理系科目は文系より難しいって本当?文理選択のポイントと理系のメリット・デメリットとは

高校生にとって最初の大きな進路決定が文系コースと理系コースの選択。大学で学ぶ分野に影響し、将来の仕事にも大きくかかわってくるので、悩んだり、迷ったりするのも当然です。

「数学が得意だから理系かな」「理系に進学したいけど、数学が苦手だから無理だよね」「文系のつもりだったけど、本当にそれでいいのかな」など、理系が少しでも気になっている方!高校での理系科目の勉強の話から大学入学後、就職先の話まで幅広く解説していますので、ぜひお読みください。

理系教科は難しい?

何を難しいと感じるかは、人それぞれですが、「数学や物理は難しい」という声をよく聞きます。理系に進み、数学Ⅲの学習に苦戦している先輩方を見たことがある人もいるでしょう。そんな声を聞き、光景を目にすると、理系コースへの進学に不安を感じてしまうのも無理はありません。

でも、本当に理系教科は難しいのでしょうか?

理系コースから工学部に進学した筆者が考える、理系教科が難しいと感じる大きな理由は、3つです。

1つめは、問題文を読んでも全く分からないと手が付けられないから。国語であれば、問題文を何度も読み考えることができますが、理系教科の場合、問題文の意味すら理解できないこともあります。

2つめは、問題を解くプロセスを考えないといけない点。1つめの理由と重複する部分もありますが、学年が進むにつれて、「1+1=2」といったように問題文を見ただけで解ける問題は減ってきます。問題文をよく読み整理し、解答までのプロセスを考えた上で解くといったことが必要になるのです。

3つめは、学習の積み重ねが必要な教科だから。数学や物理というのは、一つ一つの単元が独立しているのではなく、これまでに学習した内容を生かしつつ、新しい知識を得て問題を解いていきます。

一方で、根気強く取り組めば、成果が出やすいのも理系教科と言えるでしょう。難しそうに見える問題も、一気に解こうとせずに分解して考える習慣ができると、例え完璧な丸はもらえなくても、三角を積み重ねていくことができます。解けなかった問題には、何度もトライし、一人で解けるようにしていくことで、確実に点数を伸ばすことができるでしょう。点数に繋がるまでには時間がかかりますが、努力が報われやすいのが理系教科だと筆者は思います。

また、理系にはセンスが必要という人がいます。センスというと、生まれながらにして持っているものと考えるかもしれませんが、ここでいうセンスは、高校、大学と勉強を続けることで磨かれるものです。だから、今、理系科目が苦手でもセンスがないと決めつけてはいけません。可能性は無限大です。

理系のメリット

ここからは、高校で理系コースを選ぶメリットを解説していきます。大学卒業後の就職についても説明していますので、あわせてお読みください。

文転もしやすい

理系コースから文系の大学を受験することを文転。文系コースから理系の大学を受験することを理転といいます。どちらも苦労はありますが、文転のほうがしやすいでしょう。文系コースは授業で扱う数学の科目が少なかったり、物理を選択できなかったりすることが多く、理転する場合は、勉強の遅れを自力で挽回しなくてはいけません。これは至難の業です。

文理選択は将来就きたい仕事から考えるのが一番。でも、高校生の皆さんは、将来について悩んでいる方も少なくないでしょう。どうしても決めきれなかった場合は、選択肢を広げやすい理系コースを選択するのもひとつです。

就職先の選択肢が豊富

例えば、工学部というと専門的な技術職に就くイメージが強いですが、「学校基本調査 」によると、20%ほどは技術職以外の職業を選択しています。理学部になると、専門的な技術職に就くのは56%。つまり、理系分野の学びは、他の分野でも生かせることを意味しています。

例えば、文系に人気のある金融業界は、理系の学生を求めています。それは、理系の学生が研究を通じて論理的に物事を考えられるスキルを身に付けているからです。物事を決める際に、直感やイメージではなく、理論立てて考え、相手に説明できるのは武器になります。

逆に文系の学部から建築士など資格が必要な職業に就こうと思ったら、実務経験年数がより長く必要になるなど、ハードルが上がります。

そう考えると、理系のほうが就職先の選択肢が豊富だと言えるでしょう。

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理系のデメリット

物事には、何でもメリットもデメリットもあります。理系を選択することのデメリットも知っておきましょう。

授業の予習復習が大変

理系科目の中でも特に数学は、予習と復習が欠かせません。高校によっては、予習をしていることを前提に授業が進むため、事前に勉強し、問題を解いておかないとついていけない可能性があります。甘い気持ちで理系を選択すると、苦労するでしょう。

ただ勉強が大変なのはクラスメイトも同じ。仲間がいれば頑張れるものです。一緒に切磋琢磨した時間は、後で振り返ったときに、良い思い出になることと思います。そして先生とも質問などを通じて、仲良くなれるでしょう。

大学でも忙しい

大学で理系の学部を選ぶと忙しくなりがちです。座学での勉強に加えて、実験や実習、研究活動などが入ってきます。講義は決まった時間に受講すればいいわけですが、実験や実習、研究は、そう都合よくいかないことも……。実験開始から〇時間後に、かき混ぜないといけないなど、何か作業が必要になれば夜遅くや早朝であっても、研究室に行かなくてはいけません。実験をすれば、データを取得し、それを分析し、まとめる作業も入ってきます。そして最終的には卒業論文として発表する機会もあるでしょう。どれも初めての経験だと失敗もありますし、時間もかかります。時間の予測がつきにくい分、予定を組みにくいです。

こんなふうに書くと、自分にできるのだろうか……と不安が先に立ってしまうかもしれませんが、筆者は研究室で過ごした時間が大学生活で一番楽しかったです。先生や先輩が言うことの意味が理解できず勉強した時間、徹夜で論文を書いた時間、初めての学会発表で頭が真っ白になったこと、どれも必死だったからこそ今に繋がっていると感じます。まさに「若い頃の苦労は買ってでもせよ」です。

授業についていけなくなることも

理系の大学の授業は、高校以上に難しいです。まず教科書からして、専門書は難解。解説なしに専門用語も出てきますし、「それ習っていないよ」といったものも、たくさん出てきます。勉強をしないと、授業についていけなくなることもあるでしょう。筆者は、試験前は友達と一緒によく図書館で勉強していました。

文理選択に悩むあなたへのメッセージ

文理選択は、将来の職業から考える以外に、好きな教科、得意な教科、関心があるテーマから考えるのもひとつです。ただし、理系の職業に関心があるものの、理系の科目が苦手だから文系に行こうという選択はおすすめしません。

仕事では、オールマイティーに何でもできる人を目指すのもひとつですが、何かで飛びぬけたスキルを持つといった立ち位置を目指すのもひとつです。理系の学部に行くと、数学や物理はできて当たり前。そこから飛びぬけるのは大変。そのなかで、数学や物理は人並みだけど、地理にすごく詳しいなど、何かプラスαがあると、仕事で重宝されたり、思わぬチャンスが巡ってきたりします。

進路選択の大きな分岐点になる文系コースと理系コース選び。気軽な気持ちで選択すると、困難な場面にぶつかったときに弱腰になってしまいます。ぜひ積極的な選択ができるよう、悩み、考えてみてください。実り多い高校生活、大学生活が送れることを願っています。

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