人手不足で売り手市場と言われる職業の代表格がシステムエンジニアです。
「でも、システムエンジニアは、毎日PCの前でカタカタと作業していて大変そう」というイメージを持っていませんか?実は、そのイメージは間違いです!
では、システムエンジニアは具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?今回は、システムエンジニアの仕事内容をご紹介したいと思います。
システムエンジニアとは?
システムエンジニアは、SEとも言います。おおざっぱに説明すると、世の中の様々なシステムを設計するのが仕事です。顧客が必要とするシステムをエンジニアの観点(コンピュータでそれを実現するにはどうすればいいか)を推測・提案し、設計します。
例えば、「販売サイトが作りたい」という顧客の要望があれば、アプリで注文されたデータをどうやって管理するのか?流通や仕入れ元のシステムに自動でつなげるにはどうするのか?といったことを考えます。
ですから、会議室で顧客やメンバーと打ち合わせやプレゼンをしたり、資料とにらめっこをしているのがシステムエンジニアのより正しいイメージなのです。
システムエンジニアとプログラマーとの違い
では、PCの前でカタカタと作業をしているのは、一体どの職業のイメージなのでしょうか?それはプログラマー(PG)です。
プログラマーはシステムエンジニアが作った設計図(仕様書と言います)を元に、コードを書き、プログラムを組んでいきます。
ピンとこない人のために、少しかみ砕いて説明しましょう。
システムエンジニアとプログラマーの関係は、建築士と大工の関係に似ています。建築士は顧客の希望に沿った家を設計します。大工はその設計図を基に、家を作っていきます。
ただし、小規模のシステムであったり、会社の方針によっては、システムエンジニアもプログラマーの仕事をすることがあります。逆に、プログラマーもシステムエンジニアの仕事をすることもあります。
基本的にシステムの規模が大きくなればなるほど、プログラマーとシステムエンジニアの仕事内容がきっちり分かれる傾向にあります。
具体的な仕事内容
システムエンジニアの仕事を、なんとなくイメージできるようになりましたか?それでは、システムエンジニアの仕事を詳しく紹介していきます。
ひとつのシステムを作る場合、大まかに下記の4つの工程で行われます。
- 要件定義:ヒアリングをすることで、顧客の要望を引き出します。そして、それを元に、どのようなシステムが必要かを洗い出します
- 設計:要件定義を元に、具体的な設計を行います
- 製造:設計を元に、プログラムを組んでいきます
- テスト:作成したシステムが、正常に稼働するか試験します
このうち、要件定義、設計、テストを上流工程と言い、システムエンジニアが担当します。そして、製造を下流工程と言い、こちらはプログラマーが担当します。
この他にも、システムエンジニアは、スケジュールや人員、予算の管理なども担当します。
システムエンジニアはどんな人が向いている?
システムエンジニアに向いている人の特徴や性格を、いくつか挙げてみたいと思います。
コミュニケーション能力が高い人
顧客が何を欲しがっているのか、理解しないとシステムの作りようがありません。また、エンジニアとしての観点から、実現可能かどうかを考えて可能なプランを顧客に提案することも必要です。
大抵の顧客は、システムに詳しくありません。例えば、「ボタンを1つ追加してよ」といった、素人には「すぐにできるのではないか?」と思うような要求でも、システムの観点からすると、お金と手間がかかってしまうということが多々あります。
そこで、顧客のニーズをなるべく叶えつつ、少ない予算と時間で可能な方法を提案できるような、コミュニケーション能力が必要となります。
物事の「要するに」を考えるのが得意な人
「色々書いてあるけど、要するにこういうことでしょ?」といった考えが得意な人はシステムエンジニア向きです。システムエンジニアは、現実の様々な要望を「要するにこういう処理がしたいんでしょ?」と要約してシステムとして実現する人たちです。
好奇心が強い人
システムを構築する目的は、顧客のやりたいことをコンピュータの力で手助けすることです。ですから、顧客のやっている仕事のルールや文化がわからないと「間違ってはいないが、とても使いにくい」システムが出来上がってしまいます。
システムエンジニアの顧客の分野は、お菓子屋さんから宇宙開発事業団まで多岐にわたります。自分が詳しくない分野の仕事内容にも好奇心を持って勉強できる人はSEとして一流になれる素質があります。
数学は必要だが、入り口は別でもいい
数学や数学的考えが必要になりますが、高校までの勉強で必ずしも数学が出来なければいけないということはありません。
システムエンジニアに必要なのは、数学そのものというよりは論理性の方なので、論理学の元になる国語(特に評論文読解や小論文・作文)、化学や物理、倫理といった科目が得意な人も適性が高いと言えます。
「特殊なルール(公式、論述用の日本語、物理法則)を覚えて、そのルールをやりたいことに当てはめて応用する」力が必要とされる仕事です。数学は苦手だが現代文は得意といった人でも適性が高い可能性は十分にあるので、一度システム開発について詳しく調べてみることをおすすめします。
システムエンジニアになるための進路
システムエンジニアは、文系・理系問わず就職可能です。しかし、情報科学系の学部に行くことがより近道であると言えます。大学4年間で、システムの基礎と応用を学べるだけではなく、システムエンジニアになるために必要な考え方も身に付けることができるからです。
また、システムエンジニアは、入社後に研修を受ける期間が長いのが特徴です。一般的に座学だけでも3か月。その後職場に配属されて、仕事をしながら先輩に教えてもらうのが半年~1年はあります。必要な知識が多いため、当然、疑問や分からない点がたくさん出てきます。
しかし、仕事をしながら職場の先輩に質問するのは、かなり難しいのが現実です。先輩も教育のプロではないので、仕事をしながら片手間で指導するしかないからです。その結果、自分はシステムエンジニアには向いていないと考え、1~2年の短期間で挫折して、やめていく人が多いです。
その点、大学であれば教育を専門にしている先生に教わることができるので、初歩的な質問やなかなか理解できないことも丁寧に教えてもらえます。
まとめ
システムエンジニアの仕事の内容と、適正や準備について解説しました。イメージと違ったという人も意外に多いのではないでしょうか?
システムエンジニアは、人手不足で、門戸も広く、今後も市場が伸びると予想されている職業です。興味を持った人は、情報科学系の大学を調べてみたり、オープンキャンパスに参加することをおすすめします。
また、よろしければ、久留米工業大学の情報ネットワーク工学科も参考にしてください。