理科の先生になるために必要な教員免許と教員という仕事の魅力

自分の得意な科目を活かし、子どもたちの成長を見守りながら自分も成長していける唯一の職業、“先生“。教えることや子どもが好き、などの理由で先生を目指す人も多いですよね。

なかでも理科の先生は、白衣を着て理科室にいて、実験の授業のときは音が出たり火が出たりして、印象に残ることが多いのではないかと思います。

今回は、そんな魅力的な職業である「理科の先生」になるためには、どんな勉強が必要なのか、先生としての仕事はどのような魅力があるのか、紹介したいと思います。

中学・高校の理系の教員を目指すには

普通の企業で勤める場合には、多くは就職活動をして、面接を受けて、採用になったら働く、ということになりますが、教員は少し異なってきます。教員になるためには、高校生のうちから意識してやっておくべきことがいくつかあります。

まず、教員になるには免許が必要です。免許を取得するためには大学や短大などで教職の単位を取得しなければなりませんので、教員免許の取得が可能な学校を進路として選ぶ必要があります。

では、教員免許とはどのようなものか、詳しく説明していきましょう。

教員免許

学校で教壇に立ち、授業を行うという教育に携わる仕事に就くためには、まず“教員免許”が必要です。

教員免許を取得するためには、教職課程を有する大学・短期大学等で必要単位を取得し、各都道府県の教育委員会に申請して、免許状を発行してもらう必要があります。

教員免許の種類

教員免許と一言で言っても、実は教員免許にはいくつかの種類があります。

まず、中学・高校の先生では免許の種類が異なります。そのため、中学校の教員になりたい場合は「中学の教員免許」を、高校の教員になりたい場合は「高校の教員免許」を取得する必要があるのです。

どちらも同時に取得することも可能ですが、必要な単位は異なるので、中学・高校の教員を目指す際や、どちらかの教員になろうと目指す際には、気をつける必要があります。さらに、理系の中でも物理・化学・生物・地学は全て「理科の教員」という扱いとなりますが、「数学の教員」は、数学を専攻した場合に限られます。

大学などで所属している学部によって取得できる種類が決まっていますので、自分がどの科目の教員になりたいかを考えて学部を選ぶ必要があります。

教員の免許取得ができる学校を選ぼう

高校卒業後に進学できる学校のうち、教員免許が取得できるのは主に大学・短大・大学院です。大学では一種免許、短大などでは二種免許、大学院では専修免許を取得することができます。

一種免許と二種免許では教えられる科目や仕事の内容などの違いはありませんが、取得単位数が異なります。二種免許で採用されたのち、必要単位を取得して一種免許を取るのが一般的です。専修免許は、修士号を取得した人が得られる免許で、教えられる科目や仕事の内容は一種・二種・専修のどの免許でも同じです。

理系では、大学院まで進学する人が比較的多く、大学の4年間では一種免許状が取得できますが、大学院でさらに必要単位を取得することで、専修免許状を取得することができます。

それぞれの学校の学科などによっても、取れる免許は異なりますので、進学先を選ぶ際に、自分の志望校でどの種類の免許が取れるのか、事前に調べた方がよいでしょう。

免許ごとのリストは文部科学省のホームページにも掲載されていますので、参考にしてください

このほかにも、各大学などのホームページやオープンキャンパスなどでも知ることができます。全ての学校で希望の免許が取得できるわけではないので、注意しましょう。

理科の教員免許について

先生という職業の中でも工学部出身の学生に人気である「理科の教員」について詳しく見ていきましょう。

教えることができる分野・他の教員免許との違い

理科の教員免許を持っている場合、卒業した学部や専攻に関わらず物理・化学・生物・地学のすべてを教えることができます。その点で、理科の教員は、他の分野と比べて多岐にわたる分野を担当する先生であると言ってもよいかもしれません。

逆に言うと、物理は得意で工学部を卒業したけど生物は苦手…という人でも、苦手分野の生物を教えることになる可能性があるということですのできをつけましょう(笑)

また、実験があるという点は他の分野とは異なるところです。実験器具や薬品の扱いには専門的な知識がなくてはなりません。その点は理科ならではの大変さであり、楽しさでもあります。

理科の教員免許を取るためにはどのような学科に進むべき?

理科の教員免許を取れる学部学科は、理系ではかなり多いと言えるでしょう。工学部・理学部・農学部・薬学部などでは、大学によりますが多くの学科で理科の教員免許取得が可能です。

理科の教員になることも視野に入れて、自分の興味のある分野を専門的に勉強したいという場合には、興味のある学科を先に決めてから、免許取得可能かどうかを調べて志望するのが一般的です。

それだけではなく、各学部学科の中に理科の教員育成コースがある場合もあり、そのような学科では「理科の教員になる」ための専門的な勉強ができます。

久留米工業大学で教員免許が取得できる学科

久留米工業大学では、教育創造工学科で教員免許の取得が可能です。

教育創造工学科は、工学部の中にあり、「数学コース」「理科コース」の2コースが設置されています。卒業時には「数学」と「理科」の中学校教諭一種免許および高等学校教諭一種免許が取得でき、「理科と数学」2教科の教員免許の取得が可能となっています。

工学部の中にあるため、一般的にものづくりについて学びながら、それを教師としてどのように生徒たちに伝えていくかも学ぶことができます。

詳しくは、教育創造工学科の学科紹介ページをご覧ください

理科の先生に向いている人

理科の先生になりたい、と考える人にも、様々な理由やきっかけがあることでしょう。

でも、自分が先生になれるのだろうか、どんな人が向いているのだろうかと不安に思う人もいるかもしれません。

では、どのような人が理科の先生に向いているのでしょうか。

理科を楽しい、おもしろいと思う

生徒に理科を教える上で大事なのは、何より自分が理科を楽しんでいるということです。

先生が楽しそうだと、不思議と楽しいことに思えてきませんか?理解してもらうための第一歩は、興味を持ってもらうことです。

忍耐強い

忍耐強さは、理系の大学に進学するにしても、教員になるにしても、ある程度求められることでしょう。一般的に理系の学部は、文系学部よりも講義数も多く、レポートなどの課題も時間がかかるものが多いです。

教員の仕事も、今学校で教わっている先生を見るとわかりやすいかと思いますが、無責任にできるものではありません。もちろん、そのぶん得られるものややりがいが多いというのも事実です。目標のために一歩一歩、めげずに歩み続けられる人は、理科の教員に向いているのではないでしょうか。

なによりも、教員になるためには、絶対に先生になるぞという強い気持ちが必要です。その気持ちさえあれば、今からならいくらでもチャンスがありますよ。

理科の先生という職業の魅力

実際に大学で高校の理科教員の免許を取得した私が感じた「理科の先生という職業の魅力」についてご紹介いたします。

理科の楽しさ、魅力を教えられる

自分が感じた理科の楽しさや魅力を、次の世代の子どもたちに伝えていける、というのは、先生にならないとなかなか難しく、先生にとっての重要な役割でもあります。それを自分が担えるというのは、やりがいがあることではないでしょうか。

教育という仕事のやりがい

これは理科の先生に限りませんが、先生という職業は、生徒一人一人と関わり、生徒の成長を見届けるものです。生徒とともに楽しみ、学び、悩み、成長していくことは、他の職業では体験できないやりがいを感じられることでしょう。

理科に関わり続けられる

理系に進むことを考えているということは、理科が好き・得意という人が大半ではないかと思います。理科の先生になれば、生徒に教えるためにも最先端の科学を自分の中で更新し続けなければなりませんので、必然的に理科の勉強を続けることができます。

大学での勉強を活かせる

実は、大学での勉強を直接活かせる職業はそれほど多くはありません。理科の先生は、理科に詳しいことは前提なので、大学で勉強したことがとてもためになります。せっかく大学で勉強したことを仕事にも活かしたい!という場合には、先生という職業はぴったりなのではないかと思います。

理科の先生を目指すために高校時代にしておきたいこと

理科の先生になるために、高校生である今だからこそできること・今しかできないこともあります。意識して過ごすのと、なんとなく教師を夢見ながら過ごすのでは、実際に就職する際にだいぶ変わってきます。

では、高校時代に何をしておくとよいのでしょうか?

勉強

学生の本分、とも言いますが、勉強は重要です。勉強というと、試験勉強を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、それだけが勉強ではありません。博物館に行く、自然の中で植物や動物を観察する、本を読む、なども、自分の知識を増やし、新しい観点を増やすことができる、勉強なのです。

さらに高校時代は、教えるプロであり、自分の学力をよく知ってくれている先生に教わり、わからないことはすぐに聞くということがしやすい環境です。大学に入ると、専門的なことに詳しい教授などが講義を開いてくれますが、講義を受ける学生の数は1クラスの人数とは比べものにならないほど多く、先生も学生一人一人のことはほとんど把握していません。主体的に勉強し、先生と積極的に関わっていくことは、高校時代にしかできないことです。

部活・行事への参加

部活や生徒会活動をしている人や、体育祭や文化祭実行委員などをしているという人もいるのではないでしょうか。それらに、主体的に取り組むことはとても大切です。

高校卒業後は、同じ目標を持つ人を見つけるのもなかなか難しくなります。目標に向かって、同級生たちと達成に向けて団結し、協力し合うことができるのも今がチャンスです。

友人関係

高校の友人は、一生の友人とも言います。高校時代を共に過ごした仲間との関わりは、長く続いていきます。

先生になるときにも、なったあとも、思わぬところでいいアドバイスが聞けたり、励ましてもらえたりすることも。今の友人は大切に、新しく出会った人ととも関係を築いていくといいかもしれませんね。

先生との関係づくり

先生になる際には、出身校か出身の都道府県で採用試験を受けることが多いです。つまり、今お世話になっている先生方は未来の先輩かもしれないのです。

もし、できるのであれば、担任の先生や部活の顧問の先生などに、どのように先生になったのか、どうして先生になろうと思ったかなど、聞いてみるのもよいでしょう。

最後に:理科の教員を目指している方へ

高校生の時点で将来のことを考え、理系に進学して先生になりたいというビジョンがあるのは素晴らしいことです。

今の気持ちを忘れずに、努力を続ければ、きっと素敵な先生になれることでしょう。みなさんの夢が叶えられることを願っています!