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平成29年度 科学研究費 基盤研究(S)の採択とキックオフ研究会開催の報告

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2017.07.13

平成29年度 科学研究費 基盤研究(S)の採択とキックオフ研究会開催の報告

 本学教育創造工学科 中村文彦教授の発見「乾電池半分の電圧で起こる巨大な構造転移を伴ったモット絶縁体の金属化」を基にした研究提案「直流電場・電流:強相関電子系の新しい制御パラメータ」が科学研究費 基盤研究(S)(H29-H33年度)(研究代表者: 前野悦輝 京都大学教授)に採択(5月31日)されました。本学では中村が主要研究分担者として研究を精力的に推進しております。

 7月8日(土)本学100号館9階 多目的ホールにて,キックオフ研究会が開催されました。会議には,このプロジェクトに参加する物理学者が京都大学・名古屋大学・大阪大学・東北大学・広島大学・東京理科大・物質材料研究機構などから集まり、本学の今泉勝己学長の挨拶後、各メンバーから数々の研究の目的・進捗状況・計画が報告されました。また,午後には研究計画について通常の学会ではない白熱した議論が行われました。この久留米での研究会を起点に多くの重要な研究成果が得られ,物理学の新たな分野の創造が期待されています。

 また,本研究会の開催・運営には教育創造工学科の学生も参加し、世界の最先端の物理学をねらう研究の片鱗にふれることが出来ました。今後,彼らにもこの世界的研究プロジェクトに大きく関わり,その一端を担ってもらう予定です。

科学研究費 基盤研究(S)「直流電場・電流:強相関電子系の新しい制御パラメータ」

本研究の詳細は、こちらのページをご覧ください。

研究の目的

0℃になると「流れ」のない池の水は凍りますが,「流れ」のある川の水は凍りません。このように「流れ」のある系とない系では出現する現象が異なることがあります。では,電子の「流れ」がある系(定常電流下:非平衡定常状態)と電子の「流れ」のない系(平衡状態)ではどうでしょうか?通常,抵抗体に流された電流と発生電圧とは抵抗体の温度が変らなければ比例関係にあり(オームの法則),平衡状態と同様に取り扱えます。しかし,ある種の物質ではその関係性が崩れています。我々は,Ca2RuO4というモット絶縁体物質にわずか0.8 Vの電圧を加えると1~2%も体積変化し絶縁体から金属へ相転移することを発見しました。温度は変らないのに非線形抵抗が現れたのです。また,いったん金属化すると,「電流を流し続ける」ことでこの金属状態を低温まで維持できることを明らかにしました。さらに最近,金属を維持する電流よりわずかな直流電流の下で巨大反磁性が創発することも発見しました。これらは,「流れのある非平衡定常状態」にある電子特有の現象であると考えられています。この研究プロジェクトでは,この電子が「非平衡定常状態」にある状態の理解を深めます。そして,強相関多体効果の本質を顕在化させる新しい制御パラメータとして,「直流電場・電流」が有効であることを確立します。強相関電子系物質が非平衡定常状態で生み出す創発現象の研究展開の世界的先駆けを目指しています。

その他の研究活動

 

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