工学部とはどのような学部?学べる内容や取得できる資格・就職先は?

みなさんは、すでに将来学びたい学問や就きたい仕事は決まっていますか?「大学には行きたい。なんとなく、こんな感じの仕事がしたい」といったアバウトなイメージはあっても、具体的にイメージできている人は、実は少ないのではないでしょうか?

少しずつ自分の将来のイメージを固めていくために、まずは、進路先をよく知ることが大事になってきます。

そこで今回は、理学・医学と並んで理系の代表的な学部である工学部について分かりやすくご紹介したいと思います。

工学部とは

工学部は未来をクリエイトする学部!!

工学部とはどのような学部?

工学部は工学を学ぶところです。では工学ってどんな学問なんでしょうか?大辞林には「科学知識を応用して、大規模に物品を生産するための方法を研究する学問。広義には、ある物を作り出したり、ある事を実現させたりするための方法・システムなどを研究する学問の総称。」と書いてあります。

つまり、工学部とは、生活環境の中にあるすべてのモノや仕組みを作る為に必要な技術や知識を学ぶところなのです。 そして、学んだことを活かしてモノを作ることで、人や社会を豊かにすることができるところなのです。

工学部で学べること

あなたの身の回りにあるモノや仕組みは全て工学から生まれたものと言っても過言ではありません。例えばあなたがよく手にしているスマホもそうです。

あなただったら、どんなスマホがつくりたいですか?環境にやさしいスマホ、落としても壊れないスマホ、充電の必要がないスマホ、はたまた空中に浮かぶ未来型のスマホだったり…?

しかし、作るためにはいろんな知識が必要になります。材料のことだったり、電気のことだったり、プログラムのことだったり…たくさんありすぎて一度には学べないので、工学部では大まかに学ぶ内容を学科に分けています。学科は大学によって様々ですが、一般的に分けると以下のようになります

  • 電気系…システム・制御、情報・通信、波動・回路、物性・デバイスなど
  • 建築系…造形、構造学、建築、材料など
  • 化学系…ナノサイエンス、バイオテクノロジー、エネルギーなど
  • 機械系…熱力学、機械加工、流体力学、制御理論など

1つの分野を詳しく学ぶ学科もありますし、全てがミックスされた学科もあります。

例えば、久留米工業大学の「交通機械工学科」は自動車の性能や交通環境(渋滞や大気汚染)等について学ぶ学科です。ですから、流体力学や設計・製図、エネルギー工学、電気工学、情報技術、環境問題、そしてデザインなど、様々な分野を学んでいきます。

工学部で取得できる資格

工学部で工学部はモノ作りに関わることを学ぶ学部です。モノづくりに関する資格は世の中に沢山あります。ほんの一例ですが、みなさんも聞いたことのありそうな資格をご紹介します。

建築士

資格概要

日本の国家資格です。建築士になるためには、この資格に合格する必要があります。 「木造建築士」「二級建築士」「一級建築士」」等があり、資格によって扱える建物の規模や種類が異なります。

試験内容・難易度

「木造建築士」「二級建築士」「一級建築士」という順で試験内容が難しくなっていきます。統計によると合格率は、木造建築士約30%、二級建築士約20%、一級建築士約10%のようです。

さらに、受験をするにも資格が必要になりますので敷居の高い資格といえます。

例えば二級建築士を受験するためには、建築に関する学歴が全く無い場合、建築に関わる実務経験が7年以上必要になります。しかし、建築系の学科を卒業した場合は、実務経験がなくても受験することが可能です。

どの資格を目指すにせよ、4年制大学の建築系学科を卒業することが資格取得の近道になります。

取得後の仕事内容・職場

建築設計事務所、ハウスメーカー、建設会社といった建築に関わる会社の他、公務員試験を受けて自治体に就職するパターンもあります。また、インテリア・家具メーカー等で空間デザインに関わる部門に就職すること人も多いようです。

就職先の会社、部門、ポジションによって働き方や待遇も様々です。大きな橋やビルを設計する人もいれば、店舗の内装をコーディネートするような人もいますし、建築計画が正しく行われているか検査する人もいます。

自動車整備士

資格概要

自動車の整備に関わる仕事をする際に必要な国家資格です。特殊、三級、二級、一級があり、それぞれが更に3~5種類程細かく分けられているので、全部で14種類も資格があります。例えば、一級自動車整備士には一級大型自動車整備士、一級小型自動車整備士、一級二輪自動車整備士の3種類があります。

一般的な自動車整備を行うために必要な資格は二級と言われています。しかし、近年の技術革新により様々なタイプの車が開発されているようになり、将来、一級のレベルも必要になることが予想されます。

試験内容・難易度

実技試験と記述試験が課せられます。また、受験するためには一定の実務経験が必要となるので、敷居が高い資格と言えます。

一般的には、国が指定する大学・専門学校に入学する方法が人気のようです。なぜかと言うと、実務経験と実技試験が免除になるからです。

例えば、国土交通大臣が定める自動車に関する学科に入学した場合、在学中に二級受験資格を取得できます。また、卒業後に実務経験を経た後、一級取得を目指すこともできます。

本来であれば、まず三級に合格しなければいけませんが、学校に通うことでいきなり二級から受験することができます。更に、二級の場合は学科試験、一級の場合は筆記・口述試験のみで良いのでハードルがぐっと下がります。

取得後の仕事内容・職場

車を整備する資格ですから、自動車メーカーやカーディーラーなどで車の整備に関わる仕事に就く人が最も多いと言えます。また、知識を活かして開発・設計業務に携わったり、車事故対応の保険会社で働いたりする人もいるようです

教員免許 (理系科目)

資格概要

日本の学校の教員になるためには教員免許状が必要です。教員免許状がなければ、日本の学校で教壇に立ち、授業を行うことはできません。

教員免許を取るためには、教職課程のある大学・短期大学等に入学し、定められた科目と単位を修得する必要があります。教育大学はもちろんのこと、一般的な4年制大学には教職課程が大抵用意されています。

工学部の場合は、中学校・高校の理科や数学の教員免許が取れます。(入学した学科に拠る)

上記に加えて、工学部の学生は工業の教員免許を取得できる場合が多く、情報系学科であれば情報の教員免許も取得できる可能性があります。 特に工業の教員免許は教育実習が必須ではないという特例もあるため、取得に負担が少ないと言われています。

参考:久留米工業大学で教員免許が取得できる教育創造工学科の詳しい情報はこちら

試験内容・難易度

大学や短期大学で教職課程と言われる所定の単位を修得することで教員免許を取得することができます。試験は特にありません。しかし、工学部を卒業するために必要な単位に加えて、教職課程の単位を更に取得する必要があるので、大学生活が忙しくなります。

ただし、工学部の卒業に必要な単位の中に教職課程で必要な物も含まれるため、全く別の課程というわけではありません。せっかく工学の単位をとっているのだから、ついでに教員免許も取っておこうという気持ちで取得する学生が多いようです。

取得後の仕事内容・職場

学校の先生(教員)を目指すことになります。

公立学校の教員になるには、教員免許の取得以外にも都道府県や政令指定市の教育委員会が実施する採用試験に合格しなければなりません。また、試験に合格しても採用はされなかったという場合もあり、卒業後、非常勤講師などをしながら数年がかりで採用を目指すというケースも多いです。

私立学校の場合は一般企業と同じように、各学校の選考を受けて採用されれば教員としてそこで働く事になります。ただし、私立学校の教員であっても原則教員免許は必要になるので、教育関係の仕事に興味のある人は教員免許を取得しておいたほうがよいかと思います。

また、教員以外にも、教員免許を必須とする教育系の会社で働く人もいるようです。

こちらも参考にご覧ください

工学部の進路・就職先

モノづくりに関わる学部ですから、やはりメーカーやIT企業に就職する人が多いと言えます。中でも、エンジニアとして設計・開発等に関わる部署で働く人が多いのではないでしょうか。

しかしながら、金融系・商社系・サービス業系といったいわゆる文系と言われる企業に就職する人もいるようです。また、地方自治体や学校の先生といった公務員になる人も毎年一定数います。

工学部は、どのような人が向いている?

一般的には、次のような人が向いていると言われています。

  • 論理的思考力がある
  • 数学・理科が得意
  • ものづくりに興味がある
  • コツコツと作業ができる
  • どうして?と疑問に思ったら色々調べてしまう 等

しかし、工学部にはさまざまな学科がありますから、その分いろんなタイプの人への受け口があります。将来、モノ・仕組み作りに携わりたい、工学に興味があるという人は、上記のような適正に自信がなくても、立派に工学部を卒業して知識を活かした職業についている人も沢山います。

まとめ

モノづくりに関わる仕事に就きたいという人は、ぜひ工学部を選んでください。 また、「将来何になりたいかまだ全くわからない。でも、身近なモノには興味がある。」という人にもオススメです。

工学部は学べる範囲が広いのでたくさんの選択肢があります。また、日本の就職事情は理系を優遇しているという点でもメリットがあります。「理系の大学出身の方」という募集条件はたくさんありますが、文系の就職先には「4年制大学出身の方」という条件がほとんどです。

ぜひ工学部に入学して、あなたの可能性を広げてください!