数学の先生になるには?必要なものや難易度、おすすめの学部を解説

工学教育

おもに中学校・高校の教壇に立つ数学の先生。理系の教科を担当するため、難易度やどんな進路を選ぶべきか気になる人も多いですよね。単に生徒へ数学を教えるだけでなく、生活指導や進路指導、部活の指導を求められる場合もあります。やりがいも多いからこそ「自分に向いているか」と心配になる人も多いでしょう。

この記事では、数学の先生になるための方法や必要なものに加えて、難易度、おすすめの学部について解説します。数学の先生になるにあたって、進路選びに迷っている人もぜひ参考にしてください。

数学の先生になるにはどうすればいい?

数学の先生になるために必要なのが、以下の2つです。

  • 教員免許の取得
  • 教員採用試験に合格する

それぞれについて、これから詳しく解説していきます。

数学の先生の教員免許の種類と取得方法

数学の先生になるためにまず必要となるのが、教員免許です。中学校・高校どちらの数学の先生を目指すかによって、取得する教員免許の種類も異なります。中学校・高校それぞれの数学の先生になるために必要な教員免許の種類と取得方法を解説します。

教員免許の種類について

数学を含めて、教員免許には以下の3種類があります。

  • 普通免許状
  • 特別免許状
  • 臨時免許状

さらに取得方法によって以下の種類に分類されます。

  • 専修免許状
  • 一種免許状
  • 二種免許状

教員免許の中でも一般的なものが、普通免許状の一種免許状です。普通免許状の一種免許状は、学士の学位(大卒)+教職課程の履修で取得できます。

文部科学省の参考資料「教員免許授与件数(令和元年度課程認定大学等卒業者)」では、すべての教員免許取得件数203,797件のうち、一種免許状の取得件数は138,492件と全体の約67%におよびます。

参考:文部科学省「教員免状授与件数

数学の先生になりたい場合も、普通免許状の一種免許状取得を目指すのが一般的なルートです。

教員免許全般について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

中学校の数学の先生になるために必要な教員免許

中学校の数学の先生になる場合、以下いずれかの教員免許が必要です。

  • 中学校教諭一種免許状(数学):大学卒業相当
  • 中学校教諭二種免許状(数学):短期大学卒業相当
  • 中学校教諭専修免許状(数学):大学院修了相当

各免許に対応した学校を、所定の単位を取得して卒業すると各教員免許が取得できます。中学校の教員免許の詳しい取得方法は、以下の記事を参考にしてください。

高校の数学の先生になるために必要な教員免許

高校の数学の先生になる場合、以下いずれかの教員免許が必要です。

  • 高等学校教諭一種免許状(数学):大学卒業相当
  • 高等学校教諭専修免許状(数学):大学院修了相当

高校の先生の教員免許は、中学校と異なり一種と専修のみです。つまり、大学卒業または大学院修了と同等の学歴が必須となります。高校の教員免許の詳しい取得方法は、以下の記事を参考にしてください。

中学校と高校の教員免許一括取得も可能

進学する学校や履修する単位によっては、中学校・高校の数学の教員免許を同時に取得することも可能です。教職課程を設けているほとんどの大学では、中学校と高校の教員免許を同時に取得できます。

中学校と高校の教員免許を同時に取得するメリット・デメリットを以下にまとめました。

メリット

  • 中高一貫校や私立で採用されやすくなる
  • 受験できる自治体の幅が広がる

公立の中高一貫校や付属のある私立の学校では、中学校・高校間で人事異動が発生します。中学校と高校両方の教員免許を持っているなら、どちらにも配置できるため就職活動するうえで有利となるでしょう。

公立学校の数学の先生になるには、各自治体の教員採用試験(詳しくは後述)を受験し合格しなければいけません。自治体によっては中学校・高校で共通する教科の採用試験を一括実施する場合があります。一括実施をする自治体の数学の先生になるには、中学校・高校両方の教員免許が必要です。

たとえば東京都の教員採用試験は中高共通募集のため、受験要項に中学校・高校両方の教員免許が必要であることが記載されています。中学校・高校別々で教員採用試験を実施している自治体のみを受験するなら、教員免許はどちらか一方でも問題ありませんが、両方取得しておくことで受験できる自治体の選択肢が広がります。

デメリット

  • 取得単位数が増える
  • 実習がやや大変になる

中学校と高校両方の教員免許を取得する場合、当然ながら履修する単位数が増えます。計画的に教科や科目の講義を受け、効率よく単位を取得しましょう。

高校の教員免許を取得する場合、所定の単位のほかに2週間程度の教育実習が必要です。一方、中学校の教員免許の取得には4週間程度の教育実習に加えて7日間程度の介護実習等も必要になります。どちらか一方の教員免許のみを取得するよりも実習が大変になることも覚えておきましょう。

数学の教員免許を取得するのにおすすめの学部・学科

数学の教員免許を取得するには、教職課程のある各学校で必要な単位を履修し、卒業しなければいけません。数学の教員免許が取得できる学部や学科についてと、進路の選び方のポイントを解説します。

数学の先生になるなら「専門分野を学べる学部」がおすすめ

数学の教員免許を取得するための学部や学科には、大きく分けて「教育学部」と「数学の教員免許取得に対応している学部」があります。

教育学部は名前の通り、教育そのものを学ぶ学部です。数学をはじめ各教科の教員免許のほか、小学校の教員免許も取得できます。一方、「工学部」「数学部」「理学部」など専門的な知識を学ぶための学部で、数学の教員免許取得に対応している学部もあります。

「数学の先生になりたい」と考えている人は「数学が好き、または得意」「良い数学の先生に出会った」など、数学に特化した教育を生徒に教えたいと思っている人がほとんどでしょう。はっきりと「数学」の先生になりたいと将来の希望が決まっている場合は、指導したい内容に応じた専門的な学部を選び、数学の教員免許を取得するのがおすすめです。

数学の教員免許を取得できる学部や学科は幅広くあります。自分が学びたい分野を大学で勉強しながら教員免許取得を目指せるのも、専門学部を選ぶメリットです。たとえば、久留米工業大学では「教育創造工学科」で中学校および高校の一種免許状(数学)が取得できます。

数学の教員免許が取得できる具体的な学部・学科は以下の記事で紹介しています。

文系の大学卒業後も数学の先生にはなれる?

文系の大学に進学後、数学の魅力に目覚めるなどで「数学の先生になりたい」と思う人もいるかもしれません。

文系の大学へ進学後、数学の先生になるには以下の方法があります。

  • 同大学で数学の教員免許が取れる学部や学科へ編入する
  • 他大学の数学の教員免許が取れる学部や学科へ編入する
  • 現在の大学を卒業後、科目履修生となって足りない単位を履修する

大学編入は卒業年はそのままで学科や学部を変更できるメリットがあります。たとえば大学3年次の編入制度を利用した場合、編入後大学3年生からスタートします。編入後も、編入前に取得した単位を活かして卒業や教員免許取得ができるのもメリットです。

ただし、すべての大学や学部で編入を認めているわけではありません。編入には各大学で定めている編入試験を受けて合格する必要がありますが、募集人数も少なく難易度もやや高いでしょう。

科目履修生とは、大学には入学せず必要な単位のみを取得するために大学などで学ぶ方法です。大学卒業後、数学の教員免許が取得できる大学の教員過程を履修し、足りない単位を取得した時点で教員免許の申請ができます。

大学編入に比べると学べる大学の選択肢も増えますが、科目履修生となるのは大学卒業後のため、教員免許の取得や教員採用試験を受けられる期間が遅くなります。

このように、文系学部や学科を選択後も数学の先生にはなれますが、デメリットもあるので注意が必要です。すでに数学の先生を目指している場合、教員免許が取得できる大学、かつ自分が学びたい学部や学科を選ぶことでスムーズに数学の教員免許取得につながるでしょう。

数学の先生になるための教員採用試験について

数学の教員免許を取得した後、教員採用試験を受験し合格するといよいよ数学の先生として勤務します。数学の先生になるための教員採用試験の内容や難易度について解説します。

公立または私立で受験する試験が異なる

公立中学校または高校の数学の先生の立場は「地方公務員」です。各自治体で実施される教員採用試験(正式名称:公立学校教員採用選考)を受験し、合格すれば自治体内にある公立学校の数学の先生として配属されます。

私立中学校または高校の数学の先生の立場は「法人役員」です。学校法人である私立の学校に直接雇用されるため、会社員のような立場となります。私立学校の教員募集に応募し、採用されればその学校の先生として勤務することになります。

教員採用試験のスケジュール

教員採用試験は受験を希望する自治体や私立学校によってスケジュールが異なります。参考として、東京都公立学校教員採用候補者選考(令和4年度採用)のスケジュールをまとめました。

  • 募集要項の発表…3月下旬
  • 受験の募集開始…4月上旬~5月上旬
  • 受験票の交付…6月中旬
  • 第一次選考…7月上旬
  • 第一次選考合格発表…8月上旬
  • 第二次選考…8月上旬~9月上旬
  • 合否発表(最終)…10月
  • 各区市町村教育委員会・都立学校等への紹介・面談…2月以降順次
  • 勤務先で勤務開始…4月

数学の教員採用試験の内容

教員採用試験の内容は、受験する自治体や私立学校によって異なります。参考として、東京都公立学校教員採用候補者選考(令和4年度採用)の数学の試験内容と問題を以下にまとめました。

第一次選考

  • 教職教養問題…日本国憲法、就学に関する法令、公立学校の学期や休業日等に関する法令、公立学校の児童・生徒に対する懲戒や性行不良による出席停止について、公立学校の教職員の職務又は配置に関する記述および服務規定について、教員免許についてなど
  • 専門教養…計算、図形、分数、二次関数など数学の専門知識を問う問題
  • 論文…テーマ(学校生活、生徒指導などに関するもの)を選択し、決められた問題に沿って論述をする

第二次選考

  • 個別面接
  • 集団面接

数学の先生になるのは難しい?難易度はどのくらい?

数学の先生になるのが難しいかどうかのひとつの指標となるのが、教員採用試験の倍率です。数学の受験者のみの倍率は公表されていないため、教員採用試験受験者全体での倍率を参考にしています。

文部科学省発表の「令和3年度教員採用選考試験実施状況」によれば、令和3年度の全国の教員採用試験の倍率は中学校が4.4倍、高等学校が6.6倍でした。過去5年の中学校・高等学校の教員採用試験の倍率をまとめると以下の通りです。

平成29年度平成30年度令和元年度令和2年度令和3年度
中学校7.46.85.75.14.4
高等学校7.17.76.96.16.6

参考:文部科学省「令和3年度教員採用選考試験実施状況

令和3年度の倍率は中学校で減少、高等学校では久しぶりの増加となりました。教員採用試験の倍率は少子高齢化、一定の世代の大量退職などが背景にあり、年々減少傾向です。

このことから、近年は数学の先生になりやすい状況が続いているといえます。数学の先生になりたい、と持っている人はぜひ目指してみましょう。

数学の先生になるために必要な資質やポイント、向いている人は?

数学の先生になるために必要、または数学の先生に向いている資質やポイントを解説します。

知的好奇心や向上心が強い

数学に限りませんが、学校の先生は、先生になった後も常に知識を得るための勉強が必要になります。教師自身がきちんと理解していない内容は、生徒に教えられないからです。教師の知識不足によって生徒の質問に答えられない、間違ったことを教えてしまう、ということもあるでしょう。

ほかにも教科書の改訂、学習指導要領の変更、さらに新しい数学的な解釈の発見などによって自分の知識のアップデートが求められることも多くあります。自分から積極的に新しい知識や数学的スキルを身に付けられる、知的好奇心や向上心が強い人は数学の先生に向いているでしょう。

数学を教育的に教えられる

教科としての数学の特徴は論理的な思考が必要となることです。教師本人も生徒が数学を理解できるように、要領よく、わかりやすく教えられるスキルが求められます。

数学は好き・嫌いやわかる・わからないがはっきりと分かれる教科でもあります。数学嫌い、または数学がわからない生徒の立場に立って適切に教えられるスキルも数学の先生には必要です。

「学問としての数学の楽しさ」と「数学が有益なものである」ことが、数学の先生が生徒に教えるべきことと言われています。数学を通じて「わかった」「面白い」と感じることは、生徒の人生の中でも大きな財産となります。数学の先生のとってのやりがいにもなるでしょう。

コミュニケーション能力がある

数学教師に限らず、先生は多くの生徒と接する必要があるため、コミュニケーション能力は必須です。数学の授業を担当するだけでなく、学級担任や進路指導、部活の顧問などを担当することももちろんあります。生徒一人ひとりと向き合えることにやりがいを感じる人は、数学の先生にも向いているでしょう。

数学の先生を目指すなら事前の進路選びが重要!

数学の先生になるために必要な教員免許や教員採用試験に加え、数学の先生に向いている資質や必要とされることを解説しました。数学は、数学的な解釈を理解するために論理的な思考が求められる科目です。数学が楽しい、面白いと感じている人は、数学の知識やスキルを生徒に教える数学の先生も将来の選択肢に入ります。

数学の先生には高い学力やコミュニケーション能力、向上心などが求められますが、その分大きなやりがいもあります。大学で自分の興味のある分野の勉強をしながら数学の教員免許の取得を目指すのがおすすめです。自分がどんな数学の先生になりたいかを考えて、数学の知識と教員免許取得が目指せる大学を選びましょう。

数学の先生を目指せる学科

 

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