私立大学研究ブランディング事業とは?選定された久留米工業大学の特色も解説

未来の乗り物・ロケット

文部科学省が進めている「私立大学研究ブランディング事業」をご存知でしょうか?

この記事では私立大学研究ブランディング事業の概要を説明するとともに、この事業に理工系領域としては九州エリアで唯一選定された久留米工業大学の取り組みについてご紹介します。

|私立大学研究ブランディング事業とは

私立大学研究ブランディング事業は、選定された私立大学を対象に各大学の特色・独自性を強化する目的で行われる国の事業です。この事業には地域経済の活性化や国際的な競争力を高めるなどの狙いがあります。

従来の取り組みと違うのは、学長のリーダーシップの下、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色、すなわちブランド力を強化する点です。

選定については、事業を実施できる体制が整っているかなどの「事業体制」と、事業を通じてどのような成果をあげられるかなどの「事業内容」が審査されます。

|私立大学研究ブランディング事業の選定状況

平成30年度に私立大学研究ブランディング事業の社会展開型タイプAに申請した115校の内、選定されたのはわずか11校でした。なお、中国・四国~九州・沖縄地域で選定されたのは久留米工業大学のみです。

また、本事業の公募があった平成28年度、平成29年度、平成30年度の全てを通してみても、九州・沖縄地域の理工系分野で選定されたのは久留米工業大学のみとなっています。

|久留米工業大学の研究ブランディング事業

久留米工業大学は、「先進モビリティ技術で多様な人々が能力を発揮できる、Society 5.0に基づく「いきいき地域づくり」」という事業で選定されました。

開学から強みとしている「自動車工学」に「人工知能」や「自動運転」、「IoT」を融合した「インテリジェント・モビリティ技術」で、地方都市の医療・福祉サービスに新たな価値を提案し、多様な人々がその能力を発揮して笑顔でいきいきと暮らせる社会の実現を目指します。

また、この取組みを通して全国から高い評価を得ることで、「地域が誇りに思う大学」、「地域から頼りにされる大学」を目指します。

モビリティ(ノリモノ)×医療・福祉

現在、日本は世界的にも類のないスピードで少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少と社会保障費の増大が懸念されています。政府(内閣府)が推進する科学技術政策「Society 5.0」でも最重要課題に位置付けられており、その課題解決の糸口として期待されているのが「MaaS(Mobility as a Service)」です。

※参考資料
Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」

これまではノリモノの開発というと、速く走れるようにする、燃費を良くするなど、ノリモノ自体の性能を向上させる取り組みを意味していましたが、これからはノリモノと高度情報技術を融合した新たなサービスの開発も重要になります。これが「MaaS(Mobility as a Service)」です。

※Maasについてはこちらの記事でも分かりやすく解説しております

具体例としては、利用者の個人データと連携して目的地まで安全に案内する自動運転サービス、1台の車を複数人でシェアするカーシェアリングサービス、各種交通機関の高度連携サービスなどが挙げられるでしょう。これらのモビリティサービスが実現すれば高齢の方でも気軽に社会参画できるようになり、地域社会が一丸となって発展することができると考えられます。

産業革命以降、自動車や航空機といったノリモノが社会を変えてきたように、これからも未来を明るくしていくのはノリモノ(モビリティ)なのです。

久留米工業大学の取組み

久留米工業大学は強みとする自動車開発技術を活かし、各分野の国内トップ企業、国の研究機関、介護福祉団体、自治体などと深く連携して「対話で行き先の相談ができるAI自動運転モビリティシステム(久留米工業大学インテリジェント・モビリティシステム)」を全国に先駆けて開発し、すでに大型総合病院や介護施設、空港、複合施設、商店街などで実証試験に入っています。その様子はテレビや新聞、ヤフーなどの各種メディアで大きく紹介され、国内外から高い注目を浴びています。

また、国家プロジェクトに参画し、東京で行われる大型イベントにも招待されるなど、全国から高い評価を得ています。

久留米工業大学はインテリジェント・モビリティシステムで医療・福祉分野に新たな価値(サービス)を提案し、多様な人々が能力を発揮して笑顔でいきいきと暮らせる社会の実現に貢献します。

|久留米工業大学で学ぶ「先進モビリティ技術」

インテリジェント・モビリティやMaaSには「人工知能」や「クラウド」といった先進技術が必要ですが、それだけではいけません。まず従来の「自動車技術」や「航空宇宙技術」を十分に理解する必要があります。そうすることで、「人工知能」や「クラウド」、「IoT」といった先進技術を使う「目的」が明確になります。何事も「目的」を理解して取り組まないと高い目標に到達することはできません。

久留米工業大学の交通機械工学科には、実際に自動車や航空宇宙機の開発の最前線にいた教員が多く在籍しています。実践の開発現場で役立つ最新の「自動車技術」や「航空宇宙技術」を学びつつ、これからのノリモノに必要な「自動運転」「人工知能」「クラウド」といった先進技術も学ぶことができ、さらにそれらをシステムとして統合する「システムインテグレーション」のスキルを身に付けることができます。このようなスキルはこれからの社会で最も重要なスキルであり、自動車産業や航空宇宙産業のみならず、様々な分野への就職が可能になります。

久留米工業大学の交通機械工学科には、皆さんの未来を明るくする、ワクワクする学びがたくさんあります。モビリティの力で社会をもっと便利にしたい、困っている方々の生活を豊かにしたいという高い志を持った皆さんと会えることを楽しみにしています。

記事の監修者

東 大輔

久留米工業大学
インテリジェント・モビリティ研究所 所長
交通機械工学科 学科長
学長補佐(研究ブランディング事業統括)
教授・博士(航空宇宙工学)

自動車メーカーでスポーツカーやレース車両のデザイン開発に従事した後、2007年から久留米工業大学の教壇に立つ。

プラチナ構想ネットワーク会員
日本カーデザイン大賞 審査委員
自動車技術会 流体技術部門委員
九州大学大学院 非常勤講師(デザイン)
名古屋市立大学 非常勤講師(デザイン) なども務める。

|研究ブランディング事業のことがよくわかる解説動画

  • 乗り物で社会はどう便利になっていくのか(研究ブランディング事業 前編)

  • スマートモビリティーで社会にどう貢献していくのか(研究ブランディング事業 後編)

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