建築物の室内空間のインテリアを設計するインテリアプランナーは、インテリアと建築の双方にかかわることから業務範囲が広く、やりがいを強く感じられる仕事です。
前回はインテリアプランナーの概要と働き方、就職先について解説しました。第2弾となるこの記事では、インテリアプランナーの適性や必須資格、将来性について紹介します。
目次
インテリアプランナーに向いている人のタイプは?
インテリアプランナーは専門的かつ広範囲の仕事を担当する仕事なので、インテリアや建築に強い関心があるタイプの人は向いています。商品や施工の基本的な知識だけでなく、毎年変わるトレンドも把握しておく必要がありますから、インテリアや建築そのものが好きというのはもっとも基本的な素質です。
インテリアプランナーにはセンスが必要?
「インテリアプランナーに向いているのはセンスのいい人」というイメージがあるかもしれません。心地いいと思える室内空間かどうかは、建築物の評価を左右する重要な要素のひとつですから、確かにセンスは必要です。
しかし、実際の現場ではセンス以上に必要とされるスキルがたくさんあります。
インテリアプランナーに必要なスキル
インテリアプランナーはデザイナーではないので、施主が空間に求めている要望をきちんと理解し、形にしていくのが仕事です。そのため、顕在化している要望だけでなく潜在的な要望まで掘り下げられるヒアリング力、ヒアリングをもとに形にしていくデザイン力、なぜそのプランなのかを施主に分かりやすく説明し認めてもらうプレゼン力、多くの関係者の間に立つ調整力などが求められます。
また、現場ではさまざまな突発的問題が起きやすく、勤務時間や休日が不規則になりやすいです。フリーランスだと軌道に乗るまでは仕事量が少ないため、営業力もいるでしょう。さらに美術や工芸といった分野に関心がある人も適性があります。アートは室内空間にアクセントを与える存在ですから、知識があることでインテリアプランの幅が広がります。
インテリアや建築が好きという思いに加えて、常に最新情報をチェックし学ぶ姿勢で仕事をしようという熱意を持っている人はインテリアプランナーに向いていると言えるでしょう。
インテリアプランナーになるための資格とは?
インテリアプランナー資格は必須?
インテリアプランナーとして働くには、これまでにも触れたように専門的な知識を持っていなければ難しいです。仕事をする上で資格は必須ではありませんが、インテリアや建築に関する知識を身につけることで設計や現場の施工確認がスムーズにできるようになりますし、一定のレベルの知識が身についていることを対外的にアピールできますから、取得しておいた方が就職の際の武器になるでしょう。
インテリアプランナーの資格は、公益財団法人建築技術教育普及センターが主催しているインテリアプランナー試験に合格し、資格登録を行うことで取得できます。資格の登録を行うには、学歴や所有資格などに応じた実務経験が必要です。
インテリアプランナー資格の試験内容
試験は学科試験と設計製図試験があります。
学科試験はインテリア計画、インテリア装備、インテリア施工、インテリア法規、建築一般の分野から四択式で50問出題されます。設計製図試験は学科試験の合格者が受験可能で、毎年設計課題が出されます。課題に沿って設計主旨や平面図、断面図、展開図、仕上表、家具表等の中から必要な図面が指定されます。
試験は全国9都市で開催され、学科試験は毎年6月、設計製図試験は11月に行われます。
平成28年度にはアソシエイト・インテリアプランナーが新たに新設されました。アソシエイト・インテリアプランナーとは、学科試験に合格した後に登録を受けることで与えられる資格で、インテリアプランナーに準じたものです。まず学科試験の勉強に集中したい人や業務経験が少ない人は、いきなりインテリアプランナーに挑戦するのではなくアソシエイト・インテリアプランナーの取得をめざすのもいいでしょう。
インテリアプランナーの合格率は、直近5年間で22.2~30%です。数ある資格の中では難易度が高い部類になりますので、資格を取るにはしっかり学習計画を立てて勉強を進めることが大切です。
インテリアプランナーの将来性・需要は?
室内空間の雰囲気を左右するインテリアは、住宅やオフィス、店舗などさまざまな建築物の印象を決める重要な要素です。それだけに、既製品を選ぶだけではなくオーダー品をあつらえたい、好みのインテリアテイストで統一したいといった空間へのこだわりを持つ施主が増えてきています。
施主の要望は従来よりも多様化してきていますから、インテリアのプロとして、建築の視点も含めてインテリアプランを提案していくインテリアプランナーのニーズはますます高まってきています。
施主自身が雑誌やネットなどでインテリアの情報を簡単に手に入れられるようになっている現代では、一般的なインテリアの知識をただ身につけるだけでは対応できません。広く浅く知識を身につけることも大事ですが、家具や照明器具などあるひとつの得意分野に特化していくことで、専門性の高いインテリアプランナーとして認識され、より面白く規模の大きい仕事に携われる可能性が高まるでしょう。
まとめ
インテリアプランを設計し施工確認まで担当するインテリアプランナーは、インテリアにこだわる人の増加にともなって今後もニーズが高まる専門職です。日々の業務を通してインテリアプランナーとしての経験値は上がっていきますが、並行して資格の取得のための学習を進めるとさらに自信につながるでしょう。
建築物の価値を高め、室内空間をより快適にする仕事がしたいなら、インテリアプランナーとして働く道にぜひ挑戦してみてください。
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