工学部への進学を考える際に知っておきたい!自分に合った学科選びのポイントとは?

工学部には様々な学科があります。文部科学省によると、日本には660以上の学科が工学部にあるそうです。こんなにたくさんあると、悩んでしまいますよね。

学科の選択によって、携わる分野や勉強する内容、そして就職先までが大きく変わってしまいます。それなのに、学科選びは受験の段階で行うことがほとんどです。4年間を最大限利用し、専門家の養成に生かそうとする考えから、受験段階で学科を選択させる大学が大部分を占めているからです。※

自分に合った学科を見つけるのに一番良い方法は、その大学のHPをよく見ることです。そして、可能であればオープンキャンパスに参加することです。

しかし、どこの大学のどの学科から調べれば良いのか分からず途方に暮れてしまう学生が多いのではないでしょうか。今回は、そのような学生の学科選択の手助けになりそうなことをお伝えしたいと思います。

※入学後一通りの教育を受けてから、学科を選択する方式をとっている大学もあります。例えば東京大学では、学部で分けられた共通のカリキュラムを受けた後、2年生になって初めて学科を選択します。

工学部の学科選びを行う前に

工学部に進むと決めたのは良いが、どの大学に進むのか、どの学科に進むのか、決めなければいけないことがたくさんあります。最終的に本当に工学部で良いのか思い返してみたりすることも・・・。

そのような学生の参考になればと思い、工学部の気になるポイントをいくつか挙げてみました。

進学した学部・学科でほぼ職域が決まる

大学で学ぶこと、習得する技術や資格を活かして就職する場合が多いので、自然と職域が決まります。特に、工学部は産業との結びつきが強いため、大学の先生やOBから就職先を紹介していただくことが比較的多いと言えます。そのため、当然その学科と関連性のある職域に就きやすくなります。

とはいっても、職域が決まるだけであって、職種が決まるわけではありません。例えば、自動車設計を学んだ学生が、自動車メーカーの設計部門ではなく、保険会社のサービス部門で接客業に携わるということもあります。

まったく関係ない職業のように感じるかもしれませんが、事故車の診断をしたり、修理の計画を立ててお客様と相談したりと、自動車の知識を活かして働くので、職域は「自動車関連」になります

就職には強いが、専門職(技術職)が中心

現在、理系は買い手市場なので、工学部の就職率はとても高いと言えます。特に、自分が大学で学んだことを活かして就職する人が多いので、自然と専門職に就く割合が高くなります。

また、総合職に就く人は少ないと言われますが、決して総合職に就けないわけではありません。

工学部か理工学部か

どちらの学科でも、工学を学ぶことができます。しかし、理工学部はさらに理学も学びます。

では理学と工学はどう違うのでしょうか?

  • 理学:数学や物理学の学問を追求する自然科学をさらに深める学問
  • 工学:すでにある科学技術を使って身近なものに役立てる学問

モノづくりがしたいという人は工学が、工学には興味があるが、より研究に近いことがしたいという人は理工学部が向いていると言えます。

工学部と理工学部の違いや共通点について、コチラで詳しくお伝えしておりますので、よろしければご覧ください。

単科大学か総合大学か

一般的に、単一の分野の教育や研究を行う大学を「単科大学」、さまざまな分野の教育や研究を行う大学を「総合大学」と呼びます。

例えば総合大学の九州大学には文学部、教育学部、法学部、経済学部、医学部、薬学部、工学部、農学部・・・と全部で13の学部があります。

対して、単科大学の久留米工業大学は、工学分野のみに特化しているため、工学分野以外の学部がありません。

どちらが良い、悪いというわけではありませんが、それぞれに特徴があります。入学してから、「思っていたキャンパスライフとは違う」とならないよう、特徴を把握しておきましょう。

単科大学と総合大学の違いについて、詳しくはコチラをご覧ください。

工学部にはどんな学科がある?

先程もお伝えした通り、工学部には様々な学科がありますが、大きく「機械」「電気電子」「情報」「土木建築」「化学」の5分野に分けることができます。

実はこの5分野に当てはまらない学科も存在しますが、メジャーは上記5つと考えて問題はありません。

ここでは、各分野でどのようなことが学べるのか簡単に説明させていただきます。

※学科についての記事がコチラにもありますので、よろしければご覧ください。

機械

「機械=エネルギーを力にかえるモノ」に関する学科です。ですから、自動車、飛行機、ロケット、家電製品、スマホ、時計といった身近な機械から、石油コンビナートなどのようなプラントと言われる大きな機械類まで、対象は様々です。

機械に関する基本的な知識を学んだあと、技術者になるのか、設計者になるのか、研究者を目指すのか、そこはその大学のカリキュラムやコースによります。また、どんな機械を対象として学ぶのかも学科によります。

電気電子

エレクトロニクスについて学びます。具体的には、機械の中に入っている半導体、集積回路といった電気に関わるものについて学んでいきます。

学校で、電気回路図、電圧、電流、抵抗といった内容を理科で勉強したことがありますよね?それをより深く学ぶと考えて問題ないと思います。

情報

システムやネットワークについて学びます。ITやプログラミングといったキーワードを想像するとわかりやすいかもしれません。システムエンジニアを目指す人はこの分野に進むのが一番近道だと思います。(システムエンジニアの詳細についてはコチラhttp://www.kurume-it.ac.jp/style/system-engineer

データベースやアルゴリズムの構築、コンピューターやロボット等のシステムの構築、ソフトの開発と、IT系の内容は多岐にわたります。ITはもはやなくてはならないものとなってきているので、他の学科との結びつきがとても強い分野です。

土木建築

家・ビル・橋・ダムといった建物や施設を設計・構築すること、また、その建物の外や中の環境に関することを学ぶ学科です。

建築士になることを目指す学生が選択することが多い学科ですが、都市開発やインフラ整備といった大規模な計画に携わりたい人、空間デザイン(店舗や家のインテリアや照明、カラーなどのコーディネート等)を学びたい人、空調や熱エネルギーを意識した未来型住宅等のデザイン(スマートハウス等)を学びたい人などもこの学科を選択します。

化学

化学とは、学校で原子記号や化学反応式を学ぶ、あの化学のことです。

物質を原子や分子レベルで解析し、新しい物質や素材を作り出したり、その素材を生産するシステムなどを考える分野です。「化学工業」「石油コンビナートのシステム」というキーワードだと、想像しやすいのではないでしょうか?

その他

上記に当てはまらない学科も沢山存在します。いろんな学科をミックスしたような学科、芸術系の学科など色んな分野が沢山あります。例えば、ロボットに関する学科では、IT技術や電気系の技術、機械システムの技術を全て学べたりします。

また、最近では、下記のように、工学の基礎知識を学び、その楽しさを生徒たちに教えられるような先生になることをメインにしたユニークな学科もあります。

工学部学科の選び方

よく、どの学科が楽に卒業できますか?どの学科が楽しいですか?と質問を受けます。これは、とても難しい質問です。どうしてかというと、「人による」としか言いようがないからです。

人には好みや得意・不得意があります。ですから、ある人にとっては「楽しい・いくらでもできる」と思えることが、他の人にとっては「つらい・もうやめたい」と感じてしまうことが多々あるからなのです。

ここでは、上記の質問にお答えできるように3つの視点から学科を選ぶ方法をご紹介したいと思います。

得意・不得意

個人的に、自分が得意な分野から選ぶというのは、重要なポイントだと思います。「化学式をみるのもイヤ!」という人が、化学分野に飛び込むと、とても苦労します。

まずは、先程ご紹介した5分野の中から自分が得意な分野を選び、そこから更に細かく学科を選んでいくことをおススメします。

興味の有無

あなたの興味のあるものは何ですか?答えるのはなかなか難しいですよね。「それがわかっていたら、とっくに進路はきまっているんです!」という声をよく聞きます。

でも、あなたの興味のあるものは絶対にあるはずなのです。

例えば誰に言われなくとも自然とネットで調べてしまうものや、その話題になると熱中してしまうことなどを思い浮かべてください。それがあなたが興味があることです。そして、その対象のどんなところに魅力を感じているのか少し考えてみてください。そうすると、自ずと興味が何かがわかってきます。

それでも悩んでしまう人は、先程の5分野の中から比較して、どちらの方が興味があるかを選択式で選んでみてください。

将来の職業イメージから

工具をもってマシンをいじっている自分、難しそうなプログラミングとにらめっこしている自分、オフィスでスーツを着て設計図をながめている自分、研究室で実験器具に囲まれている自分・・・。大雑把なものでも良いので、「自分がこうだったらいいな。」と思う職業イメージから逆算して考えるのも一つの手段です。

例えば、「オフィスでスーツを着て設計図をながめている自分」が自分のなりたいイメージだったとします。

そのときに見ている設計図は家や橋のものなのか、自動車のような機械なのか。その設計図はみんなで作り上げないといけないものなのか、自分一人で作れるものなのか。オフィスは東京のカッコイイオフィスなのか、はたまた自分で建てた自然豊かなオフィスなのか・・・。

少しずつ、イメージに具体性を持たせていくと自分の進みたい分野が決まってくるものです。是非お試し下さい。