これからの自動車がわかるキーワード「CASE」とは?

未来の乗り物・ロケット

自動車といえば日本を支える基幹産業の1つ。これを読んでいる方の中にも将来自動車関係の仕事に携わる方が多くいるでしょう。

そんな自動車産業ですが、実は今大きな変化を迎えているのです。この変化を象徴するのがCASEという言葉。

そこで今回はCASEとは一体どういう意味なのか、これから自動車業界にどのような変化が起こっていくのかについて説明していきます。

CASEとは

CASEとは、メルセデス・ベンツで有名なドイツの自動車メーカー「ダイムラー」が自社の経営戦略として発表したもの。これから自動車の在り方を変えるであろう以下の英単語の頭文字を取ったものです。

  • Connected(接続性)
  • Autonomous(自動運転)
  • Shared & Services(共有化)
  • Electric(電動化)

CASEという概念はダイムラー社に限らず、これからの自動車業界全般に当てはまるということでよく知られる言葉となりました。とはいえ一般の方にはまだ馴染みのない言葉ですよね。それぞれの単語にはどのような意味が込められているのかについて詳しく説明していきます。

Connected(接続性)

IoTといえばピンとくる方も多いでしょう。簡単に説明しておくと、IoTとはあらゆるものがインターネットに接続され、管理・操作ができるようになるというコンセプトのことです。IoTには家電などの身近なものを始め医療や農業でも導入が進んでいますが、自動車もIoTの流れには逆らえません。将来的に自動車はすべてインターネットに接続されることになるでしょう。自動車のIoT化が進むと、渋滞予測をして効率的に移動・物流をすることが可能になる、交通状況の統計を取るのが簡単になるなどのメリットがあります。

※参考記事

Autonomous(自動運転)

自動運転はその名の通り、車に搭載された人工知能が運転手の代わりになることです。自動運転が注目される大きな要因の1つが事故リスクの減少が見込めること。テレビ等のニュースでは毎日のように交通事故の報道がありますが、その原因のほとんどは人のミスや過失によるものですので、自動運転技術が十分発展すれば事故件数が大きく減少するだろうと考えられています。自動運転については別途解説した記事がありますので、よろしければこちらもご覧ください。

Shared & Services(共有化)

今、さまざまな業界でモノをシェアするビジネスが広まっています。有名どころとしては物件や空いている部屋を個人で貸し借りすることができるAirbnbというサービス。自動車においてもシェアビジネスはすでに始まっており、アメリカで始まったuberというライドシェアリングサービスは世界中で利用されています。日本においてもAnycaというカーシェアサービスが始まっていますし、CASEを提唱したダイムラーもcar2goというカーシェアサービスを始めています。

Electric(電動化)

すでに電気自動車があることはみなさんご存知でしょう。これまで自動車を動かすエネルギーには主にガソリンを利用していましたが、今後は電気が車にとって主要なエネルギーとなっていきます。電動化が進む理由は以下の通り。

  • ガソリンを燃やしてエンジンを回す必要がないので振動がなく静か
  • 排気ガスが出ないため大気汚染を防げる
  • 部品の消耗が少ない

自動車の電動化についても別途詳しく解説した記事があるのでこちらもご覧いただければと思います。

CASEによって実現する未来

ここまでの説明でCASEの4文字が持つそれぞれの意味はお分かりいただけたでしょう。ただ、これらの革新は単一で機能するだけでなく、それぞれが組み合わさることで新たな価値を生みます。それは一体どのようなものなのか?具体例を挙げて説明していきます。

より精度の高い自動運転

先ほども説明した通り、将来的に自動運転技術の進歩によって交通事故が大きく減るでしょう。とはいえ車1台だけでは認識できる範囲に限界があります。例えば角を曲がった先に別の車がいるかどうかはさすがに実際に曲がってみるまでは分かりませんよね。ところがネットワークにより車と車が繋がっていれば、曲がり角の先に別の車がいるかどうか、どのくらの速度で走行しているかなどが分かるため、より精度の高い自動運転を実現できます。

タクシー・運送業界に大きな変化

完全な自動運転が実現するとなれば当然ながら運転手は必要なくなります。タクシーや運送業界に大きな変化が起こることは間違いないでしょう。無人のタクシーに乗って目的地に移動するという体験をするのも珍しいことではなくなるでしょうし、運送業界の人手不足も解決するだろうと予測されます。

使っていない車を無人タクシーに

運転手が必要なくなれば使っていない自分の車を無人タクシーとして貸し出す人も現れるでしょう。タクシーとして貸し出すために複数の車を所有し、個人事業として成功する人も現れてくるはず。ロボットによって人間の仕事が減るなどとも言われていますが、技術を上手く使いこなせば頼もしい味方になってくれます。

CASEで使われる工学の技術

ここまで自動車の在り方がどのように変わってくるかについて説明してきました。技術が進歩するということは当然ながらこれまでとは違った知識を持つ人が必要になるということ。具体的に新しい自動車業界に関わっていきたいならどのような知識を身につける必要があるのでしょうか?

Connected(接続性)

インターネットと自動車を接続するための通信技術や情報を処理するためのソフトウェアを開発する能力が必要になります。また、自動車をインターネットに接続すると悪意を持ったハッカーの攻撃からシステムを守る必要も出てくるので、セキュリティ面の課題を解決する知識も求められます。

Autonomous(自動運転)

これまで通り機械工学や材料工学の知識が求められることに加え、周囲の状況を的確にキャッチするための画像認識・音声認識の技術が必要になります。また受け取った情報を適切に処理するため人工知能に関する技術も欠かせません。

Shared & Services(共有化)

これまで自動車のメーカーは車を作ることが仕事でした。しかしこれからは商品を作るだけでなく、カーシェアなどのサービスも提供するようになるでしょう。サービスは基本的にインターネットを通して提供することになるため、HTMLやCSS、PHPなどweb系のプログラミング言語を使いこなせる人材も求められます。

Electric(電動化)

今でもハイブリッドカーや電気自動車はあるものの、普及率はガソリン車に比べてかなり少ない状況。しかしこれからはこの割合が逆転していきます。製造される電気自動車の台数もこれまでと比べ物にならないほど増えていくでしょうから、電動化に関する知識を持つ人材が求められます。具体的に大学で学ぶ学問としてはエネルギー工学、電気・電子回路などが挙げられます。

技術は社会の課題を解決するために

今、技術水準の大幅な引き上げにより車の在り方は大きく変わろうとしています。なぜわざわざ変わる必要があるのか?それは社会の課題を解決するためです。自動運転が確立されれば誰でも安全な運転ができるようになりますし、電動化が実現すればエネルギー問題や大気汚染問題解決の一助となります。

自動車の問題が解決してもまだまだ社会の課題は山積み。特に日本では少子高齢化による人手不足が以前から懸念されています。そこで期待されるのがロボット技術などに代表される工学の力。学ぶべきことがたくさんあり大変であることには違いありませんが、今後どこでも通用する力を身につけようと思うのであれば、工学の道へ進むことは非常に良い選択だといえます。

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