

相次ぐ自然災害や疾病の流行が生活を
脅かしている。さらに、社会の多様化
にともなって犯罪が増加し、その手口
も、ますます巧妙で複雑になっている。
誰もが安心して暮らせる。わが国が世
界に誇ってきたこの最もベーシックで
重要な社会のあり方が、いま揺らいで
いる。この事態に対処するために大学
にできること。その主役は、やはり学
生だった。
日本は、安全で安心して暮らせる国とされてきた。しかしいま、この「安全神話」が大きく揺らいでいる。時代の変化にともなって、窃盗や放火、暴行、殺人といった「目に見える犯罪」だけでなく、サイバー空間を舞台にした「見えない犯罪」も拡大している。こうした問題と向き合い、地域の安全に貢献している学生たちがいる。本学の防犯ボランティア団体「輪導」である。
「輪導」には、ふたつの意味がある。第一は「同じ気持ちをもつ仲間とともに皆を導く」。もうひとつは「正義とともに」。2011年の発足以来、地域住民を見守る夜間パトロールやインターネットの有害サイトを監視するサイバーパトロールなど、さまざまな保安活動を展開してきた。さらに、飲酒運転撲滅キャンペーンや東日本大震災復興支援の募金活動なども推進。こうした取り組みが認められ、2018年には福岡県防犯協会連合会から功労団体として表彰された。
ボランティアは、辛いことを無理に行う“苦行”ではない。困っている人に上から手を差しのべる“施し”でもない。こちらが受け取るものも多いのだ。笑顔に勇気づけられる。感謝の言葉に励まされる。そのようにして与えられたパワーを分かち合う、その喜びがまた、彼らを次のステージに導いてくれるだろう。「正義」への熱い想いを秘めた仲間とともに。