ソサエティ5.0とは?具体例も分かりやすく解説!

情報技術・AI

インターネットが普及して以来、私たちの生活は大きく変化しました。しかし、私たちはこれからさらに大きな変化を実感することとなるでしょう。そこで注目されているのがソサエティ5.0というキーワードです。工学を学ぶ人はもちろん、それ以外の方も教養として押さえておくべき知識といえます。

この記事ではソサエティ5.0で生活がどう変わるのか、どんな課題があるのかなど、具体例も挙げながら分かりやすく解説します。

ソサエティ5.0の定義

ソサエティ5.0は、内閣府の公式サイトで以下のように定義されています。

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

引用元:Society 5.0/内閣府

ソサエティ5.0という言葉は、日本政府が2016年に策定した第5期科学技術基本計画の中で初めて用いられました。また、ソサエティ5.0以前の社会については以下のように定義されています。

1. ソサエティ1.0:狩猟社会(1万年以上前)

2. ソサエティ2.0:農耕社会(1万年前〜)

3. ソサエティ3.0:工業社会(18世紀半ば〜)

4. ソサエティ4.0:情報社会(20世紀末〜)

すでにインターネットなどの通信技術は社会に必要不可欠なものとなっています。そのため、仮想空間と現実空間はもう十分結びついていると感じるかもしれません。しかし、ソサエティ5.0は私たちの暮らしにさらなる変化をもたらします。

ソサエティ5.0で私たちの暮らしはどう変わる?

ソサエティ5.0が到来すると、私たちの暮らしが今までとは大きく変化するでしょう。イメージしやすいように分野ごとの具体例をいくつか紹介します。

医療

日本では以前から少子高齢化が問題視されています。医療や介護サービスを利用する高齢者が増え続け、その一方で医療従事者が減り続ける現状を見ると、日本の医療・介護業界が崩壊してしまうのも時間の問題に思えてくるでしょう。この問題を解決できると期待されているのが遠隔診療の技術やAIによる診断技術です。

遠隔診療技術が実現すれば、高齢者は通院せずとも十分な診療を受けることができます。また、これまでは訪問診療を行っていた医者も病院にいながら患者の様子をチェックできるため、より多くの患者を相手にすることができるでしょう。さらに医師同士での情報共有もスムーズになり、場所を問わず専門性の高い医療サービスを提供することが可能になります。

AIによる診断が実用化されれば、医療従事者の負担を大きく減らせます。予防のための医療サービスも手軽に受けられるようになり、医療費にかかる国の財源を削減することにもつながるでしょう。

物流

物流に大きな影響を与えるのはドローンと自動運転技術です。例えば、今はネット通販で買物をすれば配達業者がトラックに乗って届けてくれます。ソサエティ5.0では、個人の小さな買い物くらいであればドローンを使って配達できるようになるかもしれません。この方法であれば、配達業者が1件ずつ回る配達方法と違って配達時間は大きく短縮されます。

もちろん運搬する荷物が大きい、量が多いなどの理由からトラックを使わなければならないこともあるでしょう。しかし自動運転技術が実現していれば運転手はいなくても問題ありません。現場の負担が減ることは、物流業界の人手不足を解消することにつながります。

仕事

すでに機械やコンピュータはさまざまな職場で導入が進められています。ただ、それでも人間が干渉しなければいけない仕事は少なくありません。工場など機械化が進んでいる場所でも、管理や調整は人間の仕事です。

ところがAIやIoTの技術革新が進むと、人間の仕事は徐々にロボットやコンピュータに代替されていきます。例えば農業なら種まきや水撒き、刈り取りをすべてロボットに任せることができるでしょう。事業計画を練るといった仕事も、AIがビッグデータを解析し最適な答えを導いてくれるようになるかもしれません。

ソサエティ5.0とインダストリー4.0の違い

インダストリー4.0はドイツが掲げている未来社会のコンセプトです。日本語では第四次産業革命を意味します。技術革新で変わる未来を語る上で、この2つはほとんど同じような意味として捉えられますが、ソサエティ5.0は社会に注目しているのに対し、インダストリー4.0は製造業に注目しているという点で違いがあります。

※参考記事

ソサエティ5.0のメリット

具体例の中でも取り上げた通り、日本はこれから経験したこともない少子高齢社会に突入します。これまでと同じやり方で仕事をするだけでは、やがて社会が回らなくなってしまうでしょう。

しかし、ソサエティ5.0が実現すれば技術の力であらゆる産業の効率化が進められます。技術が十分成熟すれば単純作業はやがて人の仕事ではなくなるでしょう。ロボットがこれまで人間が行っていた仕事を代替してくれるようになった時、人間はクリエイティブな仕事や活動だけに集中することができます。

ソサエティ5.0の課題

新しい技術が生まれると、その技術を使いこなす新たな職業が生まれます。しかし、その一方で今存在する仕事の多くはなくなってしまうでしょう。このように社会が急激に変化すれば、失業者が増えてしまうといった新たな社会問題につながります。とはいえ、便利になると分かっている技術がそのまま放置されることはありません。ソサエティ5.0が生み出す問題もすでに避けられないものになっていると考え、AIやロボットとどう付き合っていくかを話し合っていく必要があります。

また、ソサエティ5.0で使われる技術に一般市民が適応できるかという課題もあります。デジタルネイティブ世代の若者ならともかく、コンピュータやスマートフォンの操作に慣れていない高齢者であれば新たな技術を使いこなせない人もいるはずです。こうした問題を解決するため、どんな人でも扱えるように直感的な操作ができるデバイスも必要になるでしょう。

おわりに

ソサエティ5.0が実現した世界では、これまで以上に仮想空間と現実空間の結びつきが強くなります。AIやIoTに代表される技術は私たちの暮らしを大きく変え、人間が担っている仕事の多くもロボットやAIが代替するようになるでしょう。

生産性が高まる一方で、人間の仕事がなくなってしまうという問題も生まれます。しかし時間を巻き戻すことはできません。新たに生まれる問題については別の対策を考えつつ、技術をどう活かしていくか考えていく必要があるといえるでしょう。

※ソサエティ5.0のことがわかる解説動画も参考にご覧ください

※久留米工業大学で最先端の「モノづくり」が学べる学科

※久留米工業大学でソサエティ5.0に基づく研究をしている学科

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