理系を目指す高校生が高校時代に取り組んでおきたいこと

「理系の大学に進んで●●を目指したい!」と明確に目標が定まっている方もいれば、なんとなく理系の進路を選択しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

明確に進路を決めている方に向けては、どのような高校生活を送れば良いか、これから理系の進路を選択しようと考えている方に向けては、自分に合った分野や目標をどのようにして見つけたら良いのか、という点について、実際に工学部に進学した経験を持つ理系女子が体験談をもとにアドバイスをさせていただきます。

理系の進路を決める前に

何のために理系に進学するのか?理系の中でもどのような分野に進みたいのか、なるべく自分の中でハッキリさせましょう!人に語れるような立派な理由ならもちろん素晴らしいことですし、例えそうでなくてもモチベーションを高めるのに役立ちます。

「なんとなくこう思うから、理系に進学しようかな。」という程度でも大丈夫です。大学に入ってからでも転部や編入等、進路をシフトすることは可能です。

自分は文系と理系どちらに進むのか決めかねている人は、次のようなポイントを参考に考えてみるのがオススメです。

夢から選ぶ

「人を助けるようなことをしたい」「注目を集めるような人になりたい」…漠然とした夢を持ってはいるけどどうしたらいいかわからない、という人は自分の得意な方向性を少しずつ考えてみましょう。

例えば、「船長になりたい!」というような夢を持っている人がいたとします。この場合は文系、理系のどちらに進むべきなのでしょうか?

船長になるために、船や海について学ぶのか、乗組員を集めるための交渉力を磨くのか、いろんなアプローチがありますよね?自分に向いてそうなアプローチはどれかを考えてみましょう。それが理系か文系かを決める手がかりになります。

なりたい職業から選ぶ

将来なりたい職業がある人は、その職業に就くためにどんな道があるのかよく調べてみましょう。そうすることで、理系・文系どちらに進むべきか自然と決まってきます。

職業によっては、進路が限定される場合もあります。例えば、獣医さんになりたければ獣医学部に入らなければならないので、理系に限定されます。

学びたいこと(興味のあること)から選ぶ

学びたいことが分かっていたら理系・文系の選択に困りませんよね。しかし、学びたいことは本当はあるはずです。それはあなたが普段から興味があることです。「興味がある=知りたい、もっと学びたい」に繋がるからです。そして、その興味をもう少し詳しく掘り下げて考えてみると文系、理系が分類できます。

例えば、音楽に興味があるとします。歌詞の作成など、音楽そのものを作ることに興味があれば文系です。楽器や音響そのものに興味があるなら(ボーカロイドも楽器の一種ですね)理系です。

得意科目で決める

数学・理科が得意であれば理系、国語・社会が得意であれば文系と言われています。ただ、数学が嫌いだから文系、国語が苦手だから理系といった選択はオススメしません。

理科が一番得意だけど、数学が嫌いという理由で文系を選ぶ学生が沢山います。しかし、難関大学や数学科等ではない限り、受験数学はパターンを暗記する側面があります。得意な分野は自分の才能の1つでもあります。苦手な科目のせいで、才能を伸ばさないのはとても勿体ないことです。

理系の大学を目指す

理系の進学を決めた場合、大きく分けて2つの選択肢があります。大学か専門学校です。他にも高専の4年次に編入する等といったこともできますが、少し特殊なルートと言えます。

大学か専門学校という選択

専門学校は職業に特化して、実践的・実務的なことを学ぶことが目的です。課程は学校によって1~4年と幅がありますが、多くが2年間課程です。卒業し、一定の条件を満たすと専門士の称号が得られます。なりたい職業が決まっていて、卒業後即戦力として働きたい人にとっては学びやすい環境と言えるでしょう。

大学は学術的なことを中心に幅広い知識や教養、思考力を身につけることが目的です。大学は4年課程です。卒業すると学士の学位が得られます。より幅広い分野から専攻を選び、深く学びたい人、大学卒が条件の組織で研究職・技術職で働きたい人、まだ卒業後の進路を決めかねている部分がある人には、選択肢を増やすことができるという点でオススメです。

大学で理系を学ぶことのメリット

幅広い分野を4年間かけてじっくり学ぶことができるので、自分の可能性を広げることができます。また、専門学校では、その職業について必要なこと以外は学ばないので、自分の進路に疑問を感じても方向転換することができません。

最近では資格取得のためのカリキュラムやサポートが充実した理系大学も増えているので、じっくり技術と知識を身に着けていきたい人には大学がオススメです。

更に、4年制大学卒業という肩書が、学歴社会の日本では有利に働くことが多々あります。

例えば、企業の採用情報を見てみると、大卒が条件になっているものが沢山あります。また、初任給が学歴によって異なる場合があり、大卒の方が高い傾向にあります。公務員は学歴によって明確に給与体系が分けられています。

理系を目指す上で高校時代にしておきたいこと

勉強する科目

理系の場合、主に英語・数学・理科の3教科が基本ですが、国立大学や難関大学になると文系教科も必須になります。私立大学の場合、英語・数学、数学必須・英語or理科の選択といった2教科パターンが多いと言えます。

ほとんどの理系には数学が必須ですので、まだ具体的に希望大学や学部を絞れていない場合は、数学に力をいれて勉強しておくのがオススメです。

入試制度を知る

また、入試制度は多様化・複雑化の傾向があります。どんな受験方法があるのか、どんな科目が必須なのか、早めに調べておけば、その分早めに対策することができます。気づいたら、出願期間が過ぎていた!こんな制度知らなかった!準備が間に合わなかった!という失敗例もよくある話です。

特殊な入試制度の1つとしてAO入試という制度があります。受験者の人物像と学校側の求める学生像と照らし合わせて合否を決めるという入試方式です。例えば、久留米工業大学ではプレゼンテーションと面接が試験科目で、数学などの学力試験がありません。(※試験科目と調査書、出身高等学校評定平均値を総合評価して合格者が決定されます。)

オープンキャンパスに行く

大学のHPだけではなく、TwitterやFacebookで情報収集をすることはとても重要です。全く肌の合わない大学に行くと苦労することがあります。

特に理系の場合、同級生や先輩と一緒に課題に取り組むことが多い傾向にあるので、オープンキャンパスに行くことをオススメします。実際の大学の雰囲気をみてみるとイメージが変わることが良くあります。また、行きたい大学に実際に入った先輩などに、フランクに質問できる良い機会にもなります。

高校生活の過ごし方

勉強するために高校に入学したのですから、日々の勉強はもちろん頑張って下さい。その上で、自分の興味のあることや好きなことを積極的に活動することをオススメします。

高校生活のちょっとした活動が、自分の人生を大きく変えるきっかけになったり、新たな自分の発見につながったりします。理系と一口にいっても、いろんな分野があります。どんな分野に自分が向いているのか、日々の生活の中で少しずつ探していって下さい。

友人関係

一緒に遊ぶ友達、おしゃべりしたり悩みを相談したりする友達…友達はとてもかけがえのないものです。

受験の上でオススメなのが、一緒に勉強をする友達を作ることです。常に一人で勉強していると挫けそうになることがあります。一緒に教え合ったり、励まし合ったり、進学先の情報について交換したりできる友達がいると、辛い時も乗り越えることができます。

高校から提供される情報も重要

学校の掲示板などに何気に貼ってある情報、担任の先生等から知らされる情報をこまめにチェックしましょう。

インターネット等だけではなかなかたどり着けない重要な募集などが掲載されていることが多々あります。例えば大学への学校推薦など、自分の高校だけに優遇されている制度はそういったところからでしか入手できません。

理系に進学した理系女子(リケジョ)の体験談

なんとなく理系に進んだ私が、どのような高校生活を過ごし、大学に入って何を感じたか、体験談をもとにご紹介いたします。

理系を選んだ理由

「理系は手に職っていう感じがしてカッコイイな、私、物理好きだしな~」という単純な理由で理系を選びました。

私の高校時代

普通科の進学校でしたが、実は受験のことをあまり真剣に考えていませんでした。むしろ勉強以外に興味がわくことが多く、趣味や活動に没頭していたことが多かったように思います。

ただ、定期テストはなるべく良い点が取れるように努力していました。定期テスト前になると部活が休みになるので、その期間は友人と一緒に勉強をしていました。今思えば、これが大学受験に一番効果的だったと思います。

友人は文系、私は理系で、お互い得意な科目を教え合っていたのです。友人に「あ~なるほど!わかった、ありがとう!」と言ってもらえるのがうれしくて、理系の科目を特に頑張って勉強していた記憶があります。

高校3年生になると、周囲の友人が受験や将来の話をしたり、真剣に勉強に取り組むようになりました。全く将来を考えていなかった私はとても焦りました。いつの間にかクラスメイトは受験のことについて色々調べて準備を進めていたり、友人が秋に大学に推薦合格したことを知って、ますます焦り始めました。

いきなり、「あなたには、いろんな選択肢があって、学校、学部、学科もいろいろあって、入学方法もいろいろあるよ」と目の前に風呂敷を広げられる一方で、友人は進路先を決めていくわけです。もうパニック状態です。結局、工学部に行くこと、物理系の学科を選ぶことを決め、センター試験の点数で大学を選びました。

理系大学に進学して感じたこと

あまりよく考えず、総合大学の工学部に入学しましたが、「私はとても運が良かった」と今でも思っています。文系と違って理系には実習が多くあるため、同級生とグループでモノをつくったり、課題に取り組んだり、実験したりする機会が沢山ありました。とても忙しい日々でしたが、学ぶことがとても楽しく、充実していました。また、実習や研究室配属があるので、先輩や後輩、先生とも、とても親しくなりました。今ではこの時に築いた人間関係が人生の宝の1つです。

そんな一方で、「思っていた大学と違った」、「別の学部に行きたくなった」という同級生も2~3人いて、それぞれが転部、別の大学に再受験をしていきました。もしも、進路先が自分に合っていなかったら大変だったなぁと思いました。ただ、違ったと感じた時に方向転換がききやすいのも大学の魅力なんだなぁと思いました。

また、研究室に配属されると、学会などで他大学の学生と交流する機会も増えるのですが、同じ名前の学科でも、大学や研究室によって随分と色が違うんだなぁと感じました。

大学は高校生に向けていろんな情報や機会を提供しています。FacebookやTwitterはもちろんのこと、オープンキャンパス、体験入学など様々なイベントが用意されています。高校時代にどんどん積極的に参加して、どんな大学か肌で感じてみるのが一番良いのではないでしょうか。

まとめ:理系を目指す高校生へ

理系を目指すことを決めた人は、大学に進むことをオススメします。やはり、4年制大学の肩書は大きいのと、大学でも資格はとれるからです。また、早めに進学先の情報をよく調べておきましょう。そうすることで、より自分にマッチした学校を選ぶことができます。

将来はどうしよう?自分の選択は正しいのか?悩み焦ることも多いと思います。むしろ悩まない人の方が少ないと思います。そんな中で、自分で積極的に調べ、自分の意思で決めることが一番大切です。そうすることで後悔も少なくなりますし、自分自身の選択に納得することができます。

高校3年間はあっという間に過ぎてしまいますが、あなたの高校生活が充実したものになるよう願っております。