理工系の大学院ってどんなところ?理系の大学院に進学するメリットとデメリットとは

「〇〇ちゃんのお兄さん、院に進んだんだって~」なんて話、きいたことはありませんか?院とは、大学院のことです。

大学と大学院の違いは何でしょうか?そして、大学院とはどのようなところなのでしょうか?

今回は簡単に院についてお話したいと思います。

理工系の大学院ってどんなところ?

大学で学んだことを更に追求し、深く学び研究する場所が大学院です。通常は、大学卒業後の進学先として挙げられます。一般的に大学は4年制ですが、大学院は2年制です。

4年制大学を卒業すると学士という学位がもらえますが、院を卒業すると修士という学位がもらえます。

大学院に進むためには?

大学院に進むためには、大学院入試に合格しなければいけません。入試の内容や受験資格は大学院によって異なります。

よく、A大学の大学院に進むためにはA大学を卒業しないといけないのでは?と勘違いする人がいますが、そんなことはありません。受験資格を満たしていれば、B大学を卒業した人でもA大学の大学院を受験することができます。

大学院入試

「はぁ、せっかく大学受験おわって大学生活始まっても、また受験があるのか…」

残念ながら、そうなんです。

一般的に理工系の学部生は、4年生になったら研究室に配属されます。そして、大学院入試は6月に願書提出、7~8月に試験というスケジュールで行われます。研究と同時並行で勉強も行わないといけないので、とても努力が必要です。

内部生と外部生

同じ大学の院を受ける学生を内部生、卒業した大学とは別の大学の院を受ける学生を外部生と言います。大学院受験の場合、内部生の方が圧倒的に有利と言われています。

一般的には、大学院入試では、学部で学んだ内容、つまり、過去に単位をとった授業の内容が出題されます。また、大学院入試を突破した研究室の先輩たちから過去問やアドバイスを貰うこともできます。

更に、院の合格は学部4年生の時に決まるわけですから、院進学前提で学部生のうちから研究を進めることができます。

今から大学院に進みたいと考えている人は、どこの大学の院に行きたいかを前提として大学を選択するのがベストと言えるでしょう。

理工系学生の大学院進学率は?

文部科学省の平成29年度 学校基本調査によると、大学院の進学率は

  • 文系学部は約3~6%(人文科学6.0% 社会科学3.4%)
  • 理系学部は約24~43%(理学42.7% 工学 37.1% 農学 24.3%)

となっています。文系に比べて、理系学部の進学率がとても高いことがわかります。

理工系大学院生は就活に有利なのか?

研究職につきやすい専攻とは

科学技術要覧 平成29年版によると、日本の企業の産業別研究者割合(平成28年)は

  • 1位 情報通信機械器具製造業 16.1%
  • 2位 輸送用機械器具製造業 15.9%
  • 3位 業務用機械器具製造業 9.8%
  • 4位 電気機械器具製造業 8.0%
  • 5位 化学工業 6.9%
  • 6位 電子部品・デバイス・電子回路製造業 5.9%

となっています。

研究者の割合が高いということは、就職しやすいと言えます。特に工業系学部が強い分野がランクインしているようです。

また、日本企業の専門別研究者数割合(平成28年)では

  • 1位 機械・船舶・航空 27.4%
  • 2位 電気通信 25.8%
  • 3位 情報科学 7.7%

となっています。

機械系、電気通信系の専攻が研究職につきやすいと言えるようです。

学部生と比べて就活はしやすいか?

理工系の場合、学部卒の就職率も院卒の就職率も高いため、どちらかが有利・不利はないと言えます。

よく、「院卒は学部卒に比べて丸2年分、社会人として出遅れるから不利」「より専門性を活かす必要があるので不利になる」と言われることがありますが、そんなことはありません。院を卒業することで、2年分更に学んだという強みが増えるため、企業では歓迎される方が多いのではないでしょうか。

ただ、院で学んだ内容とは全く別の分野に就職する場合は、「何のために院に行ったの?」という疑問が付いて回ることが多いので、その場合は学部卒よりも不利と言えるかもしれません。

教授推薦や学内推薦は本当に使えるのか?

使えます!特に教授推薦の場合、研究したことを活かせる職場を薦めてもらえます。

また、理工系の場合、教授と直接関わり合いながら研究をするため、自分の性格を考慮した上で企業を選んでくれる場合もあります。

理工系で大学院に進学するメリット

専門性が身につく

先程もお伝えしましたが、院は大学で学んだことを更に追求して深く学び研究する場所です。ですから、当然学部卒の人よりも、より専門的なこと身に着けることができます。

学んだことを仕事に活かすのであれば、院で学んだ専門性は自分にとっても、企業にとっても、とてもメリットがあります。

新卒での初任給が高い場合も

会社によっては、学部卒よりも院卒の方が初任給が高い場合があります。

しかしながら、学部卒の人は院に通わないかわりに2年分多く会社で働いているのですから、どちらが良いとは言い難いです。

学会で国内・海外いろいろ行ける

大学院では研究をするわけです。ですから、その研究成果を発表する機会も得られます。研究内容によっては、日本だけにとどまらず、国際学会などにも参加することができます。また、発表するためだけではなく、勉強のために学会に参加することもあります。

大勢の中で自分の研究を英語で発表!なんてこともありますし、研究内容をパネルに展示して公表するなんてこともあるんです。ちょっとカッコイイですよね。

また、研究室によっては、研究のために企業や海外の大学に行く人もいますし、逆に企業や海外の人が自分の研究室にくる場合もあります。学部生の時以上に、グローバルな環境で勉強する機会を得られやすいと言えます。

ちなみに私の場合ですが、アメリカ人、インド人、スウェーデン人、中国人が同じ研究室にいました。今思えば、とても貴重な体験だったと思います。

就活が有利になる可能性も

学会には各機関・企業の研究者たちも参加します。また、セミナーや勉強会、教授の研究のサポートなどに積極的に参加することで、さらに人脈、知識は増えていきます。

学生のうちから、いろんな経験をし、人脈もつくることができるので、研究分野に就職する場合は有利に働くことがあると言えます。

また、自分の研究分野に直結した企業に就職する場合は、2年間より勉強したことが強みになると言えます。

理系で大学院に進学するデメリット

学費がかかる

さらに学校に通うことになるわけですから、学部卒の人に比べると更に学費がかかります。また、学会に参加したり、各研究施設に通う場合、その費用を自己負担しなければならない場合もあります。大学院進学向けの奨学金制度などもいろいろありますので、院に進みたい人はよく調べておくのがオススメです。

研究テーマによっては就職に繋がらない?

研究内容をダイレクトに活かす就職先を優先的に考えると、選択肢が狭まる場合はあります。しかし、研究の内容は、形を変えることはあっても、必ず何かに活かすことはできます。就職で一番重要なのは、パーソナリティーです。あまり気にすることはないと思います。

研究漬けで人間関係・世界が狭まることも

場合によっては、研究と勉強でスケジュールがいっぱいになることがあります。そういう意味では、人間関係や世界が狭まるとも言えます。しかしながら、通常は土日は休みなのですから、自分の時間も大抵はとれます。また、見方を変えれば、それだけ濃厚な時間を過ごせる、と考えることもできます。

理工系の大学・大学院への進学を考えている方へ

中学生・高校生のうちは、「大学院かぁ。どんなところだろう?」「行った方がいいのかなぁ?」と少し考える程度かもしれません。今はそれくらいの考えで大丈夫です。

大学は4年間あります。(院の入学試験のことを考えると実質3年くらいですが)慌てず急がず、まずは自分の行きたい大学を選ぶことを優先してください。

また、「院に行ってみたいなぁ」と考えている人の場合は、大学のHPなどで各研究室がどんな研究をしているかよく調べておきましょう。その研究室がある学部に入っておけば、よりスムーズに目的の大学院に進むことができます。

久留米工業大学の大学院

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