気になる理系女子の就職事情や理系に人気の職業や業界について、工学部で学んだ経験を持つリケジョが、分かりやすく解説いたします。
理系女子の就職事情
理系女子は増えている?
女子の大学進学率アップに伴い、どの分野でも女子の入学者が増加しています。 特に、急上昇しているのが理系女子!大学入学者に占める理系女子の割合は40年間で9%→36%になったと言われています。
理系女子の求人は増えている?
2016年に女性活躍推進法という法律が制定され、多くの企業が女性が活躍できるよう取り組みを行っています。特に今まで女性の進出が少なかった工業系の技術職分野では、理系女子の採用を 増やそうとする動きが活発化しています。
女性就職希望者を増やすために、三菱重工業や日立製作所、日産自動車など、日本を代表するメーカーがこぞって理工系の女子学生に限定した説明会を開きました。 これは、工業製品においても女性のユーザーが増加し、製品の開発やマーケティングにおいて、女性の視点が必要不可欠になってきている事が主な要因です。
例えば、昔に比べて自分で運転してドライブに出かける女性が増えましたよね。そうなると、ハンドルやブレーキを操作する力や体格、身長が男性とは異なるので、女性でも扱いやすくないと売れなくなくなってきたわけです。
理系女子の就職活動
理系女子の就職活動は理系の分野だけにとどまるのでしょうか?それがそうでもないんです。もちろん、大学で学んだ専門性を生かし、理系企業へ就職する人も沢山います。例えば、教授の紹介や推薦を頂いて技術職に進んだという声もよくききます。しかし、これまで文系イメージが強かった業界や企業も理系女子に門戸を開く傾向があるのです。専攻の枠を飛び越えて様々な業界・企業に自ら活躍の場を求める理系女子も増加傾向にあります。
就職に有利な学部や学科
就職に強いのは工学系(なかでも、機械・電気・情報系など)
理系の中でも、女性の割合がダントツに低いのは工学系です。その比率はなんとたったの13.6%!更に、機械・電気・情報系の学科は5%~8%程度と言われています。(独立行政法人統計センターより)
理系女子が求められる中、機械・電気・情報系の学科出身の理系女子は大変貴重な人材なのです。 さらに、この分野の企業では軒並み女性の割合が低いと言われており、女性の比率を増やす取り組みが始まっています。
機械・電気・情報系といった分野では、理系女子の求人が多く、さらに競争率も低い!と言えるのです。
理系女子に人気の職業
研究開発
いわゆる研究職と言われる職業です。研究をすすめることで新たな知識・技術を発見し、それを商品・製品につなげていく職業です。医療系、化学・生物系、電子系、情報処理系、建築系など、様々な分野があります。
2002年にノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんも研究開発職です。なんと、企業で行っていた研究開発が後のノーベル化学賞受賞に繋がったそうですよ。
大学で学んだ専門知識を活かしたい!もっと深く研究して役に立つものを世に出したい!という人にオススメです。
システムエンジニア
システムの設計・開発・テストを手がける職種です。プログラマーと違って、システムエンジニアはシステムをどう組んでいくのか?を考えたり、組んだシステムは問題ないか?を確認したりします。
人気の理由は業界の若さと需要の高さです。それだけに仕事内容や量はハードな場合が多いですが、エンジニアとして一人前になれば独立してフリーランスになったり週3日勤務契約などの柔軟な働き方も選択でき、結婚や出産後もスキルを活かして生きていけるのがメリットです。
セールスエンジニア
営業職と技術職の両方の要素を持つ仕事です。主にソフトウェアや電子機器商品などを扱う企業で、営業担当者と一緒になって顧客に対して提案、交渉、説明等を行います。
この仕事の醍醐味は自身の専門知識をもとに顧客に提案が出来ることです。営業職は職種や業界によってはどうしても価格と納期ばかりが優先されがちですが、セールスエンジニアであれば 顧客の悩みやニーズを専門家の視点から分析し、解決へと導く提案が出来ます。
専門知識を活かしつつ、様々な人と接することができます。また、営業からも顧客からも「ありがとう」の言葉を多くいただける職業のひとつでもあります。
理系女子に人気の企業や業界
理系女子の就職人気ランキング
2017年の理系女子の就職人気企業ランキングが「週刊ダイヤモンド」から出ています。今年は“サントリーグループ(2位)、明治グループ(3位)、森永製菓(10位)と10位以内に食品メーカー3社がトップ10入り”とのこと。
やはり、毎年上位に多くランクインするのがメーカーや食品業界です。上位50社中22社がメーカーや食品業界のようです。
理系女子の就職に追い風
「えるぼしマーク」
画像引用元:厚生労働省
「くるみんマーク」
画像引用元:厚生労働省
こういう企業のマークをみたことはありませんか?
「えるぼしマーク」は女性が活躍していますよ!という認定マーク 、「くるみんマーク」は子育てをサポーとしていますよ!という認定マークです。
なぜこんなマークをいろんな企業がつけているのでしょうか? それは、国が「もっと女性にも働いてほしい。活躍してほしい」と考えているからです。 そのために、女性活躍推進法というのが2016年に施行されました。働く女性の活躍を後押ししよう!という法律です。
働き方改革
国の後押しもあり、沢山の企業が女性に働きやすい環境や制度を取り入れ、積極的に女性を採用しようとしています。
例えば、時短勤務や在宅勤務は、正社員として働きながら子育てもしっかりするために取り入れられた働き方です。
時短勤務とは「短い時間働く」ということです。例えば、午前8時30分~午後5時30分までの8時間労働が通常だとすれば、時短勤務は9時~午後4時の6時間労働になります(※昼休憩1時間)。これでしたら、子供の保育園の送り迎えや家事が楽になりますよね。
そして在宅勤務は、テレワークとも言われています。会社のオフィスではなく家で働くということです。インターネットの環境が整った現代ならではの働き方ですね。
このように、結婚後でも家庭と仕事を両立しやすいように様々な働き方が広まりつつあります。
ワークライフバランス(仕事と生活の調和)
「仕事も頑張りたいけど、私生活も充実したい!」と、誰もが思うことです。
2007年、政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意によりワークライフバランス憲章が策定されました。これは、「育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった仕事以外の私生活と仕事のバランスを取り、どちらも充実したものにしよう!」という取り組みです。
例えば、「ヤクルト保育所」に子供を預けて働けますよ!というCMを見たことありませんか?これもワークライフバランスの取り組みの一環だといえます。
こういった後押しもあり、女性だけではなく男性も含め、より働きやすい環境へと日本は変わりつつあります。
女性の登用
このような女性を支援する取り組みが広まることで、女性がキャリアアップできる環境が整いつつあります。世界に比べて日本の女性管理職の割合が極端に低いと言われていますが、役員や研究職などで活躍する女性も少しずつ増えてます。
就職しない理系女子
「将来こういうことをしたい!そのためにもっと学びたい!」という人には大学院がオススメです。 大学院へ進むということは、2年を費やして、より専門的に詳しく研究し、学ぶということです。特に技術職・研究職に進みたい方であれば、有利になる可能性が高いと言えます。
「院にいくと就職が…。」という声もありますが、企業がマイナスイメージで捉えることは少ないようです。むしろ、学んだ専門性を武器にして就職活動に臨むことができます。
実際、私の卒業した学科は40%が就職、60%が院に進みましたが、就職率はこの4年間で100%です。
理系女子の就職体験談
就職先、卒業後の進路
私は工学部を卒業しました。
本当は、大学院に進んでもう少し研究がしたかったのですが、学費がなかったため、あるメーカー企業の研究所で研究員として働くことにしました。 しかしながら3年後、やはり自分は研究に向かないと見切りをつけて転職活動をすることにしました。
本来であれば研究所での経験を活かした就職先を考えるべきでしたが、興味のあるIT系の企業に就職したいと思い、不安を抱えながら活動を開始しました。ところが、理系の女性が少ないということでいろんな就職先のお話を頂き、すぐに希望通りの職種で内定をとることができました。「私のあの不安は一体なんだったんだろうか…」と思ったくらいでした。
同級生の理系女子の進路
私の同級生の進路は様々です。大手自動車企業や重工業の設計部、建築士、銀行のシステムエンジニア、コンサルタント、高校教師、ITセールスエンジニア…。
結婚して育児休暇中のエンジニアもいれば、世界をまたにかけ、主任として設計チームを引っ張っているパワフルな1児の母もいます。
まとめ:理系を目指す女子へ
理系は文系と違って、華やかなイメージが少ないかもしれませんが、それはあなた次第! みんなと協力していろんな課題や研究をするので、仲の良い友達が男女問わず沢山できます。忙しい日々ですが、とても充実した大学生活が送れます。
日本企業では理系学生に対して、理系職だけでなく文系職にも広く門戸を開いているので、「大学に入ってから具体的にやりたいことを見つけたい」 という人も理系に進学することはいい選択だと思います。
また、数学がそんなに得意じゃないという人も、大学や学部によっては他の科目でカバーできる配点や科目選択になっているところもありますし 、数学をあまり必要としない理系職も多くあります。
将来の選択肢が多く、仲間や先生と濃密な時間が過ごせる理系大学生活をエンジョイしてください!