背景があります。
このように、工学は社会全体にも大きな影響力があります。
まとめ
どんな仕事でも必ず社会貢献につながります。そんな中、工学はモノづくりが中心の学問なので、基礎研究を中心とする学部と違い、貢献できた実感が得やすいというのが特徴です。
「社会貢献できているなぁ」と感じながら学び働くという点では、工学部はオススメの学部です。
学科によってつくるモノが違うので、自分が一体どういうものが作りたいのか、どういうことに興味があるのかをよく考えてみましょう。
また、よくわからない場合は、大学のオープンキャンパスに行ったり、ホームページをチェックしたりしてみましょう。具体的なイメージがわくはずです。
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