「理系と文系」という言葉は、高校・大学などの進学や将来の進路を考える際によく耳にし、意識することでしょう。それらのタイミングに伴って、「理系と文系の違いは?」「文系と理系どちらに進んだほうがいい?」そんなことを友人や家族と話したりするのではないでしょうか?
日本において、理系・文系の進路選択は人生において大きな分岐点になると言っても過言ではありません。そのため、「理系と文系の違い」を知り、自分はどちらに合っているのかを考えてみることで、自分が納得できる進路選択をすることができるかもしれません。
文系脳・理系脳って?
文系と理系の違いやそれぞれのことを知る前に、まずは、「文系脳」と「理系脳」について少し知っておくと分かりやすくイメージができるかもしれません。
人間には理系脳と文系脳があると言われています。文系脳はものごとを複雑に表現することを好み、理系脳はものごとがシンプルで規則正しいことを好むと言われています。
文系脳と理系脳を見分けることができる、とても有名な話があります。
「Aさんは300円を持って出かけました。170円の買い物をしました。お釣りはいくらでしょう?」
あなたは何円と答えましたか?
文系脳とは
お釣りを30円と答えたあなたは文系脳です。
文系は「代金は170円だから、200円をレジで渡したはずだ。だからお釣りは30円」と支払いの場面イをメージして考えます。
このように具体的なイメージを重視する脳が文系脳です。また、文系脳は表現の多彩さや巧みさを重視する傾向があります。
ですから、文系脳の作家は「悲しい」という感情を、「その時、私には毎晩のように見慣れたはずの星空の星たちが、いつもより遠く、冷たく見えたのだ」なんて言っちゃいます。
自分の中にある感情をなるべくそのまま伝わるように、と考えた結果、あえて回りくどい表現をするんです。
理系脳とは
130円と答えたあなたは理系脳です。
理系は「所持金は300円だった。代金は170円だから300円-170円=130円がお釣りだ」とシンプルに考えます。
このように数字や客観的事実を重視する脳が理系脳です。理系脳は正確さや、規則正しさを重視する傾向があります。
ですから、理系脳の科学者は星空を見上げて「どうして星は動くのだろうか?どんな規則性があるのだろうか?」とつぶやいちゃいます。
文系脳になるか理系脳になるかはどう決まるの?
脳は先天的要素(遺伝のように生まれた時から決定されるもの)と、後天的要素(本人の経験などにより後から身に着けるもの)の両方に影響されます。
後天的要素の影響が最も大きい
後天的要素の中でも、特に幼少期(0~10才程度まで)の学習経験によるものが最も大きいと言われています。
これは、人間の脳の発達が10才までに最も活発である事を根拠にした説です。
しかしながら、脳については未だにわからないことだらけです。記憶力や計算能力といった単純な能力については若いほうが成長に有利でも、経験に基づく発想力や、高度な論理力は70才になっても衰えることはないという研究結果もあります。
さらに、先天的要素と後天的要素のそれぞれがどういった割合で影響するのか。というのも未だにはっきりとしていません。
大事なことは、自分の才能を簡単に決めつけないこと
自分に向いていることを見つけることは大事ですが、何が向いているかを考えるときに、「家庭がこうだから」「周りがこう言うから」だけで判断するのではなく「楽しい・面白い」「昔から気になっていた」といった、自分の中にある興味・直観を信じることが大切です。
高校・大学での文系理系の違いって?
高校・大学で言う理系・文系は、重点的に学ぶ教科や分野によって分けられています。ですから、文系脳・理系脳の分け方とは少し違う部分があります。
大まかに、以下のように分類されます。
<高校>
- 文系…国語、社会を中心に学ぶ
- 理系…数学、理科を中心に学ぶ
※英語は共通
<大学>
- 文系…法学部、経済学部、文学・人文学部、教育学部、外国語学部、等
- 理系…医学部、薬学部、歯学部、農学部、理学部、工学部、理工学部、等
※ただし、最近では文系と理系がミックスされた学部も存在します。
高校で文理選択をすることが多い
高校はたったの3年間ですが、学べる教科は沢山あります。全てを学ぶ時間はないので、文系・理系のどちらの教科を重点的に学ぶかを選択することが多々あります。
入学前に決める高校もありますし、上学年になってから選択する高校もあります。
文理選択は進学する大学の学部や職業にも影響する!
大学に進学する場合、入学試験を受けなければいけません。そして、文系の学部は文系の教科を、理系の学部は理系の教科を入学試験に要求されます。
もうわかりましたね?つまり高校での文理選択が、大学の学部の文理選択に直結し、更には大学卒業後の職業にも影響するわけです。
理系と文系の垣根はなくなりつつある
そもそも、学部を理系と文系に分けている国は日本くらいと言っても過言ではありません。例えば経済学部は文系に分類されていますが、数学が必須の学部です。また、大学によっては、総合人間学部のように、元から”文系と理系をミックスした学部”と位置づけられているものもあります。
例えば、あなたがゲームを作りたいと思った時に、プログラミングや物理計算といった理系的な要素を学ぶ必要がありますし、同時にそのゲーム内の街や人間関係といった文系的な要素も学ぶ必要があります。実際、システムエンジニアは理系学部出身の人もいれば、分系学部出身の人もたくさんいます。
文理選択のポイント
文理選択は、人生の大きなターニングポイントになります。とても重要な選択を、先輩たちはどのように決めていったのでしょうか。
将来の夢から逆算して考える
将来の夢がある人は幸運かもしれませんね。その夢に近づくために必要な職業、その職業に就くために必要な知識が学べる学部・学科と逆算していけば、自分が文系・理系のどちらに進むべきかも自然と決まるはずです。
自分の得意な科目から考える
「はっきりした将来の夢なんてないよ。ましてや大学とかもよく分からない。文系と理系どっちを選べばいいの?」と迷う人が大半だと思います。
そういう場合は、自分の得意な科目から選びましょう。理科や数学なら理系、国語や社会なら文系です。
理科は好きだけど数学は大嫌い、国語は好きだけど社会は大嫌い、そういう人もいるかもしれません。そういう人は自分の一番好きな(得意な)教科が何か?で選ぶことをオススメします。自分の好きなもの=自分才能=自分の武器になるからです。
文系学部のほうが授業が楽だって本当?
多くの大学では、必須科目と選択科目があります。理系の方が文系よりも必須科目が多い傾向にあります。
文系は自分の好みに合わせて授業を選択する機会が理系よりも多いため、単位取得が楽と言われています。また、理系の場合は実習科目も課せられる場合が多々あります。
実習がとても楽しい生徒にとっては理系の方が楽かもしれませんが、実習を苦に感じる生徒にとっては、文系学部の授業の方が楽なのかもしれません。
理系は夏休みも忙しいの?
大学1~2年生の間は理系も文系も余り違いはありません。違いが出るのは3~4年生になってからです。
研究室への配属
3年生や4年生になると、理系学部生の多くは研究室に配属されて研究を行います。文系学部生はゼミに入る場合もありますが、研究室にはあまり入りません。
配属された研究室によっては、夏休みも返上で研究をする場合もありますし、ずっとお休みの場合もあります。
前者のイメージがあるため、理系の方が夏休みも忙しいというイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
また、理系の場合、院に進む学生も多いため、夏休みも勉強しなければいけないから忙しいという見方もあります。
就職活動に夏休みはない
3年生、4年生になると夏休みに就職活動をしなくてはなりません。
理系の方が、専門知識を活かして企業に就職、教授の推薦を受けて就職という道を選ぶ人が多いため、文系の方が就職活動時間が多い傾向にあります。
そういう意味では、文系の方が夏休みが忙しいとも言えます。
文系にはない理系のメリット
理系学部は実習も多く、同級生とグループで課題に取り組むことが多くあります。更に、研究室に配属されることが多いので、先輩・後輩・先生とも自然と交流が深まります。
その為、交友関係を深めやすく、達成感を得られる機会が文系よりも多いと言えます。
また、専門性の高い理系職業に就くことが出来る上に、文系が選びやすい営業、総合職といった職業にも就くことができるため、将来の選択の幅を広げることができます。
文系・理系どちらか迷っている人がいたら、個人的には理系をオススメします!