理系の学生に必須?研究室についての疑問を解消しよう

小学生~高校生までの勉強は与えられる知識をどれだけ吸収できるかという、いわば受け身の学びです。大学生の学びも前半までは受け身であるものの、3年生や4年生になれば自ら課題や問題を見つけ、解決していく姿勢が求められます。

理系の大学において、これまで身につけた知識や能力の集大成となるのが卒業研究。この卒業研究を行うため、理系学生のほとんどは研究室へ所属することになるのです。

ということで今回は、理系の研究室とはどのようなものか、選ぶときはどんなポイントに注目すればよいかなどについて紹介していきます。

理系の「研究室」って何?

学生の立場からするとつい忘れがちにですが、大学は単なる教育機関ではありません。学部やコース、教授などによってさまざまな分野について研究するという役割も担っています。

そして大学における研究の現場となっているのが研究室。研究室は教授や助教授、修士課程や博士課程の大学院生、そして学部生といったメンバーで構成されます。1つのテーマについてメンバー全員が協力して研究することもあれば、いくつかのグループごとにテーマが分かれている場合など、やり方は研究室によって違います。

研究室っていつから入るの?

学部生が研究室に入るのはほとんどの場合4年生からです。といっても4年生になってから所属する研究室を選び始めるというわけではなく、3年生のうちに見学などを通して情報を集めておきます。自由に選べるという点では講義と同じですが、研究室選びは講義選びよりもずっと大きく今後を左右するもの。よくよく考えず、適当に所属先を選ぶと後悔してしまいかねません。

それでは所属する研究室はどのように選べばいいのか?続いて説明してきます。

理系研究室の選び方

教授・教員との相性

研究というと一人で黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、そんなことはまずありません。研究を進める中でどうしても分からないこと・解決できないことが出てくるでしょうから、教授に質問する機会も多いはずです。また4年生といっても研究室の中では下っ端。教授から雑用を頼まれることもたくさんあります。

どの教授も学生に対して親切丁寧に接してくれれば良いのですが、教授だって人間ですからそうもいきません。また卒業研究の成果を評価するのだって最終的には教授です。これだけ密に関わっていくのに相性が悪い教授だと大変ですよね。普段の講義の様子はもちろん、友人や先輩の評判を聞いて客観的に判断しましょう。

研究員の雰囲気

研究室には修士課程や博士課程の先輩がいます。彼らについても教授と同様、今後長い付き合いをする人たちです。人柄を見るのはもちろん、どんな研究してどんな生活をしているのかを観察しておきましょう。

コアタイム

コアタイムとは研究室にいなければいけない時間のことを意味します。例えば9時から17時までは研究室にいなければいけないといった具合ですね。時間帯や長さは研究室によってバラバラで、朝~昼という場合もあれば昼~夜という場合もありますし、そもそもコアタイムがないという場合もありえます。

ただしコアタイムが設定されていないから楽かというとそうではありません。そもそもコアタイムなんて設定する意味がないほど忙しい、という場合もあるので注意しましょう。

卒業生の進路

研究室にとっての目的は当然研究が第一です。とはいえ学生にとって重要なのはやっぱり就職ですよね。理系の就活生に対しては企業も卒業研究でどんな内容に取り組んできたかも重視するため、こういった意味でも研究室選びは重要です。

また学部を卒業した後に博士課程まで進んでいる先輩が多いかも注目すべきポイント。博士課程まで進んでいる人が多いということは過ごしやすい研究室であると判断できる材料です。苦しい環境で長く研究を続けようとは思いませんからね。

研究テーマ

卒業研究でどのようなテーマを扱うかは所属する研究室で決まります。研究は大変というイメージを持っている方も多いでしょうがこれはたしかにその通り。であれば少しでも自分の興味がある分野に挑戦してみたいと思うのも当然でしょう。

とはいえ、最初は興味がなくても続けているうちにおもしろさを見出すこともあります。研究テーマは研究室選びにあたって1つの判断基準にはなりますが、あまり気にし過ぎる必要もありません。

研究室は「つらい・きつい」の?

これは研究室によって違うとしか言いようがありません。バイトにだって会社にだって良い環境、悪い環境がありますよね。学生に対して親身になってくれる教授や先輩がたくさんいる研究室もあれば、ブラック研究室と呼ばれるような悪い環境になっている研究室もないわけではありません。

また、ある人にとっては楽しい環境でも、興味がない人にとっては苦痛でしか無いという場合もあるでしょう。つらい・きついと感じるかどうかは人それぞれです。

ブラック研究室って何?

ブラック企業という言葉は有名ですね。パワハラが横行していたり、業務に関係ない理不尽な要求をしてくるような会社のことです。ブラック研究室というのは言葉の通りブラック企業の研究室版。単につらいという意味ではなく、研究に直接関係のない仕事や成果が残せない作業を必要以上に強要される研究室のことを指します。

研究はどこでするにしても基本的には大変なものですが、ブラック研究室ではその大変さが自分の身になりません。ただただ自分の体力や時間を消耗するだけなので避けたいところです。

研究室選びは就職に関係ある?

研究者や技術者として就職を考えているなら大いに関係あります。就職すれば大学で行っていた研究とは違うことを一から学ぶことも多いですが、それでも理系の企業で就職しようとすれば面接で聞かれることです。学んだことが武器になる業界を目指すなら、よりアピールできる実績が作れそうな研究室を選べると良いですね。

研究室に入らないってあり?

そもそも理系の学生であれば研究室に入るのはほぼ必須です。大学では必修科目と選択科目があり、必修科目は卒業するために必ずとっておかなければいけない単位ですが卒業研究についてはほとんどの大学で必修になっているはずです。

とはいえ卒業研究が必修になっていない大学もあることにはあるようです。必修になっていないなら取らないという選択もアリ。しかし理系の学生なのに卒業研究をしていなければ、研究者としての仕事を見つけることはまずできなくなるでしょう。その他一般企業の面接を受けると決めているなら問題はありませんが、就活の選択肢が狭まるのでやはり研究室には入っておくのが無難です。